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第一村人と失敗?☆

 ____________________

 カナクラヨウヘイ

 種族 異世界人LV5

 職業 見習い剣士LV5、見習い銃士LV5、見習い勇者LV1(現在三つの職業に付けます)

 HP 125 MP 315

 物攻 35 物防 35

 魔攻 35 魔防 35

 俊敏 48 幸運 100

 固有スキル 鑑定1

 スキル 剣術1、銃術2、ステータス2

 称号 異世界人

 状態 神器イヤフォン装備中(全ステータス+55%、全状態異常無効)

  異世界武器ベレッタ+1装備中(物攻+86%)

 ____________________

 レベルが上がって俊敏とHP、MPがさっきとは見違えたものとなっている。そして三つ目の職業につけるようになった。これは大きな進歩といえるであろう。

 これに武器装備の補正が付くらしい。今のところはまだ良いが後で武器強化石を何に使うか検討しないとな、と彼はこれからのことを考え始める。

 今やらなければいけないことは森の探索……は後にしよう、強キャラが出てきても対処出来ないし。彼は臆病なのだ。それを彼はわかっているからこそすぐに頭の中からその考えを消し去った。

 そして考えた結果街道を見つけようと考えた。ここから物音がする方角にあるのだろう。そう思い彼は音を探る、何かが聞こえた気がしてそこを向く。後ろだった。

 単純な考え方をして後ろの方を歩き出す。どうせだったら村のどこかに落とされた方が良かったのに。とか考えている彼はあることに気付いた。

「そういえば俺、この世界の言語知らねえ」

 ステータスを見ても共通言語とかそういう系統のスキルはない。もしくはそれ自体がギフトなのか、彼はそれを蹴ってしまったのか。いやそもそもなんでここにいるのかもわからない。

 そうして彼は考えることをやめまた歩を進める。なにか声が聞こえると思い前を向くと村が見えた。小さな村だ、地球でいうところの人口減少に苦しんでいるような村。

 不謹慎なことを考えていたがきちんと耳を澄ますと喋っている言語は日本語とさして変わらないことに気付く。彼は助かったようだ。

「すいません、ちょっとお聞きしたいことがあるのですが」

 彼は物腰を低くして反感を買わないようにした。彼の対応してくれたのはどこにでもいる髭面のお爺さん。見た目は仙人のようだ。

「どうしましたか」

「いえ道に迷いまして、それに身分証のようなものも持ってないんですよね」

「あーそれではステータスの名前だけを表示してもらえますか」

 お爺さんはふぉふぉふぉと笑いながら聞いてくる。彼はステータスの表示方法など知るはずもない。そのため彼は焦った。

「頭の中でステータスの名前表示と考えればいいだけですよ。気が動転してるのですね」

「いやーそうなのですよ。さっきまでホワイトウルフと戦っていまして」

 お爺さんの目付きが変わりこちらを品定めするようなものになった。彼はそれを真っ直ぐ見据え、

「なんなら皮などを見せますか」

 と聞くとお願いします、とだけ答えられた。彼が皮を出してみると目玉に傷がついている。あーこれは価値が下がるかなと思っている彼の目の前でお爺さんは泣き出した。

「すいません、我が息子を殺した存在を狩って貰えて嬉しいのです。この村には人が少ないですよね? 殆どの人がこの狼たちに殺されたのです」

 お爺さんは村の人々を呼び彼の前に連れてきて言った。

「みんな、今日は宴だ。この青年を褒め称えるのだ」

 述べ数十人の村人の宴というもののおかげで彼は今日の宿を見つけることが出来た。お爺さんに今日は泊まっていってくださいと言われたら日本人であれば断りにくいはずだ。

 彼はある一軒家に通されそこのベッドに横たわる。そういえばこれはゲームに似てるんだよな、と考え始めた。例えばログアウトする方法があってそれを行えば夢のようなこの世界から地球に戻れるとかだ。

 だがすぐに考えを改める。ただでさえ現実味がない今の現状からしてより現実味がないことだろう。彼は部屋のサンダルを一つ倉庫の中に入れてみた。予想通りというべきかステータスの他職業の欄に見習い盗賊というのが付いた。どこの世界でも他人の物を盗むのは犯罪のようだ。

 そういえばと彼はスマホでマップ機能があったことを思い出して検索して開いてみる。

「うん、ここから街まではかなりあるな。そもそもここの村人の総人数が四十二人か。うん? 誰かこちらに向かってきているな」

 彼はすぐに扉を見つめる。

「すいません、なにか不都合なことなどはありませんか」

 扉をノックして開けてきた少女はそう聞いてきた。いや何もないよ、と彼は返答しておいて少し話を聞きたいのだけど、と続ける。少女は何なりとお聞きください、と彼の前で立ちながら聞いている。

「隣に座ってもらえるかな」

 彼がそう聞くと少女の顔はみるみる赤くなり彼を見てこくりと頷いた。

「それで聞きたいのはさ、ここの村の名前とあの狼の話。何か知ってる?」

「えっと、私たちの村には警備兵と言われる大人の男性で作られた村を守る人たちがいたのです。さっきのホワイトウルフに全員殺されてしまい女性の方達も殺されていきました。唯一幸運だったのがホワイトウルフには雄しかいなかったので繁殖出来なかったことでしょうか」

「被害はいつから?」

「約三ヵ月前です。また来るかと思うと夜も寝られなかったので」

 そういうと彼の手に胸を押し当ててくる。彼はそれを払い除け言う。

「そういう無理はしなくていいよ。今聞きたかったのはそれくらいだから」

 彼は確かに男なのでそういうことに興味が無いといえば嘘になるがそれでも今は必要ないと考えていた。拠点等を作ってから女性関係を定めなくては、という昔気質な考え方から来ているのだが。

「そっそうですか。……私には欲情しませんか」

 そう言われてしまうと人は相手の身体を良く見てしまう。ボンキュッボンで彼好みだった。顔はタレ目の瞳が印象的な美人というより可愛い系の女の子。アイドルでセンターを飾るようなレベルだ。

「いやそうじゃないよ。まだ俺は得体の知れない外部の人なんだからもう少し自分の体を大切にしないと」

「それなら覚悟は決まっています。私の名前はサーシャと言います。これからも末永いーー」

 彼は全てを言い切らせる前にサーシャのおでこにデコピンをかました。痛そうにしてるが自業自得なのだろう。

「サーシャが良くても俺がよくサーシャのことを知らないから嫌なの」

「それでしたら私を連れて行ってください。おじいちゃんからも許可は出ています」

 いやいや、そんな、と彼は頭の中で否定する。この村の人は彼に寛大のようだ。

「おじいちゃんって?」

「さっき話していたじゃないですか。あの人がこの村の村長で私のおじいちゃんです」

 彼の前で泣いたあのお爺さんがサーシャのおじいちゃんで村長であった。そこで気付いた。サーシャが俺彼とくっ付くのは村の総意に近いということに。

 そんな時また扉が開けられる。今度はノックもせず。

「おいどういうことだ、なんでサーシャがこんなやつについて行かなきゃならない」

 ーー彼を睨むように扉をぶち開けた少年。うん若いね、俺はまだそういうのはいいよ、サーシャを連れて行く気はないよーー

「リック、勝手な事言わないで。これは私が決めたことなの」

 ーーあらそうなの、えっ俺のこと好きなのかな。いやいやリックっていう子のことがーー

「うるせえぞガキ、てめえのせいで俺の婚約者を」

 彼の声は漏れており考えていたというよりも話に入っていたというのに近い。

「貴方の婚約者ではない。貴方が勝手に決めてそう思い込んだだけ。だからこそ私は冒険者登録もした」

 やっぱりどこの世界でも女性は強い、と彼は思った。

「えっと、本当に俺についてくる気?」

「当たり前です、私の父親よりも強くて敵を取ってくれたあなたに付いて行きたいんです」

 ふーんと聞き流して彼はリックに聞いた。

「さっきさ、俺のことガキって言ってたけどお前の方がガキじゃん。自分の心も制御出来ないなんてさ。わかったよ、サーシャをかけて戦うか?」

「いいさ、俺が最強だってところを見せてやる」

「それじゃゴーって言ったら始まりね。はいゴー」

 彼はイヤフォンをリックの首に巻き付け締め付ける。少しずつ青くなる顔にギブ? と聞きながらこくりと頷くのを待つ。

 かれはサーシャに目配せをしてからリックを解放した。まだ戦う元気はあったのか向かってくるがホワイトウルフの方が速い。

 彼はリックを地面に叩きつけリックの頭の隣に銃を撃ち込んだ。

「はい、終わり。どう? さいきょうさん」

 最後は嘲笑の意を込めてにこりと笑って言った。リックはというとこめかみがヒクヒクしている。

「なんだ? さっきの音は」

「あっおじいちゃん、実はリックが勝手なこと言い始めて」

 温厚そうなお爺さんの顔が険しくなる。体はプルプル震えている。

「リック……お主の父はこの村に大きく貢献したからいくらか大目に見ていたが……この粗行許すまじ。お主に村の追放、及び村への侵入を禁止する。日没までに出ていくが良い」

 お爺さんはリックを連れていき元の笑顔を彼に向けてきた。はぁ、サーシャを守りながらなんて行けるかな、と十七にして彼は、最大の分岐点で失敗した気分でいた。

余裕があればまた投稿します。


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