5-25 五話目終わり。
誰かが、そう呟いた。
呟きは次々と連鎖していき……まるで入学式(※【#1,〝出会い〟と〝変態〟。】参照)の時のような光景だ。そこにいたみんなはボクの姿を見るなり、〝変態〟〝変態〟とまるでそれしか言えないロボットであるかのように、同じ言葉を繰り返していた。
……ただし、そこにいたみんなは、その時とはまるで違う……どこか気持ちを〝不安〟にさせるかのような、そんな冷たい眼でボクのことを………………
……何なんだ? と思った。
ボクは入学式の時のように、今一度ボク自身の服装をチェックしてみたけれど……また間違えてお姉ちゃんの制服を着てきてしまったわけではもちろんなかったし、それこそ、男子ならではのチャック全開というわけでもなかった。まったくの普通……。
――しかし、
す……先頭…いや、この場合は最後尾、ということになるのかな? ――ともかく、ボクから見て一番手前にいた男子生徒が、突然〝廊下の端に寄った〟のだ。
それを見て……なのか、一瞬のざわつきの後、先ほどの言葉の連鎖と同様に、今度はみんなもその動きに合わせ、次々と同じように廊下の端に寄って行ってしまった。
そして、気がつけば……
「……〝道〟???」
そう。それは、みんなが動いたことによって現れた、一本の〝道〟であった。
……どうやらボクに〝通れ〟と言っているようだ。――とは、先ほど一番最初に動いた男子生徒が、くいくい、と親指でその〝道〟の奥を指差したからだ。
「……???」
ボクはそれを不審に思い、前にいた甲呀の後姿を見てみたけど……甲呀は何も言わない。
……つまり、〝行け〟ということなのだろうか?
そう解釈したボクは、仕方なく思いつつもゆっくりと歩を進ませ、できたその〝道〟の中を進んだ。
……すると、その奥には……〝掲示板〟?
――うん、間違いない。生徒のみに限らず、先生や学校にきた来校者に連絡事項を伝えるための、あの〝掲示板〟がそこにはあったのだ。
――ただし、普段は様々な連絡事項が貼り出されているはずのその場所には、なんと、僅か〝一枚〟だけである。ど真ん中に貼られた、たった〝一枚〟の紙が……この大きな掲示板。その全てを、占領していたのだ。
……ボクは、どこかそれに〝恐怖〟を覚えながらも、しかしゆっくりと、確実にその紙に書かれた文字に目を通していく。
そこに書かれていたのは――
【〝露出狂〟 小出 愛梨の真実】




