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〝ミニ実力テスト〟??? ――ということは、つまり……
えっとね? ――ゆりちゃん先生はまたボクが聞く前に答えた。
「先生、緒方くんが通ってた辺りの中学校では、どれくらいのことを教えていたのか全然分からないから、とりあえずそれを解いてもらった上で〝勝負〟をしようかと思って……あ! もちろん、そのミニ実力テストの点が良かったからって、もうすでに作ってあるテストの内容を難しくしたりなんかしないから、安心してね? ……逆に、悪かったらもっと〝簡単〟に作り直してあげるから……うふふ、〝チャンス〟だね!」
「いやいやいやいやいや!!! そこまでするんだったらもう普通に顧問になればいいじゃんか! どんだけ激甘なんだよ先生!!」
「え~? だってそれじゃあ〝つまんない〟と思うし……それに、苦手な問題ばかり出しちゃったりなんかしたら、緒方くんが〝かわいそう〟でしょ? だったら、得意な問題をいっぱいにして、それで〝面白おかしく〟できたら先生は満足なんだけど……」
「聖人かあんたは! チクショウ!!」
「まぁまぁ、いいじゃない桜花~。伊東先生が、それでいい、って言ってるんだから……」
えーと……愛梨さんが鏡さんをなだめたのを確認してから、ボクは改めて聞いた。
「と……とりあえず、やればいいのかな? これ?」
「うん♪ あんまり〝がんばらないように〟ね? ――そこのテーブルを使うといいよ」
「あ……じゃあ……」
ぽむ……その時だった。
人数が多くなると俄然無口度が増すシャイな甲呀が、ボクの肩に手を置いて話しかけてきた。
「……まぁ、何だかよく分からんことになってきたが……とりあえずは向こうからああ言ってきているんだ。ここはそれに甘えて、得意なところだけ書き、他はてきとうに流していけ」
「そ、そうですよ泰介さん! がんばって……じゃない。できるだけ〝がんばらないで〟ください! 応援して…〝ません〟から!」
「……あー、もう! いいよ! 〝がんばるな〟よ! あたしはもう知らん!!」
「たいちゃん〝ドントファイト~〟、おー❤」
「……みんな…………」
……なぜだろう? 〝応援されているはず〟なのに、全然うれしくないような…………?




