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愛すべき“いつも通り”の日常  作者: ラフトL
2/16

ハジマリ その2

前半部分はひらがな表記が多いので読みにくいです。



ぼくたちはみんなでテレビを見ている。

“けん”と“まほう”の世界。

“ゆめ”と“ぼうけん”のものがたり。


い大なまほう使いから生み出された“犬がた使いま”がかこにもどって世界をすくう手助けをするお話。


なぜか“い世界”へ“しょうかん”された5人の子ども。そこにあらわれるのが“犬がた使いま”のノラえもんだ。


ボクの住むみらいでは“ま王”がふたたびせめて来て大へんなんだ。

だから、かこの“ゆうしゃ”である君たちには“ま王”をかくじつにたおしてほしい。


ノラえもんが言うには、このままじゃ5人の“ゆうしゃ”は力が足りなくて“ま王”をふういんすることしかできないみたい。

だから、ちゃんと“ま王”をたおせるように手つだってくれるってことらしい。


ノラえもんはみらいのい大なま法使いが使う“ま法”を使って“ゆうしゃ”の手助けしつつ“ゆうしゃ”を強く育てていく。そんなテレビアニメだった。


もう少しでさいごのま王とのたたかいだ。“ゆうしゃ”たちはノラえもんのおかげで“ま王”をたおせる位に強くなっている。


“ま王”をたおしたら“ゆうしゃ”たちは自分たちの世界に帰れるみたいだ。そして、“ま王”の居なくなった“い世界”は平和になる。


“ゆうしゃ”たちは自分たちの世界に帰るために、ノラえもんは“い世界”の平和のために“ま王”をたおすぼうけんをしているんだ。


それもあと少しでおわってしまうと思うとさみしい気がする。でも、ものがたりのおわりは“はっぴーえんど”じゃないといけないってがっこうの先生も言ってたから、早くノラえもんたちが“ま王”をたおせるようにおうえんしなきゃ。


おもしろかったね、つづきが気になるね、ノラえもんかわいいね、なんてみんなはかんそうを言い合う。ぼくも同じようにかんそうを言い合っている。


そんな中で1つ年上のようじ君が大きな声で言った。


おれがゆうしゃになったらま王は“いちぞく()()()()”みなごろしにしてい世界を平和にしてやるぜ!


ようじ君はどこかでおぼえたむずかしい言葉を使いたかったんだと思う。ぼくにはいみが分からない言葉だったけど、良いいみの言葉じゃないのは何となく分かった気がした。


そのあと、よく分からないけどぼくの目の前がまっ白になってそれからのことはおぼえていない。気付いたらびょういんのベットにねてて、おきたら今までとはべつのこじいんにつれて行かれた。


つれて行かれたこじいんはあたらしくできたばかりでぼくが1ばんさいしょの子どもだって言われた。

同じこじいんにいた友だちはべつのこじいんにうつったとも言われた。


ぼくは何だかわけが分からなかったけど、とくに気にならなかった。だって、あたらしいこじいんとあたらしいお母さんにきょうみがあったから。


あたらしいお母さんはおばあちゃんみたいなお母さんだった。あたらしい子どもが来るまでは二人っきりだったけど、やさしくてあったかいあたらしいお母さんをひとりじめできたからぼくはとてもうれしかった。













あの頃は小学一年生だったかな。いつも見上げて話していたはずのお母さん。今ではお母さんが僕を見上げて話している。


ほら、ちゃんとハンカチとティッシュ持った?忘れ物は無い?車には気を付けるのよ?

なんて毎日出掛ける前に言ってくる。


大丈夫だよ。キチンと昨日の内に準備しといたから。僕も高校生なんだから自分の事は自分でやるよ。それより、小さい子達の準備を手伝ってあげて。

そんなやり取りを毎日やっている。


お母さんと1番長く一緒に居たのは僕だった。だから、今でも僕に1番愛情を注いでくれている気がする。それを小さい子達には申し訳なく思ってしまう。


だけど、そう思う分、僕も小さい子達に愛情を注いだ。学校から帰るとお母さんの手伝いをして、小さい子達の宿題や課題を手伝って、一緒に遊んで、風呂や寝る時もなんやかんやと面倒を見ていた。


そうして、高校生最後の冬休み。就職先が決まっていた僕は大学受験の勉強などしなくても良いから、と常に小さい妹弟たちと一緒に居てのほほんと過ごしていた。


その日はテレビを見ていた。僕が小さい頃にやっていたテレビアニメ“ノラえもん”の再放送だった。


軽快なリズムのオープニング曲が流れる。そうそう、こんな曲だった!なんて思いながら懐かしんだ。だけど、あれ?ノラえもんってどんな最終回だったかな。途中までは毎週欠かさず見てたはずだけどそれ以降は見ていない気がする。


あ、そうだ、思い出した。最後に見たのは前に居た孤児院でだった。あの日も皆でノラえもんを見て感想を言い合って翌週の放送を楽しみにしていたんだ。


それから…確か1つ年上のようじ君が……そこまで思い出したところで背中に冷や水が伝う感覚に絶句していた。


あの時、僕はようじ君を…ようじ君に何かした?何かされた?

はっきりと覚えている訳じゃない。だけど、腹の底から湧き出る様なようじ君への不快感をなんとなくだが思い出した。


ふと、小さな妹弟たちが心配そうに僕を見つめているのに気付いた。頭を振って不穏な思考を追い払い大丈夫だよ、と笑顔を見せると妹弟たちも笑顔で返してくれた。


そして、その不快感の理由は就職の為に孤児院を出る前日に知らされる事になった。


お母さんと政府の偉い人たちや医者らしき数人が仰々しく集まる部屋で僕はこの世界と僕自身の真実を知らされた。


特に動揺も戸惑いも無く説明を受け入れた僕をお母さんはとても心配した。


だけど、僕は落ち込んだり、自棄になったりした訳じゃなく…安心したんだ。本当の両親に捨てられた理由やこの孤児院に移動した理由も他にも色々判ったから……本当に安心したんだ。


僕が内情を伝えるとお母さんはいつもと同じ様に微笑んでくれた。自分の席を立ち、座っている僕の傍まで来ると中腰になって目線を合わせてそっと僕の手を取り口を開く。


明日からのお仕事も、独り暮らしも無理はしちゃ駄目よ。1人で寂しい時は電話しなさい。何時でも帰って来て良いからね。何かあったらお母さんに言いなさい、政府の権力も使ってすぐに何とかするから。


いつも通りにお母さんは心配性を発揮しつつ恐ろしい事も言ってくる。自分の正体を明かしたからって大っぴらにそんな事言っちゃ駄目だよ。ほら、政府の偉い人たちが苦笑いしてる。


ともあれ、政府の方も医者らしき方々も、真実を知った僕が自棄になって暴れるんじゃないかと内心では戦々恐々としていたらしく凄く安堵していた。


小肥りな政府の方はスーツの中が汗でぐっしょりと濡れていたらしくお母さんにからかわれながらお風呂を勧められていた。


その夜、別れを寂しがる小さな妹弟たちに囲まれて眠りに就いた。次の日の朝起きてからも、朝食の時も孤児院を出る時も僕から離れようとしない妹弟たちだったがお母さんに説得され渋々見送りをしてくれた。


大丈夫。毎週は難しいけど、ちょくちょく顔を見せに帰ってくるからね。良い子にしてお母さんを助けてあげてね。


僕がそう言うと、皆は笑顔で頷いた。僕がこれから携わる仕事は皆の笑顔を守る事に繋がる仕事だ。


皆の笑顔を…楽しみを…幸せを…


“いつも通り”と呼べるように。



前半部分のひらがな表記は主人公が子供なので漢字が多ければ違和感あるかな…と思ってのものです。ご指摘があれば修正します。

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