表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/172

5-19改




 「――みんな! 待たせてごめん!」

 ――三年生クラス前廊下。

 階段の付近で待っていたその姿を見つけ、ボクが声をかけると……すぐに甲呀が返事を返してきた。

 「遅いぞ、泰介。いったいスマホを探すのに何分かかっているんだ」

 「だからごめんって! スマホ自体は案外早く見つかったんだけど、長山くんが……」

 「む? 長山だと? ……お前と同じクラスのか? それがいったいどうした?」

 「え? いや……何かよく分かんないんだけど、とりあえずボクのスマホが頭に当たって、それで……」

 それで…………。

 「……?」

 どう説明したらいいものか? それを必死に考えていると……どうやら待ちきれなくなってしまったらしい。甲呀が先に口を開いた。

 「……ふむ。まぁ、よくは分からんが、とりあえずは何かしらの事情があった、ということだな? ならばもうこの話は終わりにしよう。――そんなことより泰介……もう昼休みの時間がほとんど残されてはいない。さっそく次のミッションに取りかかろうと思うのだが、準備はできているか?」

 「え? ……あ、う、うん! それはもう大丈夫だよ! ボクはいつでも行けるよ!」

 ――すでに終わったことをいつまでも気にしている場合じゃないな。そう思ったボクは、ちゃんと気合が入っていることを甲呀にアピールするために、がっ! と握り拳を前に突き出して続けた。

 「――さぁ! 甲呀! 次はいったいどんなミッションなの! 次こそボクは完璧なまでにそれをクリアしてみせるよ!!」

 「うむ。気合は十分のようだな……ならば伝えよう。次のミッションは――〝アレ〟だ!」

 ズビシッ! ――もはやこの流れにも慣れてきた。

 ボクはさっそく甲呀が指差した方を見てみると、そこには……!

 「――ッッ!! 大変だ! あの女の人……ボタンが外れて〝ブラジャー〟がほんの少しだけ見えてしまっている!!」

 そう。そこにいたのは……今回は一人でスマホをいじっている状態ではあったけれど、Yシャツのボタンが一か所だけ外れ、桃色の〝ブラジャー〟…〝桃ブラ〟が見えてしまっていた女子生徒の姿だった。

 甲呀は〝桃ブラ〟を指差したまま続ける。

 「そうだ。……長引くと色々と面倒だから、お前の言葉を代弁してやるが……泰介。このままではあの女子生徒が〝変態〟扱いされてしまうのも時間の問題だ。――早急に〝アレ〟を解決させろ!」

 「おっけー! まかせておいてよ甲呀! さっそく行ってくるね!!」

 ああ! 甲呀が力強く頷いたのを確認してから、ボクはすぐに駆け出した。

 そして!!

 「へい! そこの――」

 ――いや、待てッッ!!!!!

 ズザザー!

 刹那、ボクは〝急ブレーキ〟をかけた。……幸いなことに、〝桃ブラ〟はスマホの操作に夢中で、そんなボクにはまだ気づいていない。

 そこでボクは、改めに改めまくって、一回目と二回目……それらがなぜ〝失敗〟したのか? 考えてみる。

 落ち着け、ボク……一回目の失敗の原因は何だった? ……そう、直接〝触った〟からだ。

 ならば二回目は? ……写真に撮って〝見せた〟から…………。

 ――〝触る〟のもダメ。

 ――〝見せる〟のもダメ。

 ――では、あとは? あとは、〝何が〟残っているんだ……???

 ……。

 ……。

 ……。

 ……。

 ……。

 ……。

 ……ボクは、考えた。

 考えて、考えて、考えに、考え抜いて、そしてようやく、ある〝結論〟にたどり着いた。

 ――その、〝結論〟とは……!!

 バッ!!

 次の瞬間、ボクは〝走った〟。――向かう先は、甲呀たちのいる階段……その〝先〟!!

 「――泰介さん!?」

 「――お、おい! おまっ…まさか〝逃げ〟んのか!?」

 「心配しないで!!」

 途中、そんなボクを心配したのか、愛梨さんたちが声をかけてきたけれど……ボクは走ることをやめずに、それにすぐに返した。

 「――すぐ、戻るから!!」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ