傲慢の権能と武器同化
……………………暗いなぁ。
「何処だココ?」
見たことない場所だ。
けど、記憶庫で確認した感じ災厄の箱の個人部屋の寝室だな、見た目が違うだけで俺の部屋の寝室と構造一緒だし。
ん~お、ちょっとずつ目が慣れてきた、周りを見るか。
体を起こし、取り敢えずベットを見てみる、木材の部分まで真っ白な変わったのベット、あと俺の奴より手触りがいい…特注品か?
正面の壁を見てみる……あ~なるほど。
壁一面に赤黒色の逆さ十字が付いていた、右の方の棚を見る、赤黒色の液体が入った瓶が大量に置かれている。
そして部屋に仄かに香るベリー系の匂い、もう誰の部屋か分かった。
「此処ローズさんの部屋の寝室か、でも何故?そもそも俺何してたっけ?」
寝起きであまり働いていない思考を使って、自分の行動を振り返る。
………ダグラスさんと相打ち?になったんだっけか?してそのまま気絶していたというとこか、それにしても何故ローズさんの部屋なんだ?ユナさんなら分かるんだが。
「それわのぉ、ユナが依頼でちょいと別の所に行ってるからじゃ」
「おっ、どーもローズさん。それ何持ってんですか?デカいですけど」
部屋が急に明るくなり、声がした方を見ると紫色のワンピースを着たラフな感じのローズさんがデカいボウルみたいのを持って立っていた。
急に現れて、体がビクッてなったのは内緒だ。
「これはストロベリーアイスじゃ、食べるかえ?」
「はい、食べます」
胸内ポケットから時空計で時間を確認にしてから、返事をする。
もう深夜じゃねぇか、まいいや、美味しそうだし。
因みに左手に着けてる解析計でも時間が見れるが、時空計で見る方が動作がいいなって思うから戦闘時以外では解析計で時間は見ない。
ローズさんは自然に俺の隣へと座り、収納から取り出したであろうスプーンで持っていた大きなボウルに入っているアイスを掬い、こちらへと近付け。
「あ~ん」
「んっ、んむんむ、美味しいですね。これは星光苺使ってますか?」
「流石レイ、分かってるのぉ~当たりじゃ」
かなり甘味が強いし香りも強いからな、この前これの缶詰作ったし。
星光苺とは特定条件下以外で採集すると極端に味が落ちる希少な苺だ、その条件は星の見える夜らしい。
夜は星々や月の力で世界の魔力が高まるらしくそれに強く影響を受けた種の苺であるらしい、味は酸味が少なく甘みが強く加工してもしっかり香りが残り、デザート系に使いやすい。
と、苺の説明は終わりにして本題に行きましょう。
「エキシビションマッチの後、どうなったんですか?」
「特に何も。久しぶりに引き分けとなって生徒は大いに楽しんでおったぞ、妾も驚いたしの。まさかダグラスと引き分けまで持って行くとは思ってもいなかったのじゃ。前に見た限りでは不可能だと思っておったからな」
「確かに試合には勝ちました。けれど実戦であったならば、俺の完敗でしょう。俺は気絶したままだったみたいですけど、ダグラスさんは直ぐに復帰したんでしょう?」
「うむ、ピンピンしとったぞ。まあ多少はカルーに治してもらってはいたがの」
だろうな、ダグラスさん達の領域なら多分死ぬことも経験してるしその対策くらいしているのは知っていた。
俺の代償とは違い何らかの方法で蘇生する筈だ、使徒はそうそう変わるもんじゃないとも聞いたし。
そうだアレをローズさんに訊こう、気になるからな。
「ダグラスさんのEXS,《傲慢》の能力って何ですか?」
これが俺の今回の試合の負けの原因なのは分かり切っていることだ。
恐らく、試合で使用したのは『逸れろ』と『返せ』の二回だけ、俺の予測だと命令した事象を必ず起こすとこかそこら辺だと思うが制限とか代償は全く想像がつかない。
というか《死》,《暴食》と《創造》以外の権能については何一つ知らない。
《暴食》に関しては俺の持つ『暴食』の強化版ってリュミス様が言ってた、その分代償も重くなるらしいけど。
「《傲慢》は事象改変スキルじゃ、まあ妾達のスキルも同じとこに分類されるが《傲慢》は一番単純且つ効力が強いのぉ。世界の理の範疇であれば、一言で言える事象は好きなだけ改変できるのじゃ」
「チートォ……で、代償は?」
「使用時に体力と魔力を両方消費する。自身が仲間と認識する者の命令を使用回数分、必ず遂行しなければならない。後はその日に権能で使った一言は翌日話すのにも使用できないだったかの、確か」
う~ん軽いと言えば軽いか、自身が仲間と認識するだから相手方が悪人の場合困るけど、そんなことねぇだろうし、あと次の日は少し会話が不便になると。
俺のスキルに比べて代償は軽い、いや軽減されてるからコレの可能性はあるな、俺の暴食王魔の関心みたいので。
「今度は妾からじゃ、後の方に使った武器を身体から出すのとラスト一撃の高速行動は何じゃ?」
「あ~あれは《武器同化》っていう俺のスキルと武器の力を合わせたもの。と最後のは唯の時間操作ですよ」
「ふむ、では詳細を教えて欲しいのじゃ」
ま、訊きますよね。
「《武器同化》は俺のスキル『武器主』と黒白の成長適応が合わさった結果だと考えています。何故出来るのか自体は分かりませんのでどういう仕様になっているかは話します。先ず同化自体は黒白が体に触れてさえいれば出来ます、けど体の中心に近い程同化までにかかる時間がみじかくなります、最速で二分くらいですかね。同化状態にな体の至る所から武器又は武器の一部を出せます、何故か装備を貫通しても戻すと傷も跡も無いんですよね。武器を出している間は魔力を消費します、大体一秒に300くらい魔力使います。次に時間操作ですけど、こっちはこの時空計の能力で名前通りそのままある程度自分が指定したものの時間を操作できます。操作時には加速、減速を指定出来てその度合いによって魔力の消費具合が変わりますね。時間停止も出来なくはないでしょうけど、魔力的に俺じゃ0.1秒も満たないくらいしか使えないと思います。これで終わりですけど、何か訊いておきたいことありますか?」
「……む、特にないの、ありがとうじゃ、レイ」
無いんだ、つまんないの~。
それにしても、今回の試合は急だったがいい経験になった、これからはスキルと装備に頼らない戦い方、単純な技術とかも高めて行こう、時間はかかるだろうけど頑張るぜ。
「でじゃ、今回のダグラスから伝えられてると思うが、今回妾を驚かせたら何か一つ言うことを聞くと決めていた。しっかり妾は驚かせられたので、言うことを聞くのじゃ!ほれほれ、心の奥底にある欲望を曝け出すのじゃ!」
何か最近一つ言うこと聞くの流行ってんの?三人目なんだが?
ん~どうせこんなこと言っても、俺はそんなこと言わないだろうと思ってるんだろうな、悪い気分じゃないがやられっぱなしは癪に障る。
ちょっと揶揄いますか。
「じゃあローズさんの体」
「うにゃ!?」
「……を抱きしめながら今日はこのベットで寝ます、抵抗はしちゃ駄目」
「くっ!?妾を揶揄ったなレイッ!このっ、仕返しを―「いいんですか?」―何じゃ?」
「誇り高き吸血鬼女王は自ら言ったことも守れないんですかぁ~?」
「ぐぬぬ~仕方ないっ、今日は甘んじて受け入れよう……」
ローズさんは意外と誇りが高いから、こういうこと言えば大体何でもしてくれる。
ま、これも遊びの一環だろうけど、緊急の時は喜んでそんなもの捨てるってユナさんが言っていたからな。
俺はローズさんの華奢な身体を抱きしめながらベットに倒れ布団を掛ける。
ローズさんの髪もさらさらで良いな、そしていい匂い………やっぱ人肌は安心する、今日はよく眠れそうだ。
ローズさんが何かもじもじしてるので、押さえる様に更にぎゅっと抱きしめて身体を密着させる。
さっきまで寝ていた筈なのに、意識が既に薄れて行く。
おやすみぃ~――ZZZzzzz………
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