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 ……って、アレ???

 そういえば、と失礼ながらも私は不思議に思ってしまい、思わず首を傾げてしまった。

 だって……え? お姉さん……って、〝あの〟お姉さんだよね?

 ――泰介さんのことが好き好き好き~(レベル3)で、泰介さんにとって少しでも敵になるようなモノは即〝排除〟する、ヤンデレを軽く通り越して〝ダークネス(真暗黒)〟な…………。

 …………。


 やめよう。自分が、好きで告白までした人のお姉さんを悪く(?)言うのは……。


 …………。

 ま、まぁ、ともかく、だ……そんなお姉さんのことだ。私はお姉さんがこの仕事を引き受けてくれた時に、泰介さんと同様に…いや、実際はそれ以上の〝心配〟を抱いていたのだけれど、現状を見た限りでは……はっきり言って今回は、そんな〝心配〟の必要はなかった。そう言いきれるほど、お姉さんはしっかりと仕事をこなしてくれていたのだ!

 お姉さんがあまりにも自然に溶け込んでいたから気づくのが遅れたけど……気づいた今となっては、正直、かなり驚いてしまう……当たり前だ。もう言いはしないけど、普段が〝アレ〟なお姉さんがここまで普通に……いや、むしろホメられるぐらいに仕事ができるだなんて、私は夢にも思ってなどいなかったのだ。

 おかげでその点に関してだけは、私は何の心配もする必要はなかったし、こうして泰介さんが抱えている問題にだけ集中できている……〝心配〟の片方が減るだけで、こうも悩みが少なくなるのか……そう心の底から思った私は、うんうん、と頷いてしまった。

 ……あれ? 何だか……お姉さんのことに気がついたら、急にやる気があふれ出してきた気がする……どうしてだろう?

 今度はそんなことを不思議に思いつつも、しかし、まぁいいか♪ と私は開き直った。

 やる気が出たのならそれでいいじゃない! 今問題視すべきなのは、どうやったら泰介さんは普通に仕事ができるのか? だ。それを今一度考えてみよう!

 そう考えた私は、レジの横に置いてある電話脇からメモ帳を一枚手に取り、食べ終わってお会計をするお客さんがいないか注意しつつも、とりあえずは、と現状の問題点を書き始めた。


【一つ、泰介さんは〝聞き間違い〟が非常に多い。

 二つ、複数の物を運ぼうとすると、必ず何かしら〝忘れる〟。

 三つ、そもそも本人が間違ったことに〝気づかない〟。】


 ……大きく分けると、だいたいこんな感じだよね? あとはこれをどう対処するのか、なんだけど……う~ん…………。

 小さい声で唸りながらも、私は問題点の横に考えられる対処法を書き出していった。

 ……一つ目の、〝聞き間違い〟については何とかなりそうだよね? 例えば、泰介さんには常に〝メニュー表〟を持たせるようにして、お客さんに指差してもらうようにする……とか? これならとりあえずは聞き間違えるということはなくなるだろうし、お客さんだって料理や飲み物の名前をわざわざ言わなくて済むから、楽になるはずだ。

 しかしながら、二と三はもはやどうすることもできないのが現状だ。何しろ、持って行ってください、と言ったところで、泰介さんは忘れて行ってしまうのだ。気づかないということもそう。忘れたことに気づかないし、忘れているということにも気づかない。……これに関してだけは、どうしても泰介さん自身にがんばってもらう必要がある。

「だけど……はぁ」

 また、ため息……。でも、これは仕方がない。だって、がんばって! と言うのは簡単なんだけど、それが実際がんばっていて〝コレ〟に至っているわけだし、泰介さんはべつに、決して手なんか抜いているわけではないのだ。

 ――精いっぱい、限界までがんばっている状態の泰介さんにさらにがんばってもらう……そんなことは現実的に〝不可能〟だ。すでにMAXの力を出しているのに、それ以上の力なんて出せるわけがない。

 何か、泰介さんの性格や能力を〝逆に利用できる〟ような、そんな都合のいいアイデアでもあればいいんだけ…ど…………




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