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 ……ひ…みつ…………?

 ――〝秘密〟!!?

 「あいいひゃん! あにを!!?」

 ボクの叫びも(むな)しく、「〝秘密〟だと~?」と鏡さんは眉間(みけん)にしわを寄せて話した。

 「どういうことだ、愛梨? 〝秘密〟って……いや、やっぱりいい。〝自分で〟確かめる」

 「〝自分で〟って――っ! ちょっと! 桜花!?」

 ぐいっ、と愛梨さんの肩を掴み、力づくで愛梨さんのブロックを破った鏡さんは、そのままボクの胸ぐらを掴み上げ、ボクを無理やり立ち上がらせた。

 「――っ!? 桜花っっ!!?」

 愛梨は黙ってろ!! そう叫ぶと、続いて鏡さんはボクに向かって……先ほどからの荒ぶった様子とは一転。静かに、まるで呟くかのように聞いてきた。

 「……おい、〝変態〟……言え。愛梨の〝秘密〟って……いったい何だ?」

 「そ……それ、は…………」

 ……。

 ……。

 ……。

 ………………言えない。鏡さんのこの聞き方だと、愛梨さんは親友である鏡さんにも、自分の〝秘密〟のことは、話してはいないのだろう。それなのに、知り合って間もないボクなんかが偶然知ってしまった〝秘密〟を、いくら愛梨さんの親友相手だとはいえ、言えるわけがない。

 ――そう、話せるわけがないのだ。あんなことを……!!

 「……ごめ、ん」

 ……流れ出る鼻血もそのままに、しかしできるだけ、はっきり、と……ボクは鏡さんに向かって話した。

 「ぼ…くは……あい…り、しゃん、が、悲しむような、こと、は……いえ、ない――」

 ――だから、ごめん。

 だが、そう言い切る前に、ボクは鏡さんに突き飛ばされ、地面に突っ伏してしまった。

 さらに、

 「……ほぅ? 言えねーのか? じゃあ、〝言いたく〟してやるよ……!」

 ビキキ!! ――鏡さんに掴まれ、()じられたボクの腕が突然悲鳴を上げた。「ぐああっ!!」と思わず叫び声を上げてしまう。

 「――っ! 泰介さんっ!? 桜花! もう止めてあげて!!」

 愛梨さんが叫んだ――しかし、鏡さんはその声にも全く反応することなく、さらにボクの腕を捻じりあげながら、言い放った。

 「さあ! 言え、〝変態〟!! 言えばお前を解放してやる! 言わないのなら――!!」

 「ぐぅううッッ!!!??」

 ビキキキィィ!! もう、ほとんど限界までボクの腕は捻じられてしまった。痛みがより一層強くなる。

 ――だけど、ボクはそれでも叫んだ。

 「いえ…ない……!! ボクは……どん、なことを…されても、絶対にいわな――いっっ!!?」

 メシィ……遂にボクの腕は、限界まで捻じられてしまった。――あと数ミリでも捻じれば、ボクの腕は完全に折れてしまうことだろう。

 そのことを〝分からせた〟上で、鏡さんは静かに話した。

 「……これが本当に〝最後〟だ……〝三秒以内〟に言え。でなきゃ――〝折る〟」

 「……!!」

 三――鏡さんの、〝カウントダウン〟が始まった……だけど、ボクはそれでも、こんな状況になっても、絶対に〝言う気にはなれなかった〟。

 ボクは目を閉じ、黙ってそれを聞く。

 二……。

 ……。

 一……!!

 ……あぁ、さよなら、ボクの腕……。


 ――ゼロ。


 ――どさっ。……ボクの腕が、地面に崩れ落ちた。





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