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「――はぁ、はぁ、な、何なのこの〝変態〟!! 何で急にウチらに声かけてくるわけ!?」
「もー!! アタシ触っちゃったじゃん! 早く手洗わないと〝腐っちゃう〟よ!!」
「もうこんな〝変態〟放っといて、さっさと教室戻ろ!」
「あーん! その前に手ぇ洗わせてぇー!!」
……いくら何でも、あんまりなんじゃない? そのアツカイ……いったいボクがキミたちに何をしたっていうの? 何もしてないよね、実際?
身体から抜け出る魂……そう、天に昇…〝地に降る〟途中、思った――その時だった。
「――あ、そこのお嬢さんたち、ちょっとよろしいですか?」
突然の男の声……「ひっ! また!?」と瞬間女子生徒たちは思わず飛び退きそうになったけれど、しかし、ピタリ、とその行動をやめた。
なぜなら、そこにいた男とは……
「初めまして(キラーン☆)! 僕、佐藤 純と言います! ちょっとお聞きしたいことがあったのですが、お時間よろしいでしょうか?」
〝イケメン〟……!! 今にも事務所からスカウトされ、アイドル界にデビューでもしてしまいそうな、爽やかな〝イケメン〟だったのだ。――キラキラ、となぜか、辺り一面には光り輝く〝ナニカ〟が舞っている。
「は…はいぃ~❤ 何でございましょうか~❤」
「何でも聞いてくださ~い❤ 何ならスリーサイズでも…きゃ☆」
………………。
……ボクの時とは、〝天地ほどの差〟、を見せつける女共の言葉を、ははは、と爽やかに笑い流したそのイケメンは、笑顔のまま続けた。
「いえ、それはぜひとも知りたい情報ではありますが、今回は違う件で少し、お聞きしたいことがありまして……実は――」
かくかくしかじか。
そしてさらにトバすこと三分。
「――ありがとうございます。おかげで助かりました(キラリーン☆)!」
「いえいえなんのなんの❤」
「また困った時はいつでも声をかけてくださ~い❤」
きゃっきゃっ、終始小うるさくも、やっとのことで去って行った女子生徒たちに手を振って見送っていたイケメン……。
ボクはそれを見届けてから、抜け出た魂のまま、〝そいつ〟に話しかけた。
『…………で? 〝収獲〟は?』
ふっ、と一瞬イケメンは笑った――次の瞬間。
「――当然、完璧だ」
ベリリ……と、もうお気づきだろう。イケメンも文字どおり一皮剥けば〝変人〟……甲呀がその中から現れた。
甲呀は、スチャ、とメガネをかけ直すと、そのまま続けた。
「――さあ! いつまでもそんなところで死んでいる場合じゃないぞ、蘇れ泰介! これからこのミッション、その〝最後〟の作戦会議を始める……!」
そう宣言した甲呀は、では屋上に集合だ! と言い置き、ふ……とまるで煙のように人ごみの中へと消えて行った。
……ところでさ、それはいいんだけど……もしかしなくても、〝最初から甲呀が変装〟して聞き込みをすれば、わざわざボクが死ぬ思いをしなくて済んだんじゃ………………。




