元仲間2
「えーヨーヘイって二歳なの。リコもね、二歳なんだよ」
リコの閉鎖的な空間から出たい話を聞いているうちに彼は仲良くなっていた。二歳児だからか他人を疑うことをあまりしないリコに彼は心配をしてしまうが、リーナがいるからとその心を押しとどめた。
「ヨーヘイは私の幼馴染なの。勝手に奪ったらダメなの」
「そんな事しないよ。リコはただヨーヘイと仲良くなりたいだけだよ」
純エルフは成長が遅い。それはエルフの人生というものが人間とは違うからだ。彼が百歳まで生きれるとすればリコは五百歳まで生きることが出来る。
つまりリコの精神年齢は二歳児よりも劣っていた。だがエルフの持ち前の頭の良さをリコは得ているため、自分の意見を話し自重というものもわかっている。
彼はそんなことに気付いていたためサーシャに暖かい目を向けた。せめて学園ではもう少し協調性がありますように、と。
「ここがヨーヘイたちの部屋だよ」
彼が通されたのは203号室と書かれた部屋。この宿には四という数字はない。日本風の宿に日本的考えが備わった宿だということを知っていた彼は少し懐かしさを感じた。
と言っても彼がここを宿にしていたのは約二週間程度だったが。
ここで彼は気付いてしまった。エレッタが持ってきていた彼の荷物が全部女性陣の部屋に送られていることに。
「なんで俺はロスや父さんと同じ部屋じゃないんだ」
「それはサーシャがヨーヘイと一緒に寝たいからだって」
その問いに答えたのはビーズだった。彼はビーズとはあまり話す機会がなかったため少し話し方に気を配ろうとしたが、ビーズは固くならなくていい、と彼に言う。
「ロスを助けてくれたことには感謝してるんだから。そんな村の英雄がロスの奥さんに気を使う必要はないわよ。それにサーシャの夫候補ですからね。将来、義息子になるのにそんなに固くなってわダメよ」
ビーズはケラケラと笑いながら彼に言った。そうですね、と返す彼にビーズは少し悲しい気持ちになるがぐっと堪えた。
「それじゃあ、お世話になります。ビーズお母さん」
彼はビーズのその気持ちを知らないままでそう返した。元々、どこかで人は仲良くなるのであればそれが早まっただけ、と彼の中で踏ん切りをつけたのだろう。
その言葉を聞いたビーズはとても綺麗な笑顔でお母さんに任せなさい、とだけ返した。その後、サーシャにお母さんいい事あったの、といじられ続けていたが。
部屋に入ると彼は自分の汗の臭いに気を取られてしまった。彼自身が二歳児ならばあまり臭くはないことを知っていたが、それでも汗を流したい。この宿には大浴場があることを彼は知っていたのでエレッタに、
「俺、ちょっとお風呂入ってくる」
とだけ言ってその場を後にした。迅速な身のこなしにエレッタは唖然としたがすぐに気付いた。
「私たちと女風呂に入ればいいのに」
彼はそれが嫌だったので一人で行ったのだがそれに気付ける人は女性陣にはいなかった。
彼の向かった大浴場は実は前の世界ではなかった。というよりもあったのだがお金の都合上使えなかったのだ。
彼が客の人数を見る限りどちらかと言うと沢山お客が入っている。それに何人もその方向へ向かう人がいたため。彼もそちらに向かっていた。
古来日本に伝わる男女を分ける暖簾の男の方に入っていき服を脱ぐ。彼が来た時は夕方頃だったため宿に泊まるような冒険者等はまだ仕事に出ていた。
そのため彼が一人でそこにいようともそれを不審がる人はいない。服を脱ぎ捨て籠の中へ入れ大浴場の扉を開く。
「えっ」
「はいっ?」
彼が扉を開けた先にいたのは他でもないリーナだった。
やっぱりお風呂回といえばラッキースケベですよね(ニマニマ)
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