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2-9改




 ――屋上・〝最後〟の作戦会議場。

 ボクが入手した情報と、甲呀が入手した情報……その全ての情報を順に整理すると、以下のような結果になった。


 一、〝鬼〟の名前は、鏡 桜花。ボクと同じ1―1組の9番で、一年生のため部活にはまだ未加入。ちなみに誕生日は四月四日だ。4×4(しし)=累々(るいるい)と覚えよう!

 二、愛梨さんとは保育園時代からの〝親友〟。信じられないことにこの頃は身体が弱く、しょっちゅう保育園を休んでは病院に行っていたそうだ。……今では相手を病院送りにする方が得意みたいだけどね?

 三、鏡流古武術道場・総師範(そうしはん)、鏡 信一郎(しんいちろう)の一人娘。小さい頃から古武術を習っていて、そのおかげか、中学校に上がるくらいの時には遂に、弱かった身体を〝克服(こくふく)〟したそうだ。…おかげで強くなりすぎて、遂には〝犠牲者(ぎせいしゃ)〟が出る始末なんだけどね? ぜひとも弱いままでいてほしかった。

 四、性格は明るい方では決してないけど、しかし思いやりがある(ウソつけ、どこがだよ!)らしい。また、受けた(おん)は絶対に忘れず(悪い意味でもね)、特に身体が弱かった頃、愛梨さんにはいつも助けてもらっていたことから、愛梨さんには感謝してもしきれないほどの〝恩義〟を感じているそうだ。――その結果、愛梨さんに少しでも〝害〟であると判断した場合、無言即殺を決めるらしい。

 五、〝変態(ボク)〟を殺った理由は、〝パンツ〟である。


 ……以上だ。

 「――って、あれ? 原因って〝パンツ〟だったの? 何で?」

 「さぁな? 俺も聞いた話だから何とも言い難いが……そうだな、たぶん……女性にとっては、中身が分かってしまうような物を面と向かって渡された場合、〝恥ずかしさ〟というものを感じさせてしまうんじゃないのか? それ即ち〝害〟であると鏡には判断され、お前は殺られた……そんなところだろう」

 な、る、ほど~!! ボクは凄まじく納得した。

 「つまり、ボクはまるで乙女心が分かちゃいなかった、ということか。……なるほど、それなら確かに鏡さんが怒った理由にも納得がいくよ! (……まぁ、だとすればボクは愛梨さんにものすごく悪いことをしちゃったことになるわけなんだけどね?)――とはいえ、いくら謝りたくても鏡さんがあの調子じゃ、謝る前に愛梨さん近づいた瞬間殴られて失神KOされるのがオチだし……となるとまずは鏡さんの方を何とかしない限り、この問題はどうにもならないってことだね! ……あ、それから今度またこういうことがあった場合は、とにかく中身が何であろうと、中身が見えないように〝きれいにラッピング〟をして渡せばいい、ってことでOKなんでしょ?」

 「……………………まぁ、な……」

 と、また甲呀は妙に長い間を空けてから、くい、とメガネを直して続けた。

 「――さて、それはともかく、これでお前が殴られた理由も、やつの素性も判明したのだ。残るは〝今後〟のこと……お前の言うとおり、アイリサンに謝ることも確かに必要だが、その前にお前は鏡に〝害〟ではないと知らしめ、これ以上攻撃してこないように〝説得〟する必要がある。……のだが、さらにその前に、まずは鏡の〝機嫌〟をとっておかなければ、会話すら成り立たないのは明白だ。……今のままでは、会った瞬間再び地獄へ落とされても何ら不思議はない」

 「怖いこと言わないでよ……って、言いたいところだけど、たぶんそうなんだよね。――でも、それならそうで、実際どうするのさ、甲呀? まさか〝ゴマでも()る〟の?」

 それしかあるまい。甲呀は頷いて、続けた。

 「とはいえ、先ほども言ったが、お前の場合まず、会話を交わすことすら困難な状況だ。いきなり話しかけても、文字どおり無駄骨(ごみ)になるだけだ」

 「え? じゃあ――」

 どうするの? 聞く前に、甲呀は答えた。

 「〝プレゼント〟さ――」





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