日常と成長3
「……なんか魔物の行動がおかしいね」
「そうだな、特にホワイトウルフとかのウルフ系の魔物が」
一度戻るぞ、と村に戻り始めるロスの後を彼らは追いかけた。サーシャの歩く速度があまり早くはないので彼が背負いロスと同じ速度で走る。
「……やっぱりか。ヨーヘイ、サーシャと村に戻るかここで戦うかどっちがいい」
ロスの目の前に現れたのは数十体のホワイトウルフ、しかも変異種と呼ばれる強化版だ。彼は、
「ロスはサーシャを守ってください。俺が前衛を務めます。危なくなったらサーシャの広範囲魔法で煙幕を焚きます」
ロスは疑わずに了解、とだけ答えるとサーシャの近くに付いた。彼はすぐに銃と剣を構えホワイトウルフに近付いた。攻撃自体は単調、それでいて速度以外の取り柄がないことを確認して剣を振り下ろす。なで切りにしたホワイトウルフたちは自動的に倉庫の中に入っていく。そのためホワイトウルフたちは仲間が消えていくところを見て動揺していた。
近付きすぎれば小さな彼に殺され、遠くても遠距離からロスの弓で貫かれる。
幸か不幸か彼らの消耗は少ないままでホワイトウルフたちは撤退して行った。彼らが村に戻るとまだなにも起きていない。
「親父、ウルフ系の魔物の様子がおかしかった。十数体のホワイトウルフの変異種も出て来ていたぞ」
「なんだと、それでどこまでの被害を与えてどこまで被害を受けた。まさか」
「安心しろ、ヨーヘイのおかげで誰も傷一つ付いていねえ。問題なのはこの異変がどうして起きたかだ」
村長は少し頭を傾かせて考えてみるがいかんせん実例がない。そのため仮定すらも立てられない状況だった。
「とりあえず街の冒険者ギルドに援軍を呼ぶ。誰を連れて行って誰を残す?」
「すいません、俺はロスと一緒にここに残るべきだと思います」
ロスの言葉に返事をしたのは彼だった。
「村長といくらかの戦える人、そうですねマーブルさんなどを連れて行ってください。サーシャを護衛に連れていけば一度や二度なら魔物の群れから逃げられるでしょう」
「……確かにそれが一番良さそうだな。サーシャには悪いが。それにヨーヘイは本当にそれでいいのか?」
「何度も言いましたよね。ロスを死なせるわけにはいかないんです」
二歳児の真剣な眼差しを見たロスはすぐに首を縦に振る。
「本当にリックには見習って欲しいものだ。なんであんなにイタズラしかできねえんだろうな」
ははは、と乾いた笑いを浮かべた彼に村長は頭を撫でる。
「恐怖とは打ち勝つことだ。それを忘れてはいけないぞ」
「はい」
そう言うと村長は村人の中で戦闘の出来る者を四名連れていきサーシャとともに村を出ていった。それを見届けた彼はイヤフォンを体に巻き付ける。地図を開くとウルフたちが村に向かってくるのがわかる。
それを気配で感じて彼らは準備をした。魔物といえど獣、火を焚くことによっていくらか知能の弱い魔物が来るのを遠ざけた。
そして彼らの戦いが始まる。弓兵は約十三名。リーダーはロスだ。ロスの放ての声が響き渡ると弱いウルフたちは倒れていった。
だが数はほとんど削れていない。それを知っていた彼は勇猛果敢に群れの中へと消えていく。
「まだまだだ」
三体の連携をものともせず一刀で殺し、少なくだが数を減らしていく。
「グルルルル」
「うるせえ」
ホワイトウルフたちで攻撃を仕掛けてくるがそれも無意味だ。二十弱のウルフを相手に一歩も引かない彼は次第に敵を殺すことを楽しみ始めた。それは他でもない、戦わなければ守れない。それを体現化させるためにアドレナリンを多数放出させた。
「もしロスが死ぬとすれば今日しかないんだよ」
目の前の敵を葬り去った彼は他の場所へ向かおうとする。そんな時だった。
「リックやめろッッッ」
ロスの声が響き渡った。
すいません、書く暇が余りありませんでした。
次の話でなんで元の世界でロスが死んだのかわかります。
これからも「イヤフォン」をよろしくお願いします。出来ればブックマークや評価等もよろしくお願いします。




