5-3改
「桜花!? だ、だいじょうぶ!!?」
それを心配した愛梨さんがすぐに駆け寄ると、鏡さんはそんな愛梨さんの手に支えられながらもなんとか立ち上がり、ガクガク、足を震わせながらも必死に甲呀に向かって話した。
「…………お、おい、太郎……おおお、お前……どどどっど! 〝どこまで〟、知ってやが、るるる、んだ???」
――しかし、次の甲呀の一言で、
「……言ってもいいのか?」
鏡さんは突然、〝態度〟を改めた。
「――さ、さぁ! みんな! 〝変態性〟克服のために全力を尽くそうじゃないか! な、なぁ、愛梨!? あは、あはは! あはははは!!!」
……ホントにホント、どうしたんだろうね、鏡さん?
「お前は知らなくてもいいことだ、泰介」
甲呀はそうボクに言うと、鏡さんと愛梨さんが座ったのを見届けてから、最後にゆりちゃん先生の方を向いて話した。
「――では〝大師匠〟……お願いします」
……ところで、いつの間に〝大師匠〟と書いて〝先生〟と読むようになったの? まぁ、べつにいいけどさ?
「うん、分かったよ~」
そう答えたゆりちゃん先生は、こほん、と一度咳払いをしてから話し始めた。
「――えーと、じゃあみんな、これからよろしくね? 先生も顧問は初めてだし、何かと分からないことだらけだけど……とにかくいっしょにがんばっていこうね! 先生にできることがあったら何でも協力するから☆」
……完璧だ。
ボクと同じ、すごくありきたりなセリフ……なんだけれど、なぜに大人の人が言うと、こうも〝様〟になるのだろう? ……これが先生という役職が持つ〝特殊効果〟なのかな?
……おっと、そんなことは毎度どうでもいいとして、
「――ねぇ、甲呀? 何かすっごく楽しい部活になりそうなのはいいんだけど、実際これから〝何を〟すればいいの? ボク、部活に入ること自体初めてなんだけど?」
「何? 今さら何を言っているんだ泰介。この部活の目標は何度も話して、お前も自身も十分それを承知の上だろう? ……それとも、こんな短期間で〝目標〟を忘れたのか?」
〝目標〟……。
「いや、当然憶えてるよ。ボクらが〝変態〟から〝変態〟。甲呀が〝変人〟から〝変態〟でしょ? そんなのは分かってるんだけどさ……結局ボクって、元から〝ノープラン〟なわけだよ。だって甲呀に誘われていきなり入っただけだし……それを言った上でもう一度聞くけど、ボクはいったい〝何を〟すればいいのかな?」
「ふむ。まぁ、それもそうだな……しかし、俺自身にも色々考えはあるわけだが、とはいえ、何をすればいいのか? それを皆で考えて行動に移していくのがこの〝部活〟だ。まずは各自の意見を聞いて……つまり、〝意見交換〟といこうではないか」
なるほど。素直に納得したボクは、さっそく言い出しっぺの甲呀に聞いた。
「じゃあ、まずは甲呀の考えを教えてよ。その上でみんなで話していこう?」




