表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/172

2-14改




 ……ど…きゃ……あ??? 

 いったい何の効果音だろう? 気になってボクは鏡さんの手……渡したプレゼントを見てみると、そこには原型を留めていない、無残にも握り潰されたプレゼントの箱が――

 ……え?

 「……てぇぇめえぇぇぇ!! 〝これ〟はいったいどういうつもりだ……ああっッ!!?」

 ベシィッッ!! と〝これ〟が地面に叩きつけられたのとほぼ同時に、ボクは座ったままの姿勢にして次の瞬間、思いっきり飛び跳ねてしまった。……当り前だ。包装紙を開いた直後の鏡さんが放つ〝殺気〟……それは今朝、ボクが鏡さんの親友である愛梨さんに粗相(そそう)をしてしまった時を〝遥かに超える〟ほどのモノだったのだから……!!

 「ちょちょちょ!!? 待ってよ!? いったいどうしたのさ!? そんなに〝これ〟が気に入らなかったの!!???」

 ボクは正座の姿勢のまま、急いで地面から〝これ〟を拾い上げ、再び鏡さんの方を見る。

 ――が、しかし、その〝殺気〟はやはり気のせいではなかったらしく、ごごご、と今にも地鳴りでもしてきそうな高圧のエネルギーの中、鏡さんはさらに数歩ボクの方に近づいてきて怒鳴り声を上げた。

 「……気に入るとか、気に入らないとか……そんな問題じゃねぇ! 何なんだ! 〝それ〟は!!!」

 ひぃ! 小さな叫び声を上げながらも、急いでボクはその問いに答えた。

 「な、何って……〝(セクシーな)パンツ〟だよ! 鏡さんってどんな物が喜ぶかな~…ってデパート内を散策してたら、たまたまこれを見つけて……ホントは〝ブラジャー〟もいっしょに買おうと思ったんだけど、サイズが分からなかったから、とりあえず〝(セクシーな)パンツ〟だけ買ってサッカーボールキッ――」


 くばあああぁぁっッッ!!!???


 突然、ボクは鏡さんに、握り締められた〝(セクシーな)パンツ〟入りの箱ごと、顔面をまるでサッカーボールのように容赦(ようしゃ)なく蹴り抜かれた。


 ぴゅうううぅぅぅ…ずばっ! ずばっ! ズザザー!!


 ――と、まるで水面に小石を投げてバウンドさせるが如く、地面をバウンドして公園の入り口まで吹っ飛ばされたボクは、しかしそれでも気絶することなく……否! わざと気絶させられなかったのだ!

 これから、〝トドメ〟をさされるために……!!

 「は……はなじを……はなじをぎいで……!!」

 「あ? 鼻血だと? 鼻血ならもう出てんじゃねーか。滝のように」

 「ぢ、ぢがっ…そうじゃ、なぐで……!!」

 バタバタ、ともう鼻から血が止まらない。だけどそれでも必死に手を伸ばし、ボクは鏡さんと会話を試みようとがんばったけれど……しかし、それも無駄な努力というやつだった。

 ――ザンッッ!!!

 倒れるボクの目の前まで歩いてきて脚を止めた鏡さんは、次に、かっはぁ~……と、まるで口から炎でも吹きそうな勢いで右手を握り締め、それを思いっきり振りかぶった。

 そして、

 「……〝最後〟に、言い残すことはあるか?」

 「……!!」

 ……か、考えろ、ボク!! どうにかしてこの〝現状を打破〟する、そのセリフを!!

 ……!

 ……!!

 ……!!!

 ……~~~ッッ!!!!!

 「……ないようだな? ――それじゃあ、あばよ、〝変態〟!!」

 「ま――!!」


 「――まってえええぇぇぇぇぇっっ!!!!!」


 ――その時だった。

 救いの手が……〝女神〟が、ボクの目の前に舞い降りた。

 「――〝あいいひゃん〟!?」「――〝愛梨〟!!?」

 ビタアァッ!! ――両手を大きく広げてボクの前に立つ愛梨さんの姿に気づき、寸での所で拳を止めた鏡さんは、慌てて拳を引っこめ、続けて叫んだ。

 「おまっ……何でこんなところに!? 先に帰ったはずじゃ……!?」

 「お昼休みから何だか桜花の様子が変だったから、帰ったフリをして後ろからつ尾行し(つけ)てきたの!! そうしたらこんな状況に出くわして……それで……!!」

 ――くそっ!! 鏡さんは叫び、そして腕を横に大きく振った。

 「そこを退け、愛梨!! そんな〝変態〟……このあたしが、愛梨に近づく前にぶっとばしてやる!!」

 「だから待ってってば! この人は……確かに〝変態〟かもしれないけど、でもそれはわざとやってるわけじゃないの! 全部桜花の〝誤解〟なんだよ!!」

 「はぁ!? あたしが何を〝誤解〟してるって!? 〝誤解〟してるのは愛梨の方だろ! そいつは紛れもないただの〝変態〟だ! それなのになぜ止める!? 昨日、お前らの間に何があったのかは知らねーが、さっさと目を覚ませ、愛梨!! そしてそこを退け!!」

 「退かない!! 絶対に、退かない!!」

 「何でだよっ!!?」

 困惑し、さらには気が逆立っている鏡さんを前に一歩も引かない愛梨さん。

 ……しかし、このままではいつまで経っても状況は好転しない――愛梨さんもそのことが分かっていたのだろう。

 次の瞬間、愛梨さんは一瞬、肩越しに首だけ振り向いてボクのことを見たかと思うと、何かを思いついたのか前に向き直り、こくん、と一度頷いてから口を開いた。

 ――だけど、そこから発せられた〝言葉〟とは……


 「――この人は……泰介さんは、私の〝秘密〟を知っているの!!」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ