VS風刃龍ラーティア 後
「………」
身体は元に戻ってる、けど動かせねぇ。
何でだ?死んだら影響は無くなる筈なのに?まあラーティアの放った技が他と違って死んだ後の俺にも影響してするようなもんだった以外に、他に無いんだけどな。
ん?あ、れ?気持ちわりぃ、お腹が何か変だ。
「ハッ……アァ、ヴッ」
何だっコレ………!
今まで体験したことの無い程強い空腹感…いや、飢餓感が来る。
今すぐ、何でも…いいから…何かを…喰いたい、喰いたイ、喰いタイ、喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタイ喰イタ……イ?
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Third person perspective
レイは視界に入ったソレを認識する、先程動かなかったのが嘘かのように身体を動かして近付きソレを一心不乱に貪り喰らう。
バキッバリバリッガチャッガリガリッ
『お前ッ!!何をしている!?』
「…………」
返答は無く。
凡そ、何か食べているとは思えない音を立てながら、唯只管にソレを喰らい続ける。
レイは唯本能のままに行動している、その様は化け物と言わざるを得ない。
『あれは明らかに異常だ、止める他無い、加速再生,《風牙》』
ラ―ティアの斬り飛ばされた腕が瞬間的に再生する。
風の牙がレイへと迫る…が突如レイから溢れた、狂おしい黒の塊が風の牙を喰らい尽くす。
『ふ~む、面倒くさいな、しかしいつまでも自らの腕が食べられているのを見ているのも癪だな』
そう、今レイが喰らっているのは、レイ自身が斬り飛ばしたラーティアの腕である。
見た目からして危険物、凶器な腕を喰らっている。
口内が傷だらけになってないかとても心配になる。
ラーティアがどうするか考えていると空中に静止していた黒の塊が蠢き、無数に分かれ、針の形状に変わる。
『《斬風乱舞》そこまでの強度は無い様だな』
ラーティアは次を予測し、黒の針を切り裂いていく。
斬られた針はドロリと溶けるように落ち、一つの塊へと戻っていき、ランスの形状へと変わる
『一つに纏めることで強度と攻撃力を上げたのか?そもそも誰に操作されているんだアレは?あの侵入者が今操作しているとはとても思えぬ,《天風旋槍》,考えても予測しか立てられん、今は止そう』
疑問を感じながらも、自らの腕に風を纏わせ当然のように黒のランスを穿ち破壊する。
そして砕け散った黒は又集まり、形を変えようと蠢いていると…俄に霧散するように消えた。
それと同時にレイも倒れ、動きを停止する。
レイの前に在ったラーティアの腕は綺麗さっぱり消え失せ、残っているのは血のみである。
『侵入者の行動が終わったから黒球も消えたと考えるのが妥当か、さて…どうしたものか』
ラ―ティアは侵入者、レイの先程の状態を見てどうするべきか少し分からなくなってしまった。
『気になることもあるが………む?』
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レイナイト・タナトス・カラーレス View
「ん?あれ……俺何を?」
ラーティアにぶった斬られて、身体が動かなくなって、滅茶苦茶腹が減ったとこまでしか覚えてない。
今んとこ身体に異常は感じられない、寧ろ何か調子良くなってる、力が内側から溢れてくるって感じだな、取り敢えず起き上がろう。
「うえっ、何か血がべったり付いてるんですけど?てそんなことよりっ!」
俺は慌てて落ちていた灰塵剣を手に取り構える。
まだ全然戦闘中だったわ、忘れてた。
警戒を最大限しながら、辺りを見ると直ぐにラーティアは見つかった。
『先程のような異常状態では無いと、ならば悩む必要もないか《風刃》』
「ッ!?デカッ、風刃ッ!!よしっ……あれ?」
俺今何出した?明らかに風魔法放ったけど、今黒白は指輪の状態で俺の指に嵌っている、なら魔法が出せたのは可笑しい。
どういうこと――チィッ
『《斬風乱舞》,《軌跡の風》』
「無差別で然も数が多い!!《空間破壊》,《死滅の球体》」
風魔法は後回し!先ずはラーティアを片付けてからだ!
と言ってもどうするか、切り札は無いじゃないけど、相性が悪いんだよなぁ。
でも《歴然たる終幕》は効いたよな……探っていくか。
「ガントレット、反射、ふっ!!」
左手に黒白を装備して、風の刃は死滅の球体に任せ、ラーティアへと全力で駆けて灰塵剣を振るう。
やっぱ斬れねぇ、けど近付いて行動しよう、広範囲の風操作は無くなるだろうし。
『ハアッ!!』
「上、右、左ィ!!あっぶねぇ」
振り下ろされる左の爪をタイミングを合わせて跳ね上げ、続く右の爪を地面へと受け流し、超速で迫るやたら鋭い尻尾を右手の黒白で受け止めながら後ろに跳躍して衝撃をいなす。
流石にサイズ違ぇから一撃が重すぎる、真面に受けてたら持たないな。
『《劈風刀》』
「……!《絶対切断》ッ!!……クソッ《死壊する過去》」
集中し攻撃を探り、反射的に灰塵剣で斬るが、完全には斬り切れず肩から左腕を斬り落とされる。
即時に腕を回復させ、次を警戒する。
ってこの感じアレか不味い、今だってどうして動てるか分かんないのにもう一発は受けたら本当に終わりかもしれん。
………いやーやるか、賭けの要素強いからやりたくないけど、背に腹は代えられない、それに灰塵剣のこの状態も不安定だから、権能で殺せる筈だ……タイミングが命。
『………』
「………」
『「ッ!?」』
『《風刃之天斬》ッ!』「《絶対切断・無制限斬》ッ!」
「なっんだアレ!?オイッ!!一旦休戦!先にあっち潰すぞ!!」
『仕方があるまい、協力しよう………む?ということはお主…いやっそんなことは…そうだとしたら我唯の勘違いで襲った龍にならぬか?………これは、後にしようか』
「何やってんだ?早く来い!ちょっとずつ領域壊れてんぞ!!」
『分かったわ!』
俺達はお互いに放とうとしていた技を突如感じた不快な気配の方向へと放った。
技を放った方を見ると、空間が歪み溶けるように穴が空いて、見てるだけで吐き気のするような、ドロリとした謎の液体が溢れ出ていた。
何だ、本能から心の底から初めて見た筈なのに嫌悪感を感じる、気色悪い、一体なんだ?
先ずある程度近付いて、観察か。
「これくらいなら、よく見えっ」
ピシッ バリ パリン
「丁度か、何が出てっ――いやキモイッ!サイズ感考えろ!キモ過ぎる!」
『落ち着け、気持ち悪いのは分かるがそれで動揺していては足元を掬われるぞ』
「いやでもな~俺虫全般ダメだし、意味わかんないし、キモイし、つーかデカい百足は誰でも嫌だと思う」
溶けていた空間が更にひび割れ、そこからは現れたのは全長15m程の灰色の百足だった、うん、キモイ。
はぁ~こんなことなら迷いの原因を調べようとか思わなければよかった。
キモイからさっさと殺す!の前に。
「ラーティア、あいつが何か分かるか?」
『恐らく…だがな』
「じゃあそれでいい、情報くれ」
恐らくでも無いか有るかで全然変わる。
情報があって助かるぜ。
『我も本物は見たことは無かったが、恐らくアレは―――
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