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盗賊戦1

「ふーん、そうか。そんなことは絶対にしないから安心しろ」

 彼はそう言ったものの欲しかった情報が入ってないことに少し落胆した。

「シンドウたちは地球から来たのだとしてなんのために送られてきたかわかるか」

「俺が城の時に聞こえたのは魔王討伐と一国統制を連呼してた。戦争のために連れてきた可能性は高いと思うが」

 彼は笑いシンドウにありがとう、と伝えた。

 悪くないか、彼の頭の中にはそのような気持ちが出来ていた。そして彼は携帯の電源を入れ想い人であるセイナの名前を検索欄に入れた。

 ヒットしたのか、少し彼は笑をこぼすとすぐにその表情を変えた。

「俺は王国と戦うかもしれない、そうなったらシンドウは逃げてくれるか」

「……俺はヨーヘイさんと戦いたい。理性を取り戻した今なら俺はあの時よりも強い。それに誰かを助ける時に俺の固有スキルは使えます」

 彼はそれがわかっていたが言えなかった。そうするってことは捨て駒になっても構わないと言っているようなものだからだ。

「俺が見ていた限りでは範囲内での概念、つまりは認識を変えるんだろ。……死にたいのか?」

 そんなわけないじゃないですか、とシンドウは笑いながら答える。

「例え死に体になったとしてもヨーヘイさんの援護がしたいんですよ。それにヨーヘイさんが俺を助けてくれるんですよね」

 彼はシンドウのその言葉に少し心を動かされた。昨日の猛虎は人懐っこい猫へと変わっておりその気まぐれが変わる前に決めておいた方がいい、と考えた彼は言う。

「そうだな、俺とシンドウで王国のある人を奪う。そいつは俺の想い人だ」

 シンドウは頭をうんうん、と上下させ笑いをやめなかった。それに照れくささを感じた彼は数回横腹を突っつき笑い合う。

 そして彼はもう一度携帯のマップを見た。何気ないその行為によって彼はシンドウに一緒に来てくれ、と言ってから宴の場に向かった。

「みんな、起きてくれッッッ。ここに悪意ある者たちが迫ってきているんだ」

 まだ起ききっていない村人たちは完全に仲間となりきれていない俺を信用しない、と彼は思っていたがそれはすぐに否定される。

「……みんな、準備を始めろ。英雄様のお達しだ」

 村長であるお爺さんが半数を周りの警備に半数を彼の前に集めた。それを見てすぐに彼は言わなければいけないことを話す。

「まず、総数約百八十人程はいる。その中にはリックがいた。多分、リックの話を聞いて美味しい話と感じた盗賊が手を貸したってところだと俺は思う」

 お爺さんはわなわなと震え右手に杖を出した。

「それで私たちは何をすればいいですか」

「簡単な城壁を作ってください。土魔法で数度叩けば壊れるほどでいいです。それのすぐ下に二メートルほどの穴を作ります。また俺とシンドウは外側で勝手に戦わせてもらうので戦える人、出来れば遠距離攻撃を使える人は家の影等から穴に落ちた人たちを殺していってください。無理なら傷を追わせるだけでいいです」

「他の近距離専科の者達は?」

 うーんと一つ考えてから彼は声に出した。

「この宴でほかの人たちを護衛していてください。この中で一番強い人は?」

 彼がそう聞いた瞬間に手を挙げたのは昨日のおっさんだった。

「俺だ、マーブルという」

「それじゃマーブルさんにはコレを、貸すという形ですがコレで守ってあげてください」

 そう言って彼が渡したものはSRであった炎の魔剣。この世界において最下級の魔剣であっても一般人にとってはそれを買うことは出来ない。ましてや炎の魔剣はSRながら一家が一生遊んで暮らせるほどの価値がある。それを知りながらマーブルはこれを受け取った。この時初めてマーブルは思った。良き人と縁が出来たとこれが神からの救済なのだと。

「我がマーブル、ヨーヘイ様への御恩のために滅私奉公、死ぬ気で戦い抜きます」

 その言葉は考えることなく口から零れた。彼は驚きはしたもののそれを否定することはしなかった。

「戦え、みんなを守るために。俺らが生き残るために」

 そうして彼が行ったのは鼓舞。この時彼は気付かなかったがアナウンスが流れていた。

【条件クリア】

【第一の固有職業を解放します】

【固有職業、指導者の解放を確認】

【迅速に第一職業である見習い剣士を指導者に変化させます】

 それを知らないマーブルたちは心の底から歓喜した。その時マーブルたちは自分の力が強くなっていることに気付く。

「我らが敵から皆を守りましょう」

 そうしてステータスの上がった村人にとって塀などを作るのには大した時間はかからなかった。それどころか塀をより固くして頑丈なものへと変えその上から攻撃できるように遠距離攻撃の出来るものは準備を始めた。

 数時間は経った頃だ。夜闇に紛れて中へ侵入しようとする男を警備の者が捕獲する。もちろん、男は驚いた。今まで住んでいた村は簡単な防壁を築き中へ入りづらくなっていた。

「誰が……こんなこと」

「リック、お前はやり過ぎた」

 そう諭すかのようにマーブルはリックの手足を縛り気絶させた。マーブル自身やりたかった訳では無いがそれでもリックとヨーヘイ、どちらをとるかなど決まっていた。

 薄ら闇に光る松明が数個。それをただ呆然と見ていたシンドウはすぐに行動に移る。力を過信している訳でもないがシンドウは見ただけでわかった。盗賊たちが農民上がりの見習い盗賊だと。剣の持ち方、というよりは桑の持ち方で全員が鎧をまとっているわけではない。そのものたちの命が散るのはそう長くはなかった。

 そして彼はというと本陣の近くに座っておりそこを眺めていた。彼は自分が強いとは思っていないため用心に用心を重ねて戦おうと考えていたからだ。

 そして戦いの幕開けは案外簡単なことから始まる。

「斥候の何人かが殺されている。ましてやあの野郎も帰ってこない」

 狼狽える陣営に自分の毒牙を刺そうとするかのように銃を構えた。

出来れば盗賊戦2も今日中に出せるようにしたいです(願望)

主人公は何かしらの条件をクリアさせると能力が解放されていきます。ゲームでいうところの称号獲得の方法が知らないだけという若干鬼畜なものとなっていますが。

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