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「ここが冒険者ギルドだ。俺が推薦してやるから早く入るぞ」

 女性陣とは途中で分かれて男性陣は冒険者ギルドへ、女性陣は宿を取ることを重視した。彼はロスの言葉にうん、と言いながら扉を開ける。見慣れたその光景が彼の瞳に映り久しぶりの受付に走っていった。

「お姉さん、俺冒険者になりたい」

「ふへっ? ボク、冒険者は十二歳からじゃないとーー」

「それは俺らの推薦があってもダメかな。少なくともこいつら俺らより強いぞ」

「いや非戦闘員と比べたらダメだと思うけど」

 受付の女性の言葉を遮るようにロスとリースが間に入った。女性は少しの間、ハテナマークを頭の上に出していたが顔を見てすぐに紙を出す。

「ろっロイスの皆様の推薦なら安心ですね。Cランクパーティの推薦なのでEランクからですが……よろしいですか」

「あぁ、それでいい。後、力を見せてくれるようだから俺が相手をする。……それでいいか、ヨーヘイ」

「俺は構わないよ、早く決闘場に行こう」

 彼はみんなを急かしすぐに戦う場へと向かった。リースは疑問を抱きながら、ロスは転生前に行ったことがあるのだろうとすぐ後ろをついて行く。実際は冒険者の奥に決闘場と呼ばれる戦う場があるのを彼は聞いたことがあっただけだが。

 当然休みであった冒険者はヤジとしてその場へ向かっていた。その大半はDランク以下であったためCランク冒険者がどれほど強いのかも見ておきたかったのだろう。

 決闘場のリングにたった彼とロス、リースのコンビ。もちろん、他の冒険者は大人気ない、と言っていたがそれほど強いということを見せるために必要だ、と二人は我慢した。

 戦いが始まってすぐにリースが前に出てロスは遠距離攻撃に徹した。攻撃は普通の弓だ。威力を込めて本気で戦うロスにリースも本気で行くことを決めた。腕輪から大盾をとりだし装着した。

 冒険者はヤジを飛ばしまくっていたが彼はそれを気にせず鉄の剣と英雄王の剣を装備した。

 大盾の機動力は非常に乏しいためリースの行動は大したことない、と踏んだ彼はリースの盾を思いっきり蹴り吹っ飛ばした。その瞬間矢が来たため鉄の剣で撃ち落とし切りかかろうとするが、リースが中間に入ってきて攻撃を盾で受け流した。

「一応、非戦闘員でも父親だからな」

「父さん早かったんだね」

 当然、と鼻を鳴らすリースに剣で切りに行くが全て上手い具合に流される。これが経験の差か、と感じた彼は力で破壊するのをやめ流される前提のあまり力を込めない斬撃に変えた。

 それを感じ取ったリースは盾の持ち方を変えたが少し遅かったようでズガッと鈍い音が響いた。それでも盾は壊れる気配はしない。

 その時、横から矢が三本飛んでくる。バックステップでかわした彼にシールドバッシュを放つリース。

 英雄王の剣で受けた彼にリースはすぐに後ろへ下がった。

「流石はロスが認めるだけはあるよ」

「俺の戦闘狂の気質は父さんに似たんだね」

 彼は片手に鉄の剣を投げる体制をとっていた。斬撃なら流しやすいが投擲なら少し不安があったため下がったリースだったが、それは下策だったとすぐに気付かされる。

「足の速さなら父さんに負けない」

 後ろへ回り込んだ彼の斬撃を背中で受け倒れ込みそうなのを踏ん張ったリース。それを援護するため水の魔法を纏った矢を放つロスだがもはやそれは遅く、ロスは彼に蹴り飛ばされて地面に突っ伏した。

「はっはは、降参だ。ロス、あれだな。もう一回訓練のし直しだな」

「笑えねぇ。本気で、しかも二人がかりで勝てねえとか。流石はサーシャの夫」

 突っ伏したロスはバンと立ち上がり指を鳴らす。リースはクスクスと笑いながら腕輪から液体を取り出し飲み込んだ。リースの背中の傷はすぐに治っていき元通りになった。

「こっこれが推薦をする理由ですか」

「そうだな、本当に自信なくすよ」

 カッカッカッと笑うロスに冒険者たちはもう卑怯者、と笑えるものはいなかった。

という訳で実は強かったリース父さんでした。


こちらも書き直しを始めたのでよろしくお願いします。

『在り来りは異世界で適応する』

https://ncode.syosetu.com/n1021er/


これからもよろしくお願いします。出来ればブックマークや評価等もよろしくお願いします。


※すいません、前話と一緒に投稿してました。読みづらくして申し訳ありません。

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