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――どうやら〝桃ブラ〟は、ボクが〝桃ブラ〟に対し、〝何かをした〟と思ったらしい。実際にはただ単に足を引っ込めなかった〝桃ブラ〟の膝にボクが直撃しただけなのだけれど……そんなこと、混乱状態にある〝桃ブラ〟には分かるはずもなかった。
声にならない声……奇声を上げた〝桃ブラ〟が次に行った行動は、原点回帰。何のテクニックも必要としない、ただの〝ビンタ〟であった。
……べつにそんなもの、股間やあごへの激痛に比べれば、どうということもなく、痛い内にも入りすらしなかったけれど……しかし、〝場所〟と〝タイミング〟が悪かった。
――パンッ!!
――打たれた〝場所〟は、ボクの〝肩〟……おそらく顔を狙っている余裕がなかったのだろう。〝桃ブラ〟はただがむしゃらに腕を振ったのだ。
――しかし、当たった〝タイミング〟は、浮き上がったボクの身体が〝頂点〟に達した、まさにその時だった。
即ち〝無重力〟……打たれたボクの身体は何の抵抗もなく〝吹っ飛び〟、そして――
――バリーンッ!!
……窓を、突き破った……………………。
――どちゃっ。




