5:黄金級の影響力
「こんな所か」
「ん、アスタルツに行く分の水と食糧も大丈夫」
依頼を受けて城下町で一通りの準備を終えた準備を終えたレイルとセラはフラウやライブス達に朝日を済ませると王都を後にする。
山岳地帯の入口付近にある宿場町まで馬車で半日掛けて辿り着き、馬車から降りて山を見上げる。
「こんなに高いのか」
「…一度準備し直した方が良いかも」
鬱蒼とした森に覆われた山々が天を衝いて座している姿は先日相対したウクブ・カキシュに似た大きさを感じさせる。
宿場町に入ったレイル達は宿を取ってから冒険者ギルドに向かう、向かう途中でもそうだったが町やギルド内はどことなく賑わいがなく閑散とした空気が漂っていた。
(なにかあった、と考えるべきか)
受付に向かうと職員が気付いてこちらに来る、どことなく気の抜けた雰囲気をしておりレイル達を見るとあからさまに面倒そうにため息をついた。
「なにか御用でしょうか?」
「アスタルツに行く為に山岳地帯の情報と地図が欲しいんだが」
「はぁ…すみませんがそれは出来ません」
「…どうして?」
セラの問いに職員は面倒という気持ちを隠そうとしないが説明を始めた。
「ここ最近になって山岳地帯で魔物の被害や行方不明者が増えてきているんです、ですので町周辺の魔物退治や採集はともかくアスタルツまでの山越えや護衛依頼等は白銀等級以上の冒険者しか受けれない事になってます」
「なら自分達は問題ないが」
「…でしたら冒険者タグを提示してください、こちらで照会でき次第、情報をお渡ししますので」
「これで良いか?」
首に掛けていたタグを外してカウンターの上に置く、金色に輝くタグを見た職員は今までの気の抜けた雰囲気が吹き飛び目を皿にして固まってしまった。
「え…金?…その若さで黄金級…っ!?」
「ウェルク王直々に頂いたものだ、確認してくれ」
「は、はい直ちに!!」
タグを恐る恐る手にしながら奥へと引っ込むと少しして職員が慌ててタグと一緒に地図や資料と共に姿を現した。
「こ、こちらが山岳地帯の地図と周辺の情報!それとお預かりしていたタグでございます!お待たせして申し訳ありません!!」
「いや、そこまで待ってないが…」
その後ギルドマスターまで出てきて少しした騒ぎになってしまい談話室を使わせてもらう事でようやく落ち着く事が出来た。
「…あまりこれは使いたくないな」
「ん、とても疲れる…」
二人でタグを見せびらかす様な事をしないと約束してから資料を参考にしながら話し合い、今日は今一度準備に当てて明日出発しようという結論を出すと宿へと戻った。




