1-7改
――と、次の瞬間だった。
スマホの画面いっぱいに広がったのは……先ほどの遊具の上。そのてっぺんで、風になびくスカートの内に垣間見える、
〝おしり〟――だった。
「やっぱり、この瞬間がサイコーだよねぇ~❤」
〝おしり〟がしゃべ…るわけがない。先ほどのドラゴンに続き、どこのニコチャンな大王だよ、などとボクは自分にツッコミを入れてみる……が、そんなツッコミ程度では、到底ボクの中にある混乱の渦は拭いきれなかった。
混乱の中……ボクは、それでもなんとか状況だけでも把握しようと、今度はスマホのズームアウト機能を使って全体像を見てみたけれど……〝余計に混乱〟してしまった。
なぜなら、そこにいたのはなんと……ボクをまんまとブービートラップにはめ、逃げて行ったはずの、〝女子生徒〟の姿だったのだ。
……正直、意味が分からなかった……だから、だろうか? ボクは、すとん、と今一度、視線を落として、画面内に映る〝それ〟を見てみた。
と、そこにあったのは……〝おしり〟だ…………この女子生徒がよほどの……それこそ目にも見えないような細さの、所謂〝ヒモパン〟とかいうやつを履いていない場合に限るのだけれど……そこにあったのは、正真正銘、何も履いていない、生まれたままの状態の、
〝おしり〟……だった。
――はっ! と瞬間、ボクは続けて〝あること〟に気がついた。
それは……ボクが今握り締めている、このピンク色な〝パンツ〟……今にして思えば、何となく……どことなくではあったけれど、〝温もり〟があるような気がしていたのだ。
――そう、まるで誰かが〝今の今まで履いていた〟かのような、そんな〝温もり〟が……!!
「さ~て、今日はどこを〝散歩〟して帰ろうか…な……」
――その時だった。
「「……あ」」
と、その女子生徒がボクの方を振り向いた、瞬間。……スマホのカメラと女子生徒の目は、バッチリ、と合ってしまったのだ。
……。
…………。
………………。
……いったい、見つめ合ってどれくらいの時間が経ったのだろうか?
女子生徒は未だ無表情のまま、そこから微動だにしていない。
ボクはボクでさっきからずっと冷や汗が止まらず、しかも手に持ったスマホも、〝パンツ〟も、ギュッと握り締めたまま、動かすこともできなかった。
……このまま、本当に日が暮れるんじゃないだろうか?
そう思った――その時だった。
ぴゅう、と風が吹いたのだ。
それは女子生徒のスカートを〝持ち上げ〟――って! ちょっ!!?
「危ない!!!」
届かないと分かっていながらも、ボクは思わず〝パンツ〟を持っていた方の手を伸ばしていた。――当たり前だ。先ほどまで女子生徒はボクに対して〝後ろ〟を向いていたからまだいいようなものの、今度は〝正面〟を向いてしまっている。その〝危険性〟たるや、もはや誰に言わずとも理解できよう。〝非常に危険〟なものだった。
しかし……
ま、マズイ!! もう間に合わない!!
やはり、届くわけがなかったのだ。
ボクの目の前で、まるでスローモーションビデオを観ているかのように浮き上がって行く、〝ソレ〟……もはや、どうすることもできなかった。
せめて見ないようにしなければ! そう思ったボクはとにかく目を背け、そして強く、強くまぶたを閉じる。
――刹那、だった。遂に、その〝時〟はやってきた。
きぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!