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「……は?」
何…言ってるの、この人……???
「おおーと! まぁそう身構えんなよ」
それをまた何か勘違いしたのか、長山くんはボクの肩を、ポンポン、と叩いて呟いた。
「……〝くれ〟、なんて言って悪かったな。あれはお前の〝モノ〟だもんな……くくっ、何、だったらちょっとだけ〝貸して〟くれるだけでいいんだ。……それなら……いいだろ?」
…………。
この人……何かすごく〝危険〟な感じがする……!
直感でそれを感じ取ったボクは、すぐに長山くんから目を逸らし、答えた。
「……ボクには、君の話していることがいったい何のことかはよく分からないけれど……愛梨さんは〝モノ〟なんかじゃないよ。――ごめんね。ボクはキミとの〝取り引き〟には応じられない。来月必ず何かおごるから、それで勘弁してよ」
「…………」
――はっ! そうかよ! 長山くんはボクを突き飛ばし、ズカズカ、と校舎の方に歩いて行った。
その、去り際に、
「――だったらこっちにも〝考えがある〟」
と呟いて…………。




