5-21
さぁ! 〝桃ブラ〟よ! 直すといい! ――もっとも、今日持ってきたお姉ちゃんの替えの〝ブラジャー〟は、同じく〝桃色〟だから、今はボクも〝桃ブラ〟なんだけれどね?
あっはっはっ!
――そう、ボクが成功を確信し、笑った……瞬間だった。
「きぃぃぃぃぃいいいいいぃぃぃぃぃやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 〝変態〟ぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!」
――ベッッチィィィイイイイイッッィィイ!!!!!! 「はぁあうッッ!!!!!?????」
……〝桃ブラ〟から放たれたのは、現存する、ありとあらゆる、ほとんどの格闘技で使用を禁止されている〝反則技〟……〝金的(※男性の股間を攻撃すること)〟だった。
本来は弓道で使用される金色の的が語源……などという話はどうでもいいとして、とにかく〝桃ブラ〟は思いっきり脚を振り、それを天に向かって思いっきり〝蹴り上げた〟のだ。
瞬間、発生したのは、痛みを超えた、〝超・激痛〟。……そりゃそうだ。睾丸とはつまり、〝内臓〟の一つであるのだ。
――考えてもみてくれたまへ。例えば、〝心臓〟……心臓は普通、胸の中にあり、骨だとか、筋肉だとか、そういうものに〝常に守られている状態〟にある。だからこそ多少の衝撃ではダメージを受けることもなく、平然としていられるのだ。
――しかし、その心臓がもし、〝睾丸の位置〟に付いていたとしたら……そして何よりも、今までそれを守っていてくれた〝骨や筋肉がなく〟、ほんの数ミリしかない〝薄皮一枚〟にしか守られていなかったとしたら……〝蹴り上げられる〟という衝撃。果たして、心臓はこの衝撃に〝耐えきれる〟のだろうか……?
答えは無論、〝耐えきれるはずがない〟。――少なくともボクは、〝耐えきれなかった〟。……詳しくは刃○を読んでみよう!
打たれ、激痛が身体を駆け上がって行った――次の瞬間。ボクが取った行動とは、なんと、〝跳び上がり〟、〝身体を丸める〟だった。
それは人が持つ〝反射〟という機能……言わば〝本能〟だ。
〝金的〟を食らったボクにはもう、文字どおり、反射的にそういう行動を取らざるを得なかったのだ!
――しかし、それこそがボクの最大の過ち…否! 〝不運〟だった。
――カシュッ!!!!! 「ッッ!!!!!??????????」




