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【未完作】盤上遊戯愛好家の異世界言行録  作者: 白亜黒糖
第4章 首狩りと表裏の神
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Sideレイ VS表裏堕神 1.白昼夢の処刑場



 隣に現れたアリスを即座に引き寄せ、仮面を外して口付けを交わす。


「んっ…ふぅ、行くか」


「レイ、何してるニャッ!?今そんなことしてる暇ニャいニャ!?というかその子誰ニャッ!?」


「後で話す。今は血霊に集中しろ」


 時間が無い、行動される前に引き込まなきゃならねぇからな。


「俺が出来る最大限のサポートだ《夢幻創造(クラフトドリーム)()絶対なる隔離の壁アイソレイトアブソリュート》」


 大聖堂を覆うように空間隔離の結界を張った。

 "簡単には"破れないだろう、あくまでも"簡単には"だ。

 あの杖の性能によっては、直ぐぶち破られるかもしれない。

 または、血霊が自身の力、新たなる贄の吸収で強化する場合も同様だ。

 

「さてさて、クソ神、俺と遊ぼうか」


「君程度の雑魚が、ボクと?気に入らないね」


「それで、結構だ。俺もお前が大っ嫌いだからな!!」


 分かるんだよ、堕ち切れぬ者のように外側に溢れていないが、アイツの内側にあるドス黒く気持ち悪い力がな。

 だから、殺す!


「《白昼夢の処刑場エクセキュート・デイドリーム》」


 刹那、世界が切り替わる。

 白塗りの地面に空、そして真っ黒な太陽が浮かぶ空間。

 此処はアリスの《夢見る不思議の国ドリームワンダーランド》の改良版の支配領域だ。

 アレも数段戦闘に特化している。


「《立場反転(ポ・リバーシア)》――む?」


―――《空間破壊(エリア)》」

―――《不可逆重力(イリバシーグラビティ)》」


 無様に立ち尽くす表裏堕神の背後に回り、空間ごと破壊を試みる。

 アリスには同時に重力を操作してもらい、回避を妨害してもらう。

 《白昼夢の処刑場》は機能しているようだ。

 この領域の機能その一、敵性生物の能力を無効化する機能が発動した。

 まあ全てを無効化は出来ない、再発動に一分くらいのインターバルが必要だ。

 だが、これで作り出せる隙は大きい。

 

「ちょっとだけ痛いね、腹が立つよ」


「ま、健在だよな」


 想像通り、表裏堕神は修復された空間に悠然として立っていた。

 ちょっとだけコートの端が傷ついたくらいか。

 

「《召喚(サモン)()夢幻銃(ヒュプノス)》――お兄さん、どう攻めます?>


「ん?ああ、そういうことね」


 隣に居るアリスから念話が来る。

 態々口で話して相手に伝える馬鹿は居ないよな。


<そういうことです>


 んじゃアリスはデバフ、隙が狙えたら攻撃で良い。

 攻めは正直言って俺で十分だからな。


<了解です!>


「暢気にしてもらっては困るね!《冥堕界の門(ハデス・ゲート)》ッ!さあ、頑張ってくれ、ボクのコレクション達!」


「何で毎回こうかねぇ、真面に戦えよ」


 表裏堕神の背後に出現した大きな赤色の門が開き、内部から大量の骸骨たちが出てくる。

 骸骨たちは、赤色の何処かで見たことある武器を持ち、中には赤色の鎧を着ているものだっている。

 宛らそれは、骸骨の軍隊だ。

 俺、異世界に来てからアンデット系の奴らばっかと戦ってない?

 もっと真面な敵を準備しろ神様ッ!

 ……しまった、リュミス様たちからは見えるようにしたけど、こっちの聞こえないようにしておいたんだった。

 

「《痛覚断絶(ペインカット)》,からの切断、千変万化(パーフェクトコピー)


「それに慣れるのは止めた方が良い気がします」


「大丈夫、慣れてない」


 『武器主(ウェポンマスター)』で支配した灰塵剣(グラム)で痛覚を斬り、同時に右腕を肩口が切断して、黒白で右腕を作る。

 こっちの方が便利だから、戦闘ではやるが、普通にヤバい奴だからな。

 慣れないように気を付けている。

 ……そろそろ集中しようか。


「数には数で、定石だよな。直結接続(リンクオン){極昌具(クォーツィム)}人武装を全射出」


 俺達を見下ろす黒い太陽から、地下一階で集めに集めた全ての人武装たちが白い地面へと降り注ぐ。

 降り注ぐそれらは、骸骨どもを軽々と砕く。

 この領域の機能その二、極昌具の収納空間への直結機能が上手く作動した。

 あの黒い太陽、ただの置物ではなく無数の機能があったりする、収納の取り出しはあの太陽を通して行われるようにしてある。

 取り出すだけで攻撃になるからな、だが、これからだぜ。


「《武器主・我が掌中にあり(プロパティ)》……よし、後は任せたぜ、レン」


<了解、マイマスター>


 レンは『記憶庫(メモリーズ)』と連携というか半融合していて、通常他のスキルを操作することが出来ない。

 これは、神魔器として生まれた制限で世界(オリジン)では覆すことが出来ない絶対のルール。

 だがこの領域ならそれを捻じ曲げて、レンに俺の他のスキルを制御させれる。

 この領域の機能その三、神格の能力拡張の機能が正常に作動している。

 骸骨はレンに任せて無視、アリス、クソ神を叩きに行くぞ。


「《時間加速(クロックアップ)》,《時間遅滞(クロックダウン)》」

 

「《黒薙・離断》ッ!」


 自分達を加速させ、世界を遅れさせる。

 暴食の斬撃を表裏堕神へと飛ばす。


「《作用反転(エ・リバーシア)》はぁ、面白くないから直ぐに死なないでね《倒錯炎華(ハイ・デイジス)》」


「はっ――ぐっ」


 突如、自身の身体の動きが鈍くなり、表裏堕神の掌に浮かんだ魔法陣から放たれた赤黒い炎を直接喰らう。

 何が起きたっ?


「うっ、これは感覚が」


 炎を喰らった瞬間に五感が異常をきたし、立っているだけで精一杯だ。


――気を抜きすぎだよ《悪化炎輪(ハイ・フレグア)》」


「《封絶する夢幻の防壁ディスコンテ・ドリーム・バリアズ》」


「おや、防ぐのか」


 迫って来た複数の赤黒い炎の輪が薄い膜のような結界に全て防がれる。


「治療が先決、『死ね』……済まん、助かったアリス」


 即座に自分に掛かっていた悪影響を殺し、復帰する。

 領域が上手くいって油断していた、失敗だぜ。

 気を引き締めよう。


<いえ、お兄さんが動けなくなったのは私のせいです>


「《劣化炎矢(ハイ・ディストア)》」


「なに?《破黒雷撃(ハコクライゲキ)》ッ!!」


 飛来する赤黒い炎の矢を迎撃しながら、アリスの言葉に耳を傾ける。

 アリスはいいバフとデバフを駆けてくれてたと思うけどな?


<それが問題なんです>


 どういうことだ?


「ほらほら《倒錯炎砲(ハイ・ミサリグ)》」


「《死閃熱雷(ゼル・マウト)》デバフ付きの癖に威力が高いんだよクソが」


 赤黒い炎の砲撃を黒死雷魔法で相殺して、思考の七割を表裏堕神に、三割をアリスに割いて次の一手を考え、動き続ける。


<さっきお兄さんが、攻撃する瞬間だけ時間の作用が反転させられていました>


 作用が反転?どういうことだ?簡潔に頼む。


「少し趣向を変えようか。《冥堕界の門》ボクのコレクション達!特攻と合体を頼むよ」


「チッ、更に増えんのかよ」


 再度、赤色の門が表裏堕神の背後に出現し、そこから新たな骸骨たちが溢れてくる。

 新しく出てきた骸骨中には、最初のと違い身体を構成する骨も赤く染まっているのが居る。

 それらの骸骨は武器を持っていない、つまりは特攻部隊ってことだろう。

 混じらせてくるあたりが嫌らしいぜ。


<早くなると遅くなる、遅くなると早くなる。そんな風に効果が逆になっていました>


 成程、だからアリスのせいってか。

 別に気にしなくてい、あのクソ神のせいだしな。

 だが、反転か。

 アイツの能力の推測に役立ちそうな情報だな。


「アリス今からデカいの放つ、複製を頼む」


<了解ですよ!!>


〈〈《極撃・限定発動(リミットリー)》-《(モルス)()武装集束(コンバージョン)》-《暴食浸透(ペネトレーション)》-《認識情報改竄(アルター)()拡大(ズーム)》〉〉


 骸骨の軍隊を前に、灰塵剣を正眼に構える。

 灰塵剣の刃が濡羽色に染まり、その上に紫黒の罅割れのような模様が入る。


「《我は確たる終幕を語る(OneSide)》ッ!!」


「行きますよ!《現象複製(フィノメノンコピー)》ッ!」


 振り下ろされた灰塵剣の軌跡から生じた漆黒の斬撃が、骸骨の軍隊を薙ぎ倒す。

 その斬撃が放たれた直後、同じ斬撃が全方位に現れる。

 良い威力だぜ。

 『武器主』による攻撃は、一旦中止だ、レン。


<承認、作業を一時停止します>


 空から降り注ぎ、骸骨を貫いていた武器達が地面へと突き刺さり、その動きを停止させる。


「いやぁ、想像以上だよ君たち」


「そりゃ、どうも。だったらさっさと死んでくれるか?」


「無理な注文だね、まだまだ殺し合い(遊び)は始まったばかりだろ?連れないこと言わないでくれよ」


 ですよね~。

 余裕なのが腹立つぜ。


「面白い君たちに敬意を表して、ボクも少し力を出してあげる」


「…………アリス、気ぃ張れ、嫌な予感がする」


「分かりました」


 俺はアリスを引き寄せて、灰塵剣を盾にしながらクソ神を注視する」


「規律の崩壊、狂え―――



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