男の戦い……レベル上げ☆
彼は今まで濃い物事から疲れを感じとりあえず寝させてもらうことにした。もちろん彼一人で。
何故かごねるサーシャをお爺さんに引き渡した彼は鍵を閉めて寝た。
はずなのだが、目を覚ました彼の隣にサーシャがいた。しかも半裸で。
もちろん彼は確固たる意思でやってないと考えた。異世界転移当日にこんな修羅場を彼は望まない。
「……おはようございます、さっきまでは乱暴だったのに。表裏があるんですね」
ーーいややめて、そういう目で見ないでやってないはず、そう認知しなければーー
「私一人でもこの子を育てます。この子は貴方が残してくれた忘れ形見ですから」
彼の考えをわかっているのかすぐにサーシャは言う。
「いや俺死んでないからね、あとからかうのはやめて」
はい、冗談ですよ、と笑うサーシャを見て油断ならないと彼は思いながらまた笑う。しかしすぐに気付いた。あれ鍵の件忘れてないか、と。
「ところでサーシャ、鍵はどうやって開けたの」
「私の固有スキルに斥候スキルというものがありまして、斥候のやることならほとんど出来ます。施錠でさえも」
少し黒い笑顔を浮かべたサーシャに彼は恐怖を抱きながら外に出る。日は落ちているのでリックはもうここにはいないのだろう。まだ準備が出来てないからここで少しの間暮らすのも手か、と彼は考え始めた。
「サーシャ、ここに少しの間いてもいいか」
「もちろん、ここは私たちの愛のーー」
サーシャの言葉を途中から無視して宴の準備をしている場に彼は向かった。香ばしい香りが彼の鼻腔をくすぐる。それならこのお肉も渡して食べてしまいたいな、と倉庫からあるものを取り出す。いくら倉庫の中では劣化はしないとはいえ食べれる時に食べておきたい、という彼の願望だだ漏れで。
「お姉さん、この肉使っていいよ」
「あれ……ホワイトウルフの肉かい!? いいのかい、売れば高いよ」
「いえいえ、まだお金には余裕がありますし狩ればいいので。それに少しの間とはいえここにいさせてもらおうと考えているので、お近づきの印にとでも思っていてください」
お姉さんは頬を赤くしてからサーシャよりも私なんてどうだい、と彼に聞いてきた。彼は機会があればとどっちつかずの言葉を言っておた。お姉さんはサーシャには劣るけど凄い色気のある人で彼好みの女性であったからである。
会場の真ん中ではリングが作られており男の人、主に若人がたくさん並んでいる。看板には喧嘩祭りと書かれておりここの国での習慣らしい。
「おう、兄ちゃん。兄ちゃんもこの祭りに加わらねえか」
彼は鑑定をするとリックよりもステータスが、と言うよりも彼よりもステータスの高い男の人たちが彼の肩に手を当て聞いてくる。うん、面白そうだからやるか、と彼は意欲をしめした。
「ちょっと、外で体あっためてくるので待っててもらえますか」
彼はマップ上から近くにいるゴブリンを見つけそれを倒すために許可をとる。遠回しに祭りに参加すると言っておいて走ってゴブリンの場まで彼は行く。
彼が鑑定を行うとゴブリンソルジャーとなっておりステータスも高い。でも祭りという言葉が彼を興奮させているためか恐怖は感じていない。ゴブリンソルジャー五体と言う格上を相手にしなければいけないというのに、楽しいと彼は感じていた。意外にサーシャが自分の近くにいてくれるのが嬉しいのかもしれない、と彼は思い始めている。
だが彼にはセイナがいた。そういうことはしてはいけない。そういえば告白の返答もしてなかったな、と後悔をし始める。
そう考えている間に彼の手によって五体は全て撃破されレベルも上がった。ステータス設定で彼のレベルだけを表示させる。
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カナクラヨウヘイ
種族 異世界人LV12
職業 見習い剣士LV13、見習い銃士LV13、見習い勇者LV7(現在三つの職業に付けます)
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ステータスも見違えている。これならあの人たちのやり会えるだろう。ちょっとワクワクする、と少し戦闘狂の面を見せ始める。
少しこれに銅の剣を装備してイヤフォンを体に巻けばまあいけるだろうか。いや心配になってきた。剣術スキルのレベルが三まで上げてしまおう。そうして彼は戦い続けた。その結果、
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カナクラヨウヘイ
種族 異世界人LV23
職業 見習い剣士LV30、見習い勇者LV21、剣士LV3、銃士LV3(現在四つの職業に付けます)
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となった。見習いと付く職業はレベルの最高が三十らしく剣術の練度を上げるために見習い剣士は付けたままにしているようだ。
見習いと付いていないのは中級職と呼ばれステータスの上がりも見習いと比べ物にならない。
今は元のステータスの十倍で、コレだったら誰にも負けないだろう。横からガサガサと聞こえているが大して強くはないだろう。と彼は調子に乗り始めた。
そのせいか彼はフラグを立ててしまったらしい。目の前に現れたのは若い男の人、だが目の終点が定まっていない。男の手が置かれている木はボロボロと潰されていき最後は折れた。彼は即座に剣を構えたが男の手が銅の剣を叩きおる。
殺す気なら殺すしかないと思ってベレッタを準備する。だが全ての弾丸は躱された。約二十数発は連射したのにだ。ステータスの上昇で反動を感じなくなっているから男の攻撃はかわせているが。時間の問題かというのは彼は分かっていた。
銃は全てかわされている? なら未来を見ながら戦っているとかか。いやよく見ろ、全部が全部そのままの線上ではいっていない。軌道をずらす……もしくは……そして彼は気づいた。
「意識的に少しズレた場所に撃たせているのか」
となればあいつのスキルのネタがわかればもしかしたら……と考える。
「ッツ」
だがすぐにその甘い考えは消え去った。
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シンドウケイイチ
種族 異世界人LV???
職業 ???
HP 10000 MP 25
物攻 1000 物防 1
魔攻 1 魔防 1
俊敏 120 幸運 35
固有スキル 概念変革
スキル ???
称号 外れ勇者、破壊王
状態 興奮状態
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極振りステータスで一撃貰ったらアウト、しかも外れ勇者。その男は彼にそっくりであった。
あの人を殺したくないな。話聞けるかもしれないし。なんかないかな、あの人を元に戻す方法……と考え始める。
「スキル玉の同調、出せた。おし追加されたな」
彼はシンドウに同調を向ける。シンドウの暴走は魔攻などの低さも関連していると考え、その仮定があっていれば戻せるはずだと心を強く持つ。大丈夫だ、耐えられるはずだ、と。
「正気戻せや」
概念変革でも彼の同調は誤魔化されない。苦しい感じはするがそれでも彼にとっては耐えられるほどだった。
数分間の戦いの終わりはすぐに来た。いきなりシンドウが彼の目の前で倒れ込む、彼の勝ちだった。彼は片手を上に掲げた。ジーッと倒した男を見つめる。
よく見ると凄い筋肉だな。顔を見ると高校生くらいだ。
シンドウの顔を見つめる。倉庫からポーション・極を取り出し彼はぶっかけた。やっぱりポーションはそういう使い方か。そして荒尾呼吸が安定し始める。
「っはぁ。……なっここはどこだ。いや君は……そうか。君のスキルのおかげで助かったのはわかっている。とても感謝している」
独白のようにシンドウの言葉が続いているが彼は少し止めようとした。それに横たわりながら言われてもかっこつかないしな、と彼の心配もして。
「今は休むのが一番だよ、村に行って休むといいさ。俺が許可を取っておく。明日、起きたら話を教えてくれると助かる」
シンドウは頷き立ち上がろうとするが力が入らないようだ。仕方ないの、と彼はシンドウの手を肩にかけて村まで歩く。思いのほか軽いようで、時間もあまりかかることなく彼は村に到着した。
サーシャはエリシャに似ていますがどちらかと言うと主人公の信者に近いです。
メインヒロインはシンドウ君です(笑)
後、なんだかんだ言って主人公は優しいです。