第1話
両親を見送ってから数時間後
ピンポーン
渚がリビングで原稿を書いているとインターホンが鳴った
「はーい、今出まーす」
「おーい、渚ー居るかー」
「居るよー、今開ける」
玄関を開くと友人である星宮光一が立っていた
「いらっしゃい、お茶用意するからリビングで待ってて」
光一をリビングに案内し、渚はお茶の用意をする
「はい、どうぞ。でもどうしたの?いきなり来るなんて珍しいね」
「おう、サンキュー。いやー、中学卒業してから暇で仕方なくてさ
散歩でもするかってなって近くまで来たもんだから少し寄っていこうかなぁって」
「そうなんだ、まぁ別にいいんだけどさ」
「もしかして、仕事中だった?」
光一はテーブルの上にある原稿を見てそう言った
「そうだけど少し煮詰まっちゃってて、気にしないで」
渚は原稿を片付けながらそう言った
「はぁ、作家も大変だなぁ。売れっ子ってこんなのなのか?」
「うーん、どうなんだろ?僕の場合書きたいのを書いて投稿したらこんな事に」
「さすが、売れっ子の青山先生は言うことは違いますなぁ」
「もう、光一まで。父さんと母さんと同じ事言わないでよ」
渚はげんなりしながらそう答えた
「ハハッ、悪い悪い。ところで今日おじさんとおばさんは?」
光一は謝りながら気になっていたことを聞く
「父さんと母さんは旅行に行ったよ。偶にはゆっくりしてもらおうと思って
光一が来る少し前に出たところだよ」
「ふーん、そっか。しっかりと親孝行してんだな」
「それなりにはね、こうやって学校行きながら作家の仕事が出来るのも
二人のおかげだし、ありがたいからね」
「そっか、じゃあ頑張れよ?青山先生」
「だから、その呼び方やめてってばぁ」
そうやって二人で他愛もない話で盛り上がっていると臨時ニュースで
テレビの画面が切り替わった