報告、解析、許可
……多分、朝だな。
だよな、レン?
<時刻、現在午前6時13分です。おはようございます、マスターレイ>
<おはようですよ~お兄さん>
おはよ、二人共。
ところでシトラスの部屋、やっぱ窓の付いたとこに移動するとかした方が良くない?眠気には陽の光よ。
というか俺自身がそれに慣れてるから、凄い違和感なんだよな。
外部に情報を漏らさないとか、身の安全を考えるなら内側の方が良いことは理解してるんだが、今一なぁ?
「シトラス~起きろ~俺が動けん」
「う、ニャァ~……」
シトラスは俺に重なるように寝ている、そのせいで行動が出来ない。
移動させればいいんだろうが、寝ているせいなのか知らんが力が馬鹿強い、全力込めても動く気配ゼロ。
俺、別に力が弱いとかそう言うことはないと思うんだがなぁ。
「うぅ~頭、痛いニャァ……」
「お前が二日酔いになるんかい」
確かに昨日、いつもより酒というかカクテルを飲んだが、俺は割とセーブしていたので別に体調が悪いとか気持ち悪いとかは特にない。
反対にシトラスは、本当に浴びる様に飲むという表現が合うくらい飲んでた。
だってグラスでタワー出来てたもん。
思うんだが、絶対にシトラスの小柄な身体の内容量以上に入ってた筈なのに何故飲めてたんだ?
(それはね~、体内に入れた物を魔力等に強制変換する技があるんだけど、シトラスちゃんはそれをやってたんだよね~)
そんな技術があるのか、俺も出来るように……なりたくはないな別に、出来ても良いくらいだな。
あれ?でもそれなら酔ったり気持ち悪くならないのでは?
(何事にも限界はあるもの、それに大体は変換出来るけど、アルコールとかは完全に変換出来ないんだよね~。他にも高濃度魔力中毒、所謂魔力酔いにもなるから~やりすぎ注意だよ)
そうなんですか……やっぱ使えるか使えないか微妙な技術だな。
サクラ様から微妙な知識を貰ったところで、本格的にシトラスを起こすか。
シトラスの体内に残るアルコールと、それによる影響だけを的確に殺して、シトラスの状態を正常に戻す。
ミスると流石に不味い……けどまあ大丈夫、俺は俺自身を信じているから。
「対象を設定、対象の明確化、対象を完全捕捉……『死ね』」
敢えて口に出すことで工程を意識し、失敗を無くす。
成功した……かな?
「ぺしぺし、起きろシトラス」
「うニャ?何か気持ち悪く無くなったニャ!」
「そりゃあ、俺が治したからな」
「そうニャんだニャ?ありがとうニャァ」
使い方一つで、生かすも殺すも自由自在、まあ殺してるだけなのだがな、流石権能。
「じゃあ避けてくれ、動けないから、俺は王城に昨日のこと報告行くから」
「ああ、そういえばそうだったニャ。ミャーも言った方が良いかニャ?」
「ん~、そうするか……一応倒したのシトラスだし、ならさっさと準備するぞ。首狩り自体の解析もしてたいからな」
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と、いうことで、城の応接室にやって参りました。
―――――――――――
二 一
空|□ □|老 窓
王|長 机|男
三|□ □|女
入 零 猫 窓
口
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「首狩り、討伐したぞ~」
「いや、レイさん、何で倒してるんですか、確保って依頼でしたよねぇー」
「話を聞けば理解できる、というかまず出すか」
首狩りを収納から取り出し長机の上に置く。
改めて見ても真っ黒だな。
「これが首狩りだ」
「これは、人間……いや生物じゃないの……これが本当になの?」
「そうだニャ、戦闘中はミャーが見たことある通りに黒い靄の掛かった状態だったしニャ」
シトラスがレーシュ達に色々と説明してくれている間に、解析をすることにしよう。
「シトラス、説明諸々任せた。俺解析するから」
「了解ニャ!」
「行くぞレン……《我は万象を見通す・究明せよ慧眼》」
昨日晩酌をする内にレンに開発を頼んでいた技を使う。
《我は万象を見通す》では解析力が足らなかった、完璧に解析も出来なければ、隠された情報もあった。
正直心苦しかった、俺は酒を飲んで、レンに技の開発を頼むなんて。
でもレン滅茶苦茶嬉しそうだったし、結局俺は気にしないことにした。
<解析、開始……マスター使用の心地は、如何ですか?>
ん~いつもより快調、何か俺に掛かる負荷も少なくなってるな。
レンの方は大丈夫なのか?
<無事、改良と修正を重ね、負荷を減らし解析力を向上させました>
凄いな、高性能すぎるぞ、うちのレンが。
解析は順調っと。
……ふむ、転移は取り換え可能な、加工済みA級魔石を使っているようで、セット可能数は20、意外と多い。
転移の使用で魔石一つが消費される、燃費悪いな。
仕込まれていた魔法陣、これは凄いぞ、見たことが無い。
燃費自体はこの世界の魔法より良い、魔石で使用する工程でロスが出ているのか。
首狩りの核には、S級の魔石が使われている。
魔道具として機能する為に刻まれた魔法陣は……千を超える。
直径10㎝の球体だとしても多すぎるぞ……人間技ではない。
これは面倒だな。
そして問題の認識阻害だがこの首狩りに"そんな機能はない"。
既に9割解析したが、そんな機能は何処にもなかった。
つまり、外部による後付けで認識阻害の効果があったってこと。
分かっていたことだが、やっぱ外部の犯行だよな。
そして製作者が完全に解析できた……『表裏堕神の使徒』か……クソ怠いな。
然も表裏堕神、完全に堕ちた者だねぇ、あ~助けて~誰か~。
(頑張ってね~レイ、今度はしっかりしたお菓子作っておくから~)
うぅ~ありがとうございます、サクラ様ぁ~。
頑張ろう。
やはり目指すは、地下街だろうな。
「レイ、大方の説明は終わったニャ」
「ん、ありがと。で先に言っとくべきことがあるんだが」
「一体なんですかぁ?」
これが今回一番、言おうと思ってたことで。
首狩りは魔道具なんだ、つまり。
「首狩りは魔道具である以上、複数個存在する可能性がある。黒幕の件もあるが、首狩りが又出現する確率は大いにある。警戒は怠るなよ」
「えぇー?こんな魔道具複数個あるわけ「あるんだよ」……」
「ルトレスタ、お前の常識で今回の件を語るな思考するな……相手はこの世界の理の外の化け物共だ。十中八九、九割九部の確率で魔道具『禍ツ首狩リ』は複数体存在する、こいつら多分ただの雑兵だろうし」
「…………すみません」
少し厳しいようだが、これは今回重要なことだ。
正直俺たちの領域に踏み込んでいないルトレスタには酷も酷なのだが、協力すると決めたからには仕方ない。
雑兵だというのは予想だが、そう外れてもいない筈だ、複数体居るのは確定している。
この首狩り、一部の部品が量産品のような感じなのだ。
嫌なもんだぜ。
「てなことなので、本元を叩かない限り今回の件は終わらない、俺も地下街を本格的に捜索するんだが……問題は当然起こるわけで……許可くれん?免責特権みたいなの」
流石に地下街だって国の所有物な訳だからさ、我が物顔で行動して何か問題起こすと、普通に法律違反なんよ。
俺が幾ら使徒であろうとも、犯罪者になる気は無い……一応。
<そこは言い切りましょうよ、お兄さん>
いや、本当になった時の保険にそこは断言したら駄目だ、逃げ道は何処にでも準備しておくべき。
姑息でもどうとでも呼べ!
「いいの、寧ろ無いとアイたちの方が多分あとで困るの……言い訳が聞かなくなるの」
「許可は頂いた、俺はこれから地下街に行くが、シトラスは如何する?」
「ん~これを機に、時流国の上層部と懇意になっておきたいのニャ、便利ニャし」
「了解、じゃ俺は行くわ」
一人の方が今回は行動しやすい。
さっさと突き止めて終わらせてやるぜ。
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