冒険者ギルド
冒険者ギルドが開くのは朝早い。日が昇りきる前にいつも開くのだが今日はおかしなことがあった。魔物と女性を交互に撫でている少年と一人微笑む少年の四人のグループがいた。それを見たギルド職員は四人を中に招き入れ話を聞こうとした。
「ありがとうございます、いつまで続くかと心配になっていたんですよ」
理知的な外見をした少年がギルド職員に話しかける。ギルド職員は女性だったがその少年を見て少しの間見惚れていた。
「あのババア、ヨーヘイに見とれやがって」
「本当に腹立つわ」
魔物と女性を敵に回してしまったギルド職員はすいません、とすぐに謝るとヨーヘイと呼ばれた少年が、
「サーシャとハクさ、そんなことばっかり言ってたらみんなから嫌われるぞ。すいません、大丈夫でしたか」
彼の笑顔によってギルド職員はよろめきその手を取って彼の笑顔をより近くで見てしまった。サーシャとハクと呼ばれた二人は腹立たしい顔を浮かべるがギルド職員には映らない。
「そっそれで、何か御用ですか」
ギルド職員のその言葉にもう一人の少年が答える。
「ヨーヘイさんはギルド登録をしたいんです。もちろん俺やサーシャさんも」
「シンドウありがとう、このままだと進みそうもなかったよ」
いえ、とシンドウと呼ばれた少年は照れ頭を下げる。
「そうなんですね、私はララといいます。ギルド職員なので先に登録をしてしまいましょう。依頼の話などもしたいので」
照れを隠すためにララは早口で言っていたが彼は微笑ましそうにララを見つめた。そのせいで余計にドギマギするララはギルド職員の扉にぶつかり顔を痛めた。
それを見た彼はこの子は天然なんだな、とどこか納得していた。
「この紙に情報を書いてください。出身地やステータスは書かなくてもいいです」
彼らはさささと書き、彼はキチンと従魔の欄にハーピィクィーンと書いていた。それを見たララは酷く驚く。それも当然だ。
「なんでSSランクの……しかも従魔にしているからSSSランクの力はあるんですか?」
ララは驚きながらも彼に渋々といった形で聞く。その間に紙を渡されていた。
「……いえ、ちっちゃな頃に傷付いていたこの子を助けたんです。そしたら懐かれちゃって。……珍しいことですか」
「はい、あっこれからそのことも説明しますね」
ハクはうんうん、と頷きながら彼の手に胸を当てている。それを何度も払いのけようとしているのがわかるがそれは叶わないようだ。
「まず大前提として冒険者ギルドというのは国家間にある一つの組織であるということ。もちろん、悪事を行えばそれは冒険者ギルドという国を敵に回したものと考えてください。続いてこちらの紙をご覧下さい」
ララは冒険者の心得と書かれた紙を全員分渡しまずは目を通すように伝える。
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冒険者の心得
冒険者になるためには以下の三つのことを確実に知識として覚え行動していただきます。
『冒険者ランクについて』
冒険者にはランクというものがあります。そのランクによって自分に見合った依頼を受けることが出来、また依頼の完了やギルドへの貢献度によってランクは上昇します。F〜SSSランクまでありますがSランク以上は人外扱いされます。依頼は自分のランクの一段落上まで受けることが出来ます。いっぺんに受けられる依頼は三つまでです。
『行ってはいけない行動』
これに関しては簡単で盗賊になってしまう、称号に前科が付いてしまう行動は行ってはいけません。またそれを行った場合こちら側から冒険者権利を全て剥奪します。
『税や義務』
その国々で税金が課されますがその税のうちの法人税とうは依頼の収益の幾らかから抜かれます。また冒険者ギルドに属している場合兵役の義務などは拒否する権利を獲得できます。冒険者は自分の依頼を他の者に勝手に讓渡することが出来ません。それを行う場合冒険者ギルドを間に挟み理由も添える必要があります。また依頼の失敗報告時に以来完了時の三パーセントを払わなくてはいけません。
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「他に常時依頼と緊急依頼、指名依頼などがあるのですが、常時依頼はそこの掲示板にいつも貼られている依頼です。緊急依頼はどこかで何かが発生し早急に解決しなければいけない時にでます。指名依頼はCランク以上になってから貴族から指名されて依頼が発生することがあります。これに関しては拒否可能だけど貴族が怖いからと言いなりになることが多いのよ」
彼は顎に手を当てて一つ考え事をしていた。すぐにそれを解除すると簡単に、
「一気にランクを上げることは出来ますか」
「そうですね、目安としてはCランクは全ステータスが千以上であれば手っ取り早く上の依頼を受けて上げれるかもしれないわ」
わかりました、と彼は言うとお金をいくらか出した。
「ここで首輪が買えると聞いたので」
「ちょっと待っててね、はいこれ」
ララはササッと首輪を出し彼の手に置いた。少し触れた時ふにゃんとした感触がララを襲い余計顔を赤くさせる。
受け取った彼は首輪をすぐにハクの首に付け頭を撫でる。シンドウは首輪を買っている間に自分たちに好条件な依頼を三つ見繕ってきて提出した。
「Fランクから始まるということだったのでEランクのゴブリンソルジャーとコボルト、Fランクのゴブリン討伐依頼を持ってきました」
「……はい、確認しました。依頼の貼り直しは朝七時半ですのでご確認ください。カードはこちらです。それでは行ってらっしゃい」
主に彼重視で手を大きく振り余計サーシャとハクをイラつかせる。カードを受け取った彼らはすぐに門まで走っていき門番にカードを見せた。さっきの威圧のせいもあってか絡むことはせずそのまま送り出され森に入っていく。
ながらスマホで中に入っていった彼らはすぐにゴブリン系の魔物から探していき見つけ次第瞬殺していった。魔物を勝手に解体してくれる倉庫の力も借りてすぐにゴブリン、ゴブリンソルジャーの討伐依頼は完了した。それも大きく討伐数をオーバーして。
コボルトを探している時だった。彼らはDランクの魔物であるコボルトソルジャーと出くわすことになる。これは彼が倒せると踏んでの考えであった。それを一番理解していたのはハクであったためハクは一瞬で距離を詰め、計十四体のコボルトソルジャーの群れのコボルト九体を瞬殺した。シンドウはそれを見てグローブでコボルトソルジャー二体の頭を破壊して一体をサーシャに任せる。
サーシャも皆に負けず劣らず土魔法を展開して頭だけを粉砕した。彼はそれを見てから残り二体の首を切り落としそのまま全て収納した。
ステータスとは自分の力を数値化しただけで技能の面では反映されない。スキル持ちであっても、剣術1と剣術持ちではないが幼少の頃から剣を振るってきた者、どちらが勝つかといえば経験の多い方だ。それを彼は理解しているからこそ技能面の強化を図っていた。首を落とすにも綺麗に一文字でガタガタしてない、そのような美しさを求めるようになっていた。
そうして彼らは一人五体ずつ倒せば依頼完了の依頼を全て八倍倒し街へと戻っていった。
シンドウがメインヒロイン(正妻)の香りがしてヤバいです。女体化させるのも一つの手でしょうか(笑)
彼らは丁度四十匹ずつ倒して他に出てきても無視しています。そのため大変キリのいい数字で収まっています。
久しぶりに更新しました。興味があれば見てください。
「在り来りは異世界で適応する」
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