表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/49

綺麗なエルフ4

「……全てを終わらせてきました」

 リーナとリコの前に姿を現した彼は少し悲しそうな顔をしていた。リーナは気付いていた。彼の優しさは夫のそれに似ていると。些細な仕草や動作が夫そっくりで自分が彼に惹かれていってると。

「……明日からここにいれなくなるかもしれません。どこか姿を匿う場所はありますか?」

 続いて彼の言った言葉は二人の生きる場があるのかどうか。

「……ないわ」

 未だに彼らの名前を知らないリーナはここで離れ離れになろうと思っていた。でもリコだけは、自分でも気付いていない恋をしているリコだけは連れて行ってもらいたかった。あわよくばということは思っていてもそれが叶うとは思えない。貴族であれば一度でも結婚した女性に女としての価値は薄い。ましてや公爵家に喧嘩を売れるような彼のお眼鏡には叶わないと考えていた。だから、

「リコだけは連れて行ってもらえませんか。私との生活では彼女は幸せになれません」

 それが親としての最後の務めだと思っていた。でも彼が言った言葉は、

「えっ? 一緒に来ないんですか? エルフは魔法を得意としていると聞いているので仲間として来てくれるなら嬉しいんですけど。……それに俺の名前もまだ覚えてもらっていないですよね」

 彼は遠慮がちにリーナに聞いた。その言葉にリーナは喜ぶが少し考えてしまった。リコにとって私は恋敵になってしまう、それにそうなって親として見てくれるかと。そんな時にリコはリーナの顔を見て言う。

「おかーさん、一緒に行こうよ」

 リコの表情に一片の曇もない。ましてやリコがそうなったとしてリーナを嫌いになると思うだろうか。リーナは彼の手を取って聞いた。

「風魔法と槍しか使えませんが、それでもよろしいですか」

 彼はもちろん、と言うとリーナの手を強く握る。それをちょうど帰ってきたサーシャとハクが止めようとするがシンドウに妨げられて動けなくなっていた。

 リコはそれを見て笑い、それに釣られて彼とリーナも笑い出す。

 「俺の名前はヨーヘイです。彼はシンドウ、サーシャとハーピィクィーンのハク。仲間になったんだから覚えてくださいね」

 彼はただにこやかに笑った。


「……あなた、敵は彼らがとってくれました。このようなことで宿を捨てることをお許しください」

 昨日の事があったからかその言葉はとても重かった。だがその場を後にするリーナの顔に悲しみはない。彼が夫の生まれ変わりだと思って生活をする。それだけで幸せだと思えたから。願わくば彼の仲間とリコとともに彼を支えられるようになればとリーナは思う。

 家を売った金額は百五十万ミラー。平民の家であれば相場通りの値段だ。

 そして彼らとともに冒険者登録を行う。Dランク冒険者のパーティに入るということでリーナとリコのランクはEから始まった。作戦を実行する間、いくらか依頼を行っていた彼らであったがもう一度初心に帰るのも良いと考えてEランクの依頼、ゴブリンソルジャーとコボルトの依頼を受けた。自分たち用にDランクの依頼であるゴブリンナイトの討伐依頼も受ける。

 彼はララが見えないことに気付くがそれを聞くことは出来ない。周りがララちゃんが今日もいない、と言っている中で聞くのは野暮だろう。

 そんな中、ひとつの緊急依頼が張り出される。

『受付嬢、ララがダンジョンにて失踪。至急救出を願う』

 冒険者のほとんどがそれを受け始める中彼らは依頼完了を目的に行動を始めた。

 やはりと言うべきか携帯の地図で探して倒すの繰り返しは効率が良いらしく格下相手なら瞬殺していく。

「ハッ」

 昔、エルフの里から出てくる時に使っていた槍は少しボロが来ているがそれ以上の技術でリーナはゴブリンソルジャーを屠っていく。

 リコはというとシンドウから破壊のグローブを借り殴ってゴブリンソルジャーを殺していく。エルフの少女と言うよりは撲殺姫とかいう名前が付きそうな戦い方をリコは行っていた。

 近距離でリコが対処して危ない時にはリーナが中距離、もしくは遠距離で風魔法を撃つ。リコは幼いからかステータスの伸びが良くないためシンドウに戦い方を乞い、技術面を直していった。

 シンドウからすれば彼の背中を預ける仲間が増えることは良いことだと思いとても熱心に教えた。

 魔物との距離のとり方、どこが急所が探る方法などなど。リコは幼いからかとても素直ですぐに吸収していった。それをとても楽しんでいたのは他でもないシンドウだった。

 彼の役に立っている、それだけがシンドウの生きる理由になり始めてきていることをまだ誰も知らない。

シンドウ、徐々に信者へ変わる(笑)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ