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3-17改




 「――師匠。俺の〝勝ち〟だ」

 「――!!?」

 突然の〝勝利宣言〟。お姉ちゃんの目の前――突如現れたのは、〝逆さま〟になった甲呀の姿だった。

 甲呀はその状態のまま、いつものように、くい、とメガネを直した――瞬間だった。

 ――バババッッ!!

 地面に隠されていたのは、(はがね)(せい)の〝(あみ)〟だった。

 〝網〟は見事お姉ちゃんの全身を捕らえ、体重の軽いお姉ちゃんの身体は、そのまま一気に上へと引き上げられてしまう。

 そして、お姉ちゃんの眼に、今の今まで逆さまに映っていたはずの、甲呀の姿が正常に見えた、その時。動けないでいるお姉ちゃんの首元に、鋭く長い〝針〟が突きつけられた。

 「……油断大敵。俺は〝忍者〟ですよ、師匠? 相手を油断させるためにならどんなキタナイ手でも使いますよ。もっとも、ルール上、俺は〝闘う相手とその数を規制しなかった〟……つまり、最初から師匠は〝多対一〟だったわけですけどね? ……ああ、もちろん、先ほどの鏡の敗北宣言は〝意味を成しません〟よ? 何しろこの勝負の勝敗は――〝相手の命を断つことができるような一撃を与えた方が勝ちとする〟――ですから」

 「うっ……!!」

 ――勝負有り。お姉ちゃんもそのことを一応、理解したのだろう。若干だったけれど、お姉ちゃんの放つ〝殺気〟は緩められた。

 「お姉ちゃん!!」

 ――ボクは、その瞬間を逃さなかった。

 大声で叫び、急いでお姉ちゃんの下に駆け寄って話した。

 「――聞いて、お姉ちゃん! さっきは部活の名前のことで何か勘違いをしちゃったみたいだけど、本当はそうじゃないんだ! この部活の〝目的〟は、ボクが〝変態〟から抜け出して、誰にも〝変態〟って言われないようにするために、〝できることを探す〟こと……! だから、お姉ちゃんが考えているようなことは、最初から〝一切存在しない〟んだよ!」

 「…………ほん…と……?」

 うん! ボクは、すぐに答えた。

 「本当だよ! ……それともお姉ちゃんは、ボクの言葉が〝信じられない〟の?」

 「…………」

 ……数秒の沈黙。

 それからお姉ちゃんは、たった一言だけ、呟くように話した。


 「……〝信じる〟…………」






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