ピックアップガチャ4
「……すまん、ここら辺のコカトリスをほぼ全滅させてしまった」
彼の言葉に驚く四名。キラはプルプルと震えるだけ。なぜかキラが笑ってるように感じれるのを彼は不思議がった。
「仕方ないよ、他には倒しやすい魔物はいないの?」
「……逆に特殊能力だけ強いBランクほどの魔物は知ってるか?」
「うーん、トレントとか。攻撃は木の枝で単調だし、ステータスはCランクほど。ただ見つけにくいんだよね」
それを聞いて彼は地図でトレントを検索する。一箇所に群生しているらしく二十体ほどの点々がそこら辺に現れる。
彼から一番近いところで二キロメートル程でそこには多量のトレントがいる。それをあまり好ましく思わないのが彼だ。
一体を攻撃すれば他のトレントも行動を始める、そんな最悪なことを考えていたため行くことにはあまり肯定的ではなかった。
もし行くとすればどのような手段が必要か。コカトリスのステータスはトレントと大差ない。そして攻撃はより単調。
彼は一つの考えを導き出した。
「みんなに話がある、簡単な話だ。上手くいけばハクとリコにたくさんの経験値が入る可能性があるんだ」
彼はニヤリと黒い笑みを浮かべた。
まずはトレントの所まで彼らは向かう。
「サーシャ、リコの手に炎を放ってみてくれ。そしてハクの前にファイアボールを放ってほしい。ハクはそれに向かって風を放ちトレンドに当てろ」
未遂のグローブの説明は全ての効果を未遂、つまりは何か一つだけを欠落させる。
彼はリコにはそれで怪我を無くさせる。トレントの弱点は木だからか炎に弱い。そして群生してるからか一体が燃えれば同時に複数も燃え広がる。
それを彼は見越してこのような行動を行ったのだ。ただし不安な点も幾つかある。
「サーシャの炎だからってサーシャに経験値がいかないように」
彼はそう願った。これが成功するか否かでレベルアップの方法がいくつか思い浮かぶからだ。
「わっ凄いの、レベルが凄く上がっているの」
リコはただレベルアップを喜んだ。彼はそれを聞いてニヤリと笑いトレントの掃討戦を計画する。
「トレントの群生地は約五十箇所くらいか。半分なら削っても……大丈夫だよね」
そうして彼は同じ要領でトレントの群生地を一つずつ潰していく。倒したトレントはすべて収納して討伐素材であるトレントの枝のみを残して全てを売っていく。
そうして彼らが二十五箇所目のトレントの群生地を潰した時にはもう三百三十万ミラーまで貯まっていた。
「もう今日はやめよう。なにせこれだけ貯めれば拠点とガチャはなんとかなるはずだ」
彼の声に他のものは頭を頷かせる。もはやリコでさえ単独でトレントを圧倒出来る力を得ていた。
「邪魔なの」
帰り道で現れたホワイトウルフとウルフの群れを単独で撃破するリコ。彼女の職業は見習い格闘家から格闘家へと変わっていた。
彼が特別なのか他のもので二つ以上の職業をつけれるものはリコしかいない。ましてやリコでさえ二つの職業しか付けることが出来ない。
これが人外とそれ以下の差であった。もし人外であるSランク以上の人がいれば殆どのものが三つ以上の職業を付けられる。もちろん、例外もいるが。
彼らの帰り道を阻むことは誰も出来なかった。
早く……学園編に行きたいのに……
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