第8話
授業を受けながら、静音は考えていた。
(さっきの挨拶の時、皆は天川君のこと暗いとか気持ち悪いって言ってたけど
私にはそうは見えない。)
ノートにペンを走らせながら、渚について思ったことを整理していた。
(何かに怯えているような、自分から他人と距離を取ろうとしている気がする。)
渚をチラチラ見ながら考えていた為か、不意に目が合った。
あいかわらず髪で目は隠れていたが、間近で見た静音にはわかった。
(凄く綺麗、とても真っすぐで、心を見透かされそうな透明な目。)
澄んだ瞳、とても綺麗な目だった。
静音は見惚れて視線が外せなくなっていた。
すると、渚が口を開いた。
「どうかしましたか?」
渚にそう声を掛けられ、静音は我に返った。
「い、いえ、何でもありません!」
そう言って慌てて視線を外した。
渚も正面を向き、何事もなかったかのように授業に戻った。
しかし、静音はそれどころではなかった。
(あんなに綺麗な目は見たことない!私には眩しすぎる!!)
間近で見てしまって軽くパニックを起こしていた。
(何だろう、凄くドキドキする……もしかして惚れちゃった!?
あの一瞬で!?うぅ、今絶対、顔赤いよ。天川君の方向けない……)
静音は悶々としながら授業を受けるのだった。