1:パーティー脱退
連載版です、3話までは短編とほとんど同じなのでご注意ください、次は一時間後になります。
「突然で悪いがこのパーティーを抜けさせてもらう」
冒険者が集う辺境開拓の町アインツ
そこでクエストを終え、行きつけの酒場で席についてすぐに俺、レイルはそう宣言する。
リーダーであり戦士のハウェルを除いて他のメンバーは唖然とした顔をしてるのにお構いなくテーブルの上に金の入った袋を置く。
「パーティーを抜ける迷惑金と俺の装備の買い取り金だ、確認してくれハウェル」
「…ああ」
「ちょ…ちょっと待ってよ!?」
ハウェルが袋の中を確認しようとすると我に帰った魔術士のアレッサが制止の声をあげる、勝ち気な性格を表す様なツリ目に炎の様な赤髪が特徴の彼女は攻撃魔術ならこの町でも上位の実力者だ。
「いきなり抜けるってどういう事!?ようやく大規模な魔物の巣を潰して功績を立ててこれからだって言うのに!てゆうかハウェルもなんで普通に受け入れてんのよ!?」
「…事前に彼から聞かされていたからね、引き止めたが彼の意思は変えられなかった…」
ハウェルは中身を確認しながら答える、整った見た目に元は貴族の四男坊だったからか礼儀正しく他のメンバーよりも広い知識と戦士としての確かな技量は周りにも一目置かれている、彼とアレッサに迷惑を掛けてしまうのは心苦しいがそれでも俺の意思は変わらない。
「...ですがそれでも急すぎます、私達に一言あっても良かったんじゃ…」
「そ、そうだよ!?それにリーダーはまだしもどうして私には言ってくれなかったの!?」
そう声を発したのは野伏のセネク、ハウェルとは違った繊細な容姿のこいつは驚きから立ち直って静かな声で問う
そしてセネクに続いて声を挙げたのは回復術士のリリア、アレッサとは真逆の水色の髪色と儚い印象を持っており、幼馴染みであり俺の恋人であった女だ。
…こいつらを見ていると今にも抑えている感情が溢れ出しそうになる。
「…なんで言わなかったか?アレッサはまだしも抜けようと思ったのはお前等二人が原因だ、心当たりがないだなんてふざけた事を言うなよ?」
「「…!!」」
二人に向けて抑えてた感情が殺意となって零れる、放たれた殺意と言葉に二人はおろか周囲で飲んでいた冒険者達すら背筋を震わせた。
「ま、待って?二人が原因?どういう事なの…?」
「詳しくはそいつらから聞くと良い…ハウェル、アレッサ、勝手なのは理解してるがすまない、こんな事言える資格はないがお前達とは会えて良かった、今までありがとう」
これ以上いると周囲にも迷惑をかけてしまう。
さようなら、と二人に言い残してレイルは酒場を後にした…。
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