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夢見る白雪姫

作者: 秋の桜子
掲載日:2018/09/09

 おとぎ話は、時代によって幾度も、少しづつお話を変えて生まれ変わっています。


 シンデレラしかり、眠り姫しかり、そして白雪姫。


 いまからお話するのは、彼女の夢の物語。物語は、ガラスの棺で眠っている場面から、始まります。


 それでは、夢見る白雪姫のお話、始まりはじまり。



 …………あぁー、退屈だわ、おとぎ話の中で生まれてから、一番の盛り上がるラストで、一体何回毒リンゴをかじって、倒れて、


 ガラスの棺で、眠っているのを、繰り返すのかしら?


 私、これまでの経験で、結構たくましいし、心だって打たれ強いと思いますのよ。


 大体、ヒロインなのに苦労し過ぎですわ、プリンセス、あの子も、この子も、彼方も此方も、


 継母にいじめられ、こきつかわれ、悪い魔女の呪いとか、あら?こうして、ゆっくりと、考えましたら、


 私は、フルコースなのかしら?優しい魔女?そんな甘い御方は、登場されなくてよ。


 継母のお母様が、魔女を兼ねて、いらっしゃるのだから、たちが悪いわ。一番の悪の継母だと思っていよ。


 だって、苛めて、殺す為に追い出し、逃亡先を突き止め、最後の仕上げに毒リンゴ、どれだけ執念深いのかしら?


 そもそも、あの魔法の鏡が、余計な事を、お母様に吹き込むのが、いけなくてよ。


 私のイメージに、相応しく無いから、内証にしておきましたけど、お城にいるころは、何回、斧を片手に、鏡の間忍び込もうとしたか、


 まぁ、今は違うけど昔のお話なら、お母様にしっかり復讐出来ましたから、もう良いですわ。


 今の時代でも、ひっそりと、昔風のお話も残っていますもの。そこでしっかりと!すれば良いだけのこと。灼熱の温度を見極めるのも、極めましたわ。


 ……私が最近、許せ無いのは王子様。ご苦労が無いじゃない。最後にしか、出番がございませんけど、少し不公平なんじゃなくて?


 ああー、それにしても退屈ですわ、何か、こう

 スカッとする出来事が、起こらないかしら?


 ………そう、こういうストーリーは面白くなくて?



 ―――昔、むかし、あるおとぎ話の王国に、哀れな若い王子がいた。


 産まれ落ちたその時に、優しい王妃であった母親は、天国へと召され、次に、成人を迎える頃に、父王が病に倒れると、あっけなく愛妻の後を追ってしまった。


 彼の不幸は、まだまだ続く。当時摂政として、父王を補佐していた、父の弟である叔父が、王座を獲るべく兵を上げたのだ。


 そして哀れな王子は、政権争いに敗北し、叔父が新しき国王となった。前王の息子は、新国王にとっては邪魔な存在。


 そのまま、若き命を散らす処なのだが、神様はそんな彼に、一つの贈り物を与えていた。


 それは、人々を魅力する『美しさ』


 黒い髪、涼しげな目元、鼻筋通った顔立ちの、見れば見るほど男前。そして彼の叔母はそんな甥っ子が、大のお気に入り。


 そして、彼女の夫である新しき国王は、尻に敷かれて、妻である王妃に頭が上がらなかった。


 哀れな王子は、その美しさで儚い運命から逃れる事が出来たのだった。


 ……長じて、輝く美男子と成長した彼は、城に訪れる身分高き女性達、仕える侍女達の憧れの君。


 しかし、彼に近づく者は誰一人としていない。皆、王妃に恐れをなしていたからだ。彼女は『魔法の鏡』を扱う魔女だったからだ。


 現王があえて王妃と結婚したのは、持ち得ていた莫大な財産。それに対し、王妃は退屈しのぎに気紛れに、プロポーズを承けたのに過ぎない。


『とんだ悪女の深情け』王妃である叔母は、お気に入りの甥っ子の行動全てを、魔法の鏡で常に監視しており、声どころか、彼に視線を送った女性全てに、呪いをかける始末。


 耐えきれなくなった王子は、ある夜ひっそりと城を抜け出した。


 すると、その事に気が付いた国王が、これ幸いと、配下の狩人に甥っ子の抹殺を命じる。


 そしてその事を知った、王妃が即座に国王を抹殺し、女王として君臨したのは、また別のお話。


 ………王子は力の限り、黒い闇に覆われた森の中を駆け抜け、追っての手を、かろうじて振りきると、やがて力尽き、ふらふらとさ迷い歩く。


 やがて、彼の前に現れる小さな家、言わずと知れた『七人の小人』達の住居、


 疲れはててた彼は、留守だったその家に入り込むと、住人達のベッドで眠り込んでしまう。


 目が覚めると『七人の小人』達が心配そうに、彼を見つめていた。聞かれるままに事情を話すと、皆涙を流し、ここで楽しく暮らしましょう、と手を取ってくる。


 王子は有り難くその言葉をうけ、小人達と楽しい毎日を過ごす様になった。


 その頃、女王となった叔母は、魔法の鏡を駆使し、王子の行方を追っていた。そして見つける小人達の家、


 そこで、楽しく暮らしている、甥っ子の姿を見ると、自分には見せたことも無いような、明るい笑顔、魔女の心にわき上がる、可愛さ余って憎さ百倍、


 あの様な晴れやかな笑顔等、二度と他の者には見せることなど出来ぬ様にしてやろう、と毒リンゴを作り、物売りの年寄に化け、かの家へと向かう。


 運良く目当ての王子に出逢うと、毒リンゴを勧める魔女であり、老女の姿に化けた叔母、


 何も知らぬ甥っ子は、晴れやかな笑顔で目の前の老女に礼を述べると、その場でリンゴを口にしようとした時、無垢な、まばゆい笑顔に負けた魔女は、彼が手にしていたリンゴをはたき落とすと、泣き崩れた。


 驚き手をかける王子、その時、老女が、被っていた黒い布が、はらりと落ちる。


 その下から現れたのは、かつて叔父から命を守ってくれ、その後、自分を少々重く愛してくれていた叔母の姿。


 涙ながらに、事情を話し、許しをこう叔母に対して、彼は優しく叔母の事を許し、二度と悪い事をしないのなら、一緒に森で暮らしましょうと、声をかけた。


 ここは、何もない森の中ですが、城の中とは違い、穏やかで優しい毎日があります。七人の小人達もきっと、喜んでくれますよ。と


 そうして、穏やかで楽しい毎日を王子は、七人の小人達と、叔母と過ごしていた日々の中で、


 散歩に出掛けたある日の事、美しい女性と彼は出会う、彼女の名前は『白雪姫』隣国の王女だった。


 二人は、一目で恋に落ち、結婚の約束を結ぶ。


 白雪姫は、一度国へと帰ると、婚礼の用意を整え、愛しき王子様を迎えに、教えられた森の中の家へと向かった。


 そして、その運命の扉を開くと、目の前に広がる光景は、


 麗しい王子を取り囲む、七人のプロポーション抜群の小人族の乙女達と、魔力により艶やかなうら若い姿に化けている女王、完全なるハーレムな世界。


「これは、どういうことですの?王子」


 冷たい声で詰め寄る白雪姫。対する王子は、皆家族なんだよ、と悪びれることの無い返事が、かえってくる。


 白雪姫は、にこやかに笑う王子の目と鼻の先に、静かに近づくと、


「ふらちものー!この!女ったらしがー!」


 雄叫びと共に、響き渡る、彼女の全力を持っての平手打ちの音。


 それを受けた王子は、見事に、部屋の端まで飛ばされた……


 穏やかな森の中の小さな家、そこでは、


 冷ややかな視線で、床に転がる王子を見下ろす白雪姫の姿。


 そして、部屋の端では頬を抑えて、涙を流す王子の姿。


 唖然とする居合わせているハーレム要員。


 ………その後、二人がどうなったのかは、誰に聞いても知らぬと言う。今は昔の物語。


『終わり』



 ―――ふっ、いい気味ですわね、スッキリいたしました。平手打ち、良いですわね、誠にスッキリいたしましてよ。ふふふ、くせになりそうですわ。


「何という美しい姫なのだ」


 あら、楽しんでいましたら王子様のお声がいつの間に。


 そろそろ私も、準備をしなくてはいけませんわ。


 うふふ、今回は何時もより愛らしく、目覚めの時を迎えられそうですの。平手打ちのお陰ですわ。うさが晴れてなりより。


 さぁ、時が参りました、それでは、皆様、ごきげんよう。



お、わ、り





























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