2-15改
……ひ…みつ…………?
――〝秘密〟!!?
「あいいひゃん! あにを!!?」
ボクの叫びも虚しく、「〝秘密〟だと~?」と鏡さんは眉間にしわを寄せて話した。
「どういうことだ、愛梨? 〝秘密〟って……いや、やっぱりいい。〝自分で〟確かめる」
「〝自分で〟って――っ! ちょっと! 桜花!?」
ぐいっ、と愛梨さんの肩を掴み、力づくで愛梨さんのブロックを破った鏡さんは、そのままボクの胸ぐらを掴み上げ、ボクを無理やり立ち上がらせた。
「――っ!? 桜花っっ!!?」
愛梨は黙ってろ!! そう叫ぶと、続いて鏡さんはボクに向かって……先ほどからの荒ぶった様子とは一転。静かに、まるで呟くかのように聞いてきた。
「……おい、〝変態〟……言え。愛梨の〝秘密〟って……いったい何だ?」
「そ……それ、は…………」
……。
……。
……。
………………言えない。鏡さんのこの聞き方だと、愛梨さんは親友である鏡さんにも、自分の〝秘密〟のことは、話してはいないのだろう。それなのに、知り合って間もないボクなんかが偶然知ってしまった〝秘密〟を、いくら愛梨さんの親友相手だとはいえ、言えるわけがない。
――そう、話せるわけがないのだ。あんなことを……!!
「……ごめ、ん」
……流れ出る鼻血もそのままに、しかしできるだけ、はっきり、と……ボクは鏡さんに向かって話した。
「ぼ…くは……あい…り、しゃん、が、悲しむような、こと、は……いえ、ない――」
――だから、ごめん。
だが、そう言い切る前に、ボクは鏡さんに突き飛ばされ、地面に突っ伏してしまった。
さらに、
「……ほぅ? 言えねーのか? じゃあ、〝言いたく〟してやるよ……!」
ビキキ!! ――鏡さんに掴まれ、捻じられたボクの腕が突然悲鳴を上げた。「ぐああっ!!」と思わず叫び声を上げてしまう。
「――っ! 泰介さんっ!? 桜花! もう止めてあげて!!」
愛梨さんが叫んだ――しかし、鏡さんはその声にも全く反応することなく、さらにボクの腕を捻じりあげながら、言い放った。
「さあ! 言え、〝変態〟!! 言えばお前を解放してやる! 言わないのなら――!!」
「ぐぅううッッ!!!??」
ビキキキィィ!! もう、ほとんど限界までボクの腕は捻じられてしまった。痛みがより一層強くなる。
――だけど、ボクはそれでも叫んだ。
「いえ…ない……!! ボクは……どん、なことを…されても、絶対にいわな――いっっ!!?」
メシィ……遂にボクの腕は、限界まで捻じられてしまった。――あと数ミリでも捻じれば、ボクの腕は完全に折れてしまうことだろう。
そのことを〝分からせた〟上で、鏡さんは静かに話した。
「……これが本当に〝最後〟だ……〝三秒以内〟に言え。でなきゃ――〝折る〟」
「……!!」
三――鏡さんの、〝カウントダウン〟が始まった……だけど、ボクはそれでも、こんな状況になっても、絶対に〝言う気にはなれなかった〟。
ボクは目を閉じ、黙ってそれを聞く。
二……。
……。
一……!!
……あぁ、さよなら、ボクの腕……。
――ゼロ。
――どさっ。……ボクの腕が、地面に崩れ落ちた。