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【未完作】盤上遊戯愛好家の異世界言行録  作者: 白亜黒糖
第4章 首狩りと表裏の神
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Sideシトラス VS血霊 1.特製魔道具の効果



レイ《白昼夢の処刑場エクセキュート・デイドリーム》使用直後


Third person perspective


「ニャァー!!アイツやることと言うことしたらさっさと消えたニャァ!!」


「ホワイト落ち着いて、目の前の敵に集中しよう」


 シトラスが、言うこと言ってさっさと消えたレイにキレ散らかす。

 それを見たベティアが、落ち着かせるように諭す。


「でも、正直に言って方法は分かりませんが、あの男の相手をブラックがしてくれて助かりました」


「そんなにヤベェのかぁ?アイツァ?」


「近くに居ニャかったから、分かんニャかったかもしれニャいけど、アイツはマジで激ヤバニャ」


 表裏堕神()の強さが分からないといった風のブルドアにシトラスは真剣な顔で危険だったと伝える。


「ミャー達が正面からやれば恐らく即座に殺されるニャ」


「そこまですかぁ、しかも言い切りでさぁね」


「私も直感だが、ホワイトと同じだね。あの男は本当に危険だったよ」


 その見解は、間違っていない。

 実際の処《白昼夢の処刑場》の準備をしていなければ、レイでも即死していた。

 それでも、レイは生き返るので大丈夫だが、他者ではそうもいかない。

 死ぬことを前提にしているレイが表裏堕神の相手の最適だったのは揺るぎない事実だろう。

 まあ、そんなことは、直接戦闘を見ていない彼女らにとっては分からぬことなのだが……。


[……――]


「ッ!?――《欲求武装(カーマ)()庇護欲(シールド)》ッ!」


「《天毒の流璧(ベノム・カーテン)》すみません、敵を前に油断し過ぎました」


 突如、血霊の足元から"青い"液体が溢れ出し、シトラス達に殺到する。

 正面からの液体をシトラスの出した白色の盾から生じた光の壁が止め、左右は、毒々しい薄い膜のような壁が止める。


「ミャーも抜けてたし、お互い様ニャ」


「あのブラックが、全力で殺せって言うくらいだし、この液体触れたら危険だよね?」


「グリーン、それは見ただけで分からねぇか?」


「それが駄目だって言ってんでさぁ、グリーン、レッドッ!」


 また緩い雰囲気を作ろうとするベティアとブルドアにタンレスが喝を入れる。

 その喝に二人は、ハッとした表情になる。


「可笑しいね、何故だかこの状況を危機的に思えないんだ」


「俺もだな、こういつもと違う感覚だぜぇ」


「……精神異常かニャ……」


「何がですか?」


 シトラスが呟いた言葉にファシキュリアが反応する。

 全員の意識と視線が自然とシトラスに集まる。

 血霊から視線を外さずに、シトラスは口を開く。


「血霊かあの杖かは判別できニャいが、この危機感を抱けないというのは恐らくどちらかの能力ニャ。ミャー達は一応、戦いの歴が長いニャ。この状況で危機感を抱けニャァい訳がニャい、よってこの状態は強制的に引き起こされているニャァ」


「それで、精神異常の能力やスキルという訳ですか」


 さて、この推測、当たっているのだろうか?

 

[ーーェキ"イ"ア"ァァッ!!!]


 刹那、血霊から奇声が発せられる。

 その声は、全身に浸透するように聞こえ、身体に異常を引き起こす。


「視界が可笑しいニャァ」


「頭が凄く痛いねっ」


「特に変化はありませんね?」


「鼻が利かなくなったぜぇ」


「左腕の感覚が無ぇでさぁ……ランダム性の状態異常攻撃ってとこですかねぇ」


 ファシキュリア以外の全員が、身体の異常を訴える。

 

「パープルはスライムだから、人系の種族とそもそも身体構造が違う。普通の状態異常だって効かないから、多分ブルーの推測が当たってる……む?」


「感覚が戻ってまさぁ、効果切れ?」


「んなわけねぇだろぉ?この手の状態異常はこんなに早く治るもんじゃねぇ」


「その通りニャ、違うニャ」


「ホワイト、何か知ってるのかい?」


 嫌に断言的な言い方をするシトラスに、ベティアが問う。

 シトラスが断言できるのには、確かな理由がある。

 それは、


「ブラックの魔道具、この仮面の効果ニャ」


 レイから事前に、唯一人だけ特製魔道具の機能を教えられているからだ。


「状態異常無効化は付けれニャかったけど、状態異常治癒の機能ニャら付けれたって、言ってたニャ」


「そんなに凄い機能がついてるんですか、コレ」


「まあ、今のはただのオマケの機能らしいけどニャ。本機能はもっとヤバいニャ」


「これでオマケ?ブラックはとんでもねぇ人でさぁ」


 全員の気持ちを代弁したかのように、タンレスは呟く。

 だが、またしても影響を受けているのだ。

 気を、抜きすぎた。


――グアッ!?」


「レッ――ゴハッ」


「《流動毒鞭(ベノムウィップ)》ッ!――速過ぎますっ!?」


 瞬間移動して、五人の目の前に現れた血霊は、杖を使いブルドアとタンレスを吹き飛ばす。

 それに反応したファシキュリアが、鞭を振るうが、容易く回避される。

 再度、離れた所から五人を見る血霊。

 その姿を見て、シトラスは気づいた。

 

「アイツ、ニャんと言うか、さっきよりも人に近付いてニャいか?」


 戦闘開始前は、ドロドロとした液体が無理矢理人型になった感じだった。

 だが、今は異なり、粘性を帯びたとでも言えばいいのかフォルムが定まったとでも言えばいいのか、兎に角人間に近付いている。


「言われてみれば……《灼熱の業火(インフェルノ)》ッ!時間経過で強くなるなら、その前に倒すが吉だよね」


「そうだニャ、レッド、ブルー大丈夫かニャ!」


 血霊に向けてばかすか火魔法を連発するベティアを脇目に、シトラスは吹き飛ばされた二人の状態を確かめる。

 レッドとブルーは、以外にもすんなり立ち上がった。


「ダメージはそれほどでもなかったなぁ」


「恐らくこのローブのお蔭でさぁ、衝撃だけで済みましたぜぇ」


「上位物理耐性……どれだけ本気ニャのかニャァ」


 話だけは聞いていたシトラスは、実際に見るその機能の高さに驚き呆れる。

 そして、すぐさまそれを思考から追い出す。


「ブルーとパープルは防御!レッド、グリーンとミャーが攻撃ニャ!全員気合い入れ直せニャ!」


『了解ッ!!』


 レイの時とは、異なる息の揃った声が返ってくる。

 状況の違いか、将又レイの統率力が低いからか……まあ今は関係のないことだ。

 兎も角、シトラスの簡易的な指示に合わせて全員が動き出す。


「《宝言顕現(ランゲイジ)()翠玉(エメラルド)()黄玉(トパーズ)()紅榴石(ガーネット)()鏡鉄鉱(ヘマタイト)》」


 駆けながら、シトラスは自身の収納から取り出した宝石に『如意宝珠(ジェムズマジェスティ)』を使う。

 効果は思考強化、身体強化、事態好転、死期回避だ。

 因みにだが、『如意宝珠(ジェムズマジェスティ)』は使用する宝石の品質が良い程、それぞれの効果が高くなったり、複数の効果を得られたりする。

 シトラスが普段から使い、今も使ったのは、有り余る金で買い漁っている世界(オリジン)最高峰の宝石たちである。

 それ故、効果は凄まじい。


「《弾倉交換(エクスチェンジ)()(ポイズン)》,《廃れや影響(ティリア・インパクト)》……成功ニャ」


 シトラスは、両手に構えた{真理を荒らす罪禍銃(ミストルティン)}の引き金を引き、大聖堂中に紫色の弾丸を撒き散らす。

 その弾丸は、空間に掛けられた影響を廃らせ打ち消す。


「ホワイト、君が何かしたんだろうけど……」


「不味いなぁ、コイツァ」


 異変に一早く気付いたのは、シトラスと共に血霊へと向かっていたベティアとブルドアだ。

 そして、それに続くようにして、ファシキュリアとタンレスも感じた。

 血霊という存在の脅威を。


「こんなにも、重苦しいっ」


「虫図が走るってのはぁ、こういうことを言うんですかねぇ……」


「けど、浮かれた状態よりマシだ二ャ、ブラックの言ってたこと、全員が理解できてニャろ?」


 ただ、そこに居るだけで不快感を催し、息苦しさを感じる。

 現実に存在してはいけない、生物?であることを全員が、再認識する。


「全く、ブラックは無茶を言ってくれるニャァ……」


 シトラスは、手に納まる自身の武器を再度握り直した。



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