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さあ、帰ろう!



シンラ・レオパルド View


「これでやっと冒険者かー」


「そうなのですっ!これからドンドン活動していくのです!」


「お二人共、おめでとうございます」


「やっと、終了」


「もっと早く出来たっすけど、念には念をということで一週間も訓練期間取ったっすからね」


「ホント長かったのです」


 僕達はこの二週間、戦闘技術を七色の誇り(カラーズ・プライド)の皆さんに教わっていた。

 そして今日、漂流者ランク判断試験を受けてさっきそれが終わった所。

 本来はもっと早く出来たけど、ガイルさんが「油断は命取りになるぜ、しっかりとした修行をしてからだ」と言った為、二週間の時間を取ったのだ。

 僕はその方が危険が少なくていいと思ったがホワっちはちょっと不満だったみたい、けどしっかり魔法の練習してたけどね。

 お、戻ってきた、ミルさんとメルさんも居る。


「おう、しっかりギルドカードを作ってきた、ついでに居たこいつ等も連れて来たぜ」


「凄いニュースを見つけたんだ!」


「姉、先にカードからだよ」


 ニュースって何だろ?ま、先ずはランクからかな。


「で、ガイルさん!私達は何ランクになったのです!」


「ナユタの嬢ちゃんは相変わらずグイグイ来るな、じゃあさっさと言うか、お二人さんのランクはAになったぜ」


「なるほどAですかー、これは結構かなりいい方ですねー」


「ぬぬっ、やっぱ流石にSは無理だったのです」


 ホワっちがちょっとしょんぼりしてる。


「漂流者の試験では通常Sランクになることは不可能です」


「どうしてなのです?」


「それは担当するのがSランクだから」


「なるほどねー」


「シンどういうことなのです?」


 これは簡単なことだ。


「基本的に試験を担当するのはSランクが一人でするでしょー?」


「そうなのです、私達はガイルさんにしてもらったのです」


「でSランクと言っても強さには幅があるよねー、だからその人だけで判断したんじゃ精確に強さも把握でき無いしー、それにSランクからは特に責任が伴うから人柄とかも重要になってきてー、試験だけじゃ相応しいか分からないからねー」


「シンラさん、ドンピシャです!」


「まあ、時間があればナユタさんも分かったと思うっすけどね」


「なるほどなのです~、でもマリーさんの言い方だと通常じゃなきゃ可能性があるってことなのです?」


「はい、ありますよ」


「それはどんなのなんですー?」


「なに、簡単なことだよ」


 試験方法が決まってるなら不可能だと思うけどな。


「ただSランクを超えるQランク極昌の冒険者達(クォーツァイズ)に試験をしてもらえれば可能性はあるぜ」


「ぬ~私が言いたかった、慰めてくれ妹よ」


「はぁ~仕方ないな姉は」


「ま、可能性があるだけで実力が無かったら駄目だし、そもそも極昌の冒険者達が居るタイミングなんてほぼ無いし居たとしても試験を担当してくれるかもわかんないけどな」


「そういうことなのですか、じゃ順調に頑張ることにするのです!」


「そうです、このまま行けばお二人共Sランクはなることが出来るでしょう」


「で、こいつがお前さんらのギルドカードだ」


 ガイルさんが青色のスマホくらいのサイズのカードを渡してきた。

 確かランクごとに色が違って、Eが白、Dが赤、Cが黄、Bが緑、Aが青、Sが黒でQは専用の道具になるんだったけ。

 つまり僕らはこのカードが黒くなるまで頑張ればいいのか。


「ん~こうして形になると嬉しいものなのです」


「そうだねー、でサイオンジさん達のニュースって何なのー?」


「んっ!よくぞ言ってくれた、私達が持ってきたのは――


王創国(ウィリムライド)奈落(タルタロス)大氾濫(スタンピード)が発生したってニュースです」


――いっ妹よ、今姉が言おうとしていたではないか」


「奈落でなのです!?それって凄いことなんじゃないのです!?」


「あの、ナユタさん?」


「最難関迷宮の大氾濫、然もまだ起こっていなかった奈落での、凄いニュースっす!」


「あの、アッシュさん?」


「それが起きたのはいつなのですか?」


「マリーさんまで!?」


 ミルさん弄られてるな、それにしても凄いニュースだね。

 今はどうなったんだろ。


「一昨日の早朝に起きたみたいです」


「一昨日か、今はどうなんだ?終息したのか?」


「はい、その日の午前中に終わったようです」


「午前中!?偶々極昌の冒険者達が複数人でも居たのか?」


「極昌の冒険者達は一人も居なく、大氾濫の元凶の魔物の結界で救援に行くことが出来なかったそうですよ」


「ん?それで勝てるものなのです?」


「いえ、難しいっす」


「ん、無理」


「普通の迷宮の大氾濫なら何とかなるかもしれませんが、最難関迷宮のは格が違いますからね」


 ですよね、一体誰が終わらせたんだろう、然もとんでもない時間で。


「それでこの号外新聞の写真を見て欲しいんです」


「んー?何々ー?奈落で大氾濫、最速で解決した新星ー?ってこれは!?」


「これはレイなのです!派手にやってるのです!」


 メルさんが見してくれた写真には、猟奇的な笑みを浮かべて魔物を斬り殺すナイっちの姿が写っていた。

 自由にやってるね、めっちゃ楽しんでる時の顔だ。


「元気そうで良かったのです!」


「そうだねー」


「これを見た時凄く驚ましたよ」


「まあー、そうだろーねー」


「これを見る限り私達よりも先に活動してるみたいなのです!シン、私達も負けないように頑張るのです!」


 別に競って無いよ?

 けど、何か先に行かれてる感じがするし、やるとしよう。


「うん、じゃ早速依頼を受けに行こうか!」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




ユーティリナ・オーディン・ルクシリア View


「まさかレイが呪屍王を形態変化に倒すとは」


「妾達の想像を超えてくるの~、実に先が楽しみじゃ」


「あむっ、そうっすね、カルっちおかわり!」


「はいはい、どうぞ」


「ありがとうっす!」


 私達はあの後王達と話し合いをして私達の館に戻り、今ご飯を食べている。

 ん~やっぱり、ダグラスのご飯は美味しいな。

 ……そういえばレイの手料理はまだ食べて無い、帰ってきたら作ってもらおう。


「ダグラスの作るご飯は美味しいのぉ~」


「ありがと、ローズ」


「某も同意する」


「まあ、レイには負けるがの」


「「「え?」」」


「…ローズ、レイの作ったご飯食べたの?」


「頼んだら結構作ってくれたのじゃ」


「…ズルい、ズルい!」


「ちょっとユナ落ち着くっすよ!食卓で鎖を出さないで欲しいっす!」


 そう言われてもこればかりは譲れない、私より先に食べるなんて!

 

「カルっちにシュティも暢気に食べてないで手伝って欲しいっす!ちょっとユナ本気過ぎてうちだけじゃ被害無しで抑えられないっす!!」


「あたしの盾だと反射しちゃって危ないからねぇ」


「ボク、今は結界しか張れませんし、ユナの魔法も鎖も余裕で貫通してきちゃいますから意味ないですよ」


「ならば某が鎖は捌こう、ネフィラは魔法の方を」


「了解っす」


「不味いのじゃ!?光魔法ガン撃ちじゃ!?妾本気でヤバいかもしれぬ!」


「はぁ~流石にこれは駄目だ、僕も協力するかな」


「待てローズゥ!光断(クーペルミエル)ッ!」


 ぬ~当たらない、けど絶対捕まえる!

 レイが帰って来る前に叩きのめす!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




リュミス・タナトス View


「ん~ん、ん~ん?…今何してんのリュー」


「次レイに何をするか考えてる」


「レイってこの間の試練の子のこと~?」


「そうさ」


「レイ君可愛いよね~」


「当然さ、で、何で僕の部屋でお菓子食べてんの?『サクラ』」


 体育館くらいあるだだっ広い僕の部屋、その真ん中にある大きな執務机で僕は今後について考えていた。

 その後ろで当然のようにソファーに寝転がってお菓子を貪る少女が居た。


「いいじゃん~サクとリューの仲でしょ~?」


「仲が良いからって勝手に部屋に入ってくるのはマナー違反じゃないかと僕は思うんだけど」


 少女の名はサクラ・ベルゼブブ、この世界では一般的に暴食王魔として知られている。

 橙と黒色のパーカーを着ていて、オレンジ色の髪に特徴的なアホ毛がある。


「皆だって転移して入って来るから今更だよ~」


「いや確かにそうなんだけどね、でも皆一声かけてくるからね?サクラ」


「ん~いいの~」


「はぁ~もういいよ、僕も休も」


 執務机から動き、ソファーに座る。

 まだまだ時間はあるし焦らなくていいや。


「そういえば、サクラさ」


「なに~?」


「新しい使徒決まった?」


「いや、まだだね~中々ビビッとくる子がいなくてね~」


「そっか……」


 まあ、こっちも時間たっぷりあるし別に僕が行動する程でもない。


「サクラ、何か出して」


「じゃあ~リューの好物のガトーショコラで~」


「ん、ありがと」


 サクラからもらったガトーショコラを口に運びながら思考する。

 そろそろ他の使徒のこととか話した方がいいかね~?




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




レイナイト・カラーレス View


「来てくれたんですか、ベリーナさん」


「少しの間だが一緒に戦ったしな、見送りに来ようと思ったのだ」


「そうですか…」


 今、丁度王都(アルカディア)の門から出ようとしたところで後ろから呼び止められた。

 そこに居たのはベリーナさんだった。

 普通にもう暫く会わないだろうと思っていたので嬉しい。


「あ、これを持っていけ」


「何ですか?コレ」


「私特製のちょっとした消耗品だ、後で確かめてくれ」


「ん?まあ、分かりました?」


 両手で持つのが丁度良いくらいの中に何か入った木の箱を貰った。

 中身何だろ、気になる、けど抑えてストレージに仕舞う。


「では、気を付けてな、何時も私が王都に居るとは限らないがまた来た時はもっとしっかり案内しよう」


「ありがとうございます、ベリーナさん、また来ますよ!」


 俺はそう言って門の外へと足を進めた。

 たった一週間だったし奈落(タルタロス)で黒竜狩りにばっかりに行ってたから全然王都の探索できなかった。

 だからまた普通に来るつもりだったけど案内が居てくれると助かるし、来た時は頼もうっと。

 ん~濃かったような薄かったような一週間だったな。

 後半記憶にあるけど前半奈落の探索したとしか覚えてないし。

 けどまあ、本来の目的である黒竜を手に入れることが出来たし一家。

 おっとそろそろ人も居なくなったしいいか。


「大剣,『武器主(ウェポンマスター)』,よっと、じゃあ帰ろうか!」


 大剣になった黒白(ノワール・ブラン)に乗って武器主で動かし移動を開始する。

 やっぱ外の方が風が気持ちいいな。

 それじゃ、さっさと帰ってゆっくりしよう!


















◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ククッ、キャキャッ!はぁ~やっとだよ!()()ぁ~」


 辺り全てが漆黒に包まれ、何一つ存在しない筈の空間で。


「お前がこの世界に来るのをどれ程待ったか」


 男かも女かも大人かも子供かも人間かも生物かさえ分からない()()()が。


「早速少しずつ準備していこう、丁度良く駒も手に入ったしな」


 言葉を発する。


「零夜、お前という存在が俺を()()にしてくれるんだよ」


 数多の世界という理から外れたこの場所で。


「先ずはオリジンを侵略しよう、待っていろ、平和ボケした神魔共が」


 何かが密かに始まろうとしていた。



これにて、第1章 黒の始点、終了。

ここまで見てくださりありがとうございます!


まだまだ拙いところばかりですが、これからも読んでくださると嬉しいです。

『ブックマーク』,『感想』に『いいね』等々をしてもらえますと、作者が大変喜びます。

どうぞよろしくお願い致します。


物語はまだまだ続きますので、お楽しみに。


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