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5-12改




 「――あの女……よくもたいちゃんを……!!!」

 「師匠、だから落ち着いてください。これも泰介のためです」

 ――二年生クラス前廊下。

 保健室で待機中のネクロマンサー・ゆりちゃん先生の手によって、見事復活を果たしたボクは……続いてこの場所でみんなと作戦会議を開いていた。

 「……あのさ? どうでもいいんだけど、甲呀? ボク、こんなに痛いのなら……苦しいのなら……〝愛〟なんていらないんだけど……?」

 「……何だ? 〝変態性〟の帝王…〝性帝〟とでも呼ばれたいのか、泰介? お前にはピラミッドを作れるほどの人望も武力もないだろう?」

 「いや、呼ばれたくないよ! てゆーか、作りたくもないよ! ボクは小さい子にあんな重労働させられないよ!」

 ……じゃなくって!

 「ねぇ! そんなことより甲呀! さっきの〝あれ〟っていったいどういうことなの!? ボクは親切心で〝おしり〟のごみを掃ってあげただけなのに、何でビンタの往復ラッシュを食らわないといけないの!? オカシイよね、絶対!!」

 「オカシイのはお前の頭だ、泰介……お前は〝セクハラ〟という言葉を知らんのか?」

 「え? 〝セクハラ〟……??? ――それってあの、会社の部長さんが……「キミぃ、今晩ボクとデュエットでもしない~?」……っていう、あれ?」

 「合ってますけど全然違います、泰介さん……本当に知らないんですね……」

 「――知らないのも〝罪〟、とはまさにこのことだな……八つ目の〝大罪〟は正義じゃなくて、〝変態〟でいいんじゃないのか?」

 「ボクは王国転覆もたくらんでないよ!! というか、もうそういうネタ攻めはやめて! 頭がこんがらがってきちゃうから!」

 はぁ~~~……深いため息をついた愛梨さんたちは、まぁ、ボクだし仕方ないか……と、どんなに鈍感(どんかん)な人にでも分かるくらい、あからさまに態度を入れ替えてからボクにアドバイスを送ってきた。

 「――いいですか、泰介さん? ああいう場合は〝声をかけるだけ〟でいいんですよ~。たとえ汚れが残っていたとしても、〝それ以上は何もしないで〟くださいね?」

 「ちなみに声をかける時も〝要注意〟だぞ~。今回はスカートだからまだよかったが、太ももとか、そういうギリギリの場所はむしろ〝何も声をかけるな〟。……それこそ、よっぽどでもない限りはな?」

 「う、うん。分かった……胸に刻んでおくよ……」

 ……なぜだろう? ただ態度を〝優しく〟変えられただけなのに、こんなにも……こんなにも〝悲しい〟気持ちになるだなんて……。

 ……次こそは成功させよう。――〝必ず〟。

 ボクはそう、胸に誓った。

 「……ふむ? どうやら心の準備は整ったようだな、泰介? ――では、さっそく次のミッションに移行するとするか」

 「……うん。オーケー。オーケーだよ甲呀…………あ、で? その次のミッションとやらは〝何〟? 今度は何をすればいいの?」

 「そう慌てるな。次のミッションは……〝アレ〟だ」

 「〝アレ〟? ――あ!」

 甲呀が指差した方向……そちらの方を見てみると、ボクは瞬間、すぐに〝そのこと〟に気がついた。

 〝そのこと〟、とは――!!

 「危ないッッ!! ――あの人、若干だけどスカートがまくれて、〝パンツ〟が見えちゃってるよ!! あのままだとあの人、ボクたちみたいに〝変態〟扱いされちゃうよ!」

 そう! 見ればそこには、またもや二人組で何やら楽しげに会話をしている、女子生徒の片方……その娘のスカートは、腰の所で引っかかり、ほんの少しだけ緑色の〝縞パン〟が顔を出してしまっていたのだ! 早く何とかしなければ……!!

 そう思い、ボクは急いで駆け出そうとした――けれど、しかし……

 「……いや、女子の場合は、〝男子がラッキー〟、と思うだけで終わるだろ……女子の方に〝恥ずかしさ〟は残るかもしれねーけどな?」

 「実際たったそれだけで〝変態〟扱いされるのは、〝泰介さんだけ〟だと思いますよ? 女子の場合はいくら注意してても、スカートを履いてたらたまに見えちゃうものは見えちゃいますし……」

 「…………何? その〝不平等〟? だからこの世界から差別はなくならないんだよ」

 「「…………」」

 ……あれ? なんか、「いや、そんなことはねーよ」って、二人の無表情がボクに語りかけてきているような気が……?

 ごほん! ――その時だった。わざとらしく咳払いをした甲呀は、それから、くい、と眼鏡を直してから話した。

 「……どうでもいいが、今は昼休み……いつだかも同じことを言ったが、時間は有限だ。さっさと始めてしまわないと休み時間が終わってしまうぞ?」

 「ああ、うん! 今行くよ! ごめんね甲呀? ――じゃ、行ってくるね!」

 ボクは片手を挙げながらそう言い、すぐに走り出した。

 ――甲呀の言うとおり、時間は限られている……いつまでもそんな〝不平等〟なことで悩んでいる場合じゃないんだ! 今度こそ成功させてやる!

 目指すは〝縞パン〟女子生徒! ボクはそれにまたギリギリまで近づき、そして……!!

 ――いや、待てよ?

 ピタリ! ――立ち止まった。その状態のまま、ボクは灰色の脳細胞をフル回転させる。

 落ち着け、ボク……さっきのことを思い出すんだ。さっきはなぜ、〝失敗〟した?

 ……〝触った〟から…………???

 ――そう! 直接〝触った〟からだ。となれば今回のこれも、直接触って直せば先ほどと同様に殺られてしまう可能性が極めて高いことになる。

 ……ギリギリの所はむしろ何も言わない方がいい、って、鏡さんも言っていたことだし……ということは、どうすればいい? どうすれば、ボクはあの〝縞パン〟を〝救う〟ことができるんだ???

 ……。

 ……。

 ……。

 ……ボクは、考えた。

 考えて、考えて……そしてようやく、ある〝結論〟にたどり着いた。

 その、〝結論〟というのが――


 ……そうか! 言って気づかせるのが悪いんだ! 〝見て〟気がつかせれば……!!!


 ばばっ!! ――瞬間ボクはまさに〝刀〟を抜くがごとく、ポケットから〝スマホ〟を取り出して、それを〝縞パンの方〟に向けた。

 そして、





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