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勝利の後は?



 この感覚は…


「やあレイ、今日はお疲れ様」


「やっぱり、リュミス様でしたか、ありがとうございました」


 俺は起き上がり片膝をついて、頭を下げる。

 

「別にいいさ、使徒を導くのも仕事っていったでしょ?」


「それでもですよ。で今回はどんな用で?」


 俺はあの戦闘の後、確実に王様からの話や冒険者達に群がられると予測して、声を掛けてきた騎士達を全速力且つ全無視で撒いて、一人風波に帰って疲れたのでシャワーを浴びてベットに寝転がっていた筈だ。

 多分その後寝て、今リュミス様に呼ばれて此処に来たんだろう。

 にしても相変わらず此処は何処なんだ?

 真っ白なだだっ広い空間。

 物一つ無いんだよな。


「それは君へのご褒美を準備をしたからさ」


「マジすか!」


 ご褒美と言えば、エクレアですか!いや~めっちゃ楽しみだったんだよ。


「一つ言っておくと、多分大丈夫だと思うけど、美味しくない可能性もあるからね?」


「ん?どういうことですか?」


「ちょっと偶に激外れのエクレアが出てくるかもだから、その時はごめんね、そして一つ約束してくれ」


「ん?まぁいいですが」


 まあ、誰かが作ってくれているならそういうこともあるし、別に怒ったりはしないが。

 約束って何だろ?


「今回エクレアを作ってくれたのは雷光天神エクレア・ゼウスって言って、僕と凄く仲がいい子なんだけど、エクは凄く凄~く繊細なんだ、多分大丈夫だと思うけどもし壊滅的に不味かった時は間違っても美味しくないとは言わないで欲しい、ショックで五年くらい引きこもっちゃうからさ」


「……なるほど、分かりました、このレイ命にかけてもその約束を守ります」


「よろしい、頼んだよ」


 ショックで五年引きこもるって凄いな、後本当に神様が作ったものなんだ。


コンコン ガチャ


「リュー…頼んでたの…出来た…よ?」


「ありがと、エク、こっちの子が僕の使徒のレイだよ」


「あ、どうも、レイナイト・カラーレスって言います。これからよろしくお願いします、エクレア様」


 突如現れた大扉から入ってきたエクレア様にそう言い、俺は頭を下げる。

 それにしても凄いな、ストレートロングの金髪に金と銀の虹彩異色(オッドアイ)でゴシック調のドレス、インパクトも然る事ながら違和感が全く無い、それに人智を超えた強さの筈なのにこの儚げな雰囲気、そして飛び切りの美少女。

 うん、何か凄く良い。


「あの…えっと…その…よろしく///」


「はい、こちらこそ」


「じゃ、エク、頼んでたのくれる?」


「はい…今回のは…上手くいった…と思う」


「ん~とこれがレイの分ね」


「はい、ありがとうございます、これは色的に抹茶ですか?」


「うん…そうだよ」


「じゃ、食べよっか」


「ええ、いただきます」


モグモグ


 全体的に緑色のエクレアを口の中へと入れる。

 ……これは。


「凄く美味しいですっ!」


「うん、今回は凄く良いね、バッチリ」


「えと…ありがとっ///」


 素晴らしい、こんなの食べたこと無い!元の世界でも抹茶のエクレアは食べたことがあるがこれは別格だ。

 クリームは抹茶が強過ぎず程よい風味と控えめの甘さで、上の抹茶のチョコは少し強めにしてあってクリームと絶妙に合っていて、更にシュー皮にも抹茶が入っていて全体を纏め上げている。

 総じて、最高ですね!


「あ~頑張った甲斐がありましたねぇ~」


「喜んで…もらえたなら…良かった」


「いや~最高です♪ところでリュミス様、それについては触れた方がいいんですか?」


「ん?にゃんのことだい?」


「食べてから話してください、その髪の事ですよ」


「私も…気になった」


「ああ、これね、ちょっとした気分転換さ」


「…そうすか」


 この間までショートヘアだったリュミス様の白い髪が今は腰くらいまで伸びてる。

 まあ、特にどうするってこともないしいいか。


「いや~レイ今日は本当に頑張ったね」


「うん…凄かった」


「……他の神魔の方々も見てたんですか」


「そう…他にも…見ている…子は…居たけど…皆で…見てたよ」


「僕も自分の使徒が活躍してくれて、鼻が高いよ」


「……リュミス様、嘘つくの下手ですよね」


「ッ!?何んの、ことっかな?」


「動揺しすぎです」


 別にさっきの言葉が嘘という訳ではないだろう、けど本心は違うと俺の直感が言っている。


「そうですね。具体的に言えば呪屍王(カースデット・キング)の情報を先に言わなければいけなかったとことか、俺があの進化みたいのをする前に倒してしまったことが不満なのではないかと」


「……当たりだよ。もう解ってるみたいだけど呪屍王は僕が予めしっかり準備して、レイの神魔の試練専用に創り出した個体さ、試練故に先にある程度情報を開示しなければいけなかった。だからレイは全然ビックリしてくれないし楽しさ半減だったよ」


「はぁ~やっぱりですか」


「リュー…」


「然も、ベリーナちゃんの協力のおかげで呪屍王はレイが形態変化する前に倒しちゃったし、試練としては最高の結果になったけど僕は全然レイの悩み苦しむ姿見れなくて、大変不満です」


「………ふぅ」


「…リュー…それは」


「むぅ~、あんな準備したのにぃ~」

 

 リュミス様はそういう感じでしたか、薄々気づいていたけどね。

 まあ、だからといって別に使徒を辞める気なんて毛頭ないがな。


「リュー…あんまり…レイのこと…虐めちゃ…駄目だよ?」


「別に虐めているとかではなくちょっとした遊びさ、本当に危ない時は僕もしっかりするよ」


「マジな時は頼みますよ?リュミス様」


「全く、僕を何だと思ってるんだい?」


 一応言っといた方がいいかと思って。


「じゃ、オセロしましょう!」


「オセロ?…私も?」


「そうですね、出来ればお願いしたいかと」


「エクお願いしてもいいかな」


「うん…いいよ」


「では、リュミス様、何時もの出してください」


「仕方ないな、僕の使徒は」


 リュミス様がそういうと目の前にアンティーク調のテーブルとチェアが現れ、その上にはオセロがあった。

 ご丁寧にクッキーもあるし、流石だなリュミス様。


「それじゃあ、しましょうかエクレア様」


「うん…負けないよ?」


「僕は見ているとしようか」


 さ、エクレア様はどれくらい強いかね? 




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「なるほど、馬鹿強いな」


「ん…楽しかった」


「楽しそうで何よりだよ」


 小一時間程エクレア様とクッキーを食べながらオセロをした。

 結果は全負けでした。

 いや、マジで強すぎる、何で石の数で負けるんじゃなくて途中で一色にされて負けるんだろうね?リュミス様とは別系統の強さだったわ。


「ん?ああ、もう時間ですか」


「そうだね、改めて今回は結果は良かったしこれからもよろしくね♪」


「気を付けて…頑張って」


「はい、ではまた」


 不思議な浮遊感に包まれ、視界がぼやけて切り替わる。

 何時も思うが急すぎるんだよな、もう少し前兆あっても良いと思うんだが。

 

「日が出てるってことは翌日か?ふぁ~取り敢えずご飯食べよう」


 ベットから起き上がり扉へと歩く。

 今日は六日目だから一日時間があるな、ベリーナさん探して元の予定だったスイーツ食べに行こうかな。

 ん~でも昨日逃げたから面倒なことが起こりそうな予感もあるんだよな。

 もう気にしても仕方ないか。

 早速行動しよう。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「流石に人少ないな、ベリーナさん居るかな?」


 朝飯を食べてギルドへとやって来た。

 昨日みたいに人が全然居ないな、皆疲れて活動休止でもしてるんだろう。

 ん~居るかな~。


「ほ~んっ!居たぁ~!」


「ん?…レイ殿ではないか、何処に行っていたのだ?」


「いや、風波に帰って普通に寝ましたけど?」


「私はあの後、事情の説明でかなり時間を取られたんだが?」


「いや、え~と…如何にも面倒そうだったので」


「そうか、で?何か無いのか?」


「あの…その…すみませんでした」


 ベリーナさんを見つけたので近寄って声を掛けたら、別に声を荒げてる訳でも無いのに物凄い威圧感を感じたので、流石に謝った。

 やっぱ不味かったか、でも面倒そうだったんだよ。


「まあ、レイ殿も悪気は無かったのだろうが急に居なくなってとても説明に困ったのだ。次があったら気を付けてくれ」


「分かりました、ベリーナさん」


「では、元の予定だったスイーツを食べに行こうか、今日は特にやることも無いのでな」


「はい、行きましょう!」


 ベリーナさんに付いて行き、ギルドを出る。

 楽しみだ、そういえば昨日は色々あったが普通にどこのお店も営業しているんだな。

 ま、被害が無いんだからそうなるか。

 でも完全に終結した証拠だって無いのによくやれるな。

 そこら辺はこの世界と俺の常識のズレか。


「あそこが今日行くところだ」


「近くありません?いやいいんですけどね」


「別に良い店だからと言って隠れ家的にあるわけじゃないさ、むしろこのように本通りの方がいい店は多いぞ」


「そうなんですか」


 美味しければ何処でも良いけどね。

 

「でもそんなとこ普通に行って入れるんですか?混んでませんかあれ?」


「問題ない、予約を取っておいたから大丈夫さ」


「昨日取ったんですか?」


「いや、昨日あの騒動で行けなくなってしまったことを店主に話したら今日に繰り越してくれたんだ」


「なるほど~いい店主さんですね」


 ベリーナさんの知名度とかもあるだろうけどな。

 そんなことを話しているとお店に着いた。

 店内とウッドデッキみたいなとこで食べれるようになっているようだ。

 何かオシャレな人がよく行くような感じの落ち着いた喫茶店みたいな感じだ。


「二人で予約していたサードニクスだ」


「はい…確かにではこちらに」


「あ、外の方なんですね」


「そうだ、こちらの方が風通しが良く気持ちいいのでな」


「お~確かに」


 ちょっと上の段に上がっただけなのに全然違うな、何か魔道具でも使っているのかな?

 でもこれなら楽しんで食べれそうだ。

 

「では待とうか、物の方は既に頼んであるからな」


「そこまで、ありがとうございます」


「いいさ、元々私から誘ったことだしね」


 ん~いい雰囲気でゆっくり出来そうだ。

 なんだか昨日頑張った意味が増えた気がするな。



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