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「……泰介、お前は今、こう考えただろう? ――相手の人が〝パンツ〟を見られてしまったという恥ずかしさを感じる前に、ホメ倒してそれを〝うれしさ〟に変えてしまおう――と?」

「え!? な……何でそれを!!?」

 はぁ~……と今度は、一番奥の席に座る愛梨さんがなぜかため息をついた。

「期待を裏切らない……というのは良いことなのかもしれませんけれど、今の今だけは裏切ってほしかったですね。……泰介さん、今のセリフや答えは、私がそのノートに書いていたこと〝そのまんま〟ですよ? つまり、大ハズレってことです」

「なぁッッ!!???」

 ガクゥ!! ――刹那、だった。ボクはその衝撃の事実に膝をついてしまった。

 そんなバカな!! だって、愛梨さんがこのノートを作ったのはもう一週間も前のことであるはずだ! ……愛梨さんはノストラ……ノストラ…ナントカ! っていう、誰もが知っている超・有名な占い師じゃあないんだ! 100%当たる占いなんてできるわけがない! ――ということはつまり、今のボクの考えは、超・単純だったということ! 浅はかすぎて、誰でも読めてしまう〝情けない回答〟だったということ!!

「くううぅぅっっ!!!」

 ザシィッッ!! ――それを理解したのとほぼ同時だった。

 ボクは、今度は両手を床に付き、甲呀に向かって泣きながら懇願した。

「ご……ごめん、甲呀!! ボクは何て情けない回答をしてしまったんだ……っだけどッッ! もう一度……! もう一度だけチャンスをちょうだいっ! ボクは今度こそ……それこそ今までの訓練のことも十二分に活かして答えるよ!! だから……ッッ!!」


 ポン。


 ――その時だった。ボクの肩に添えられたのは……甲呀の手だった。

「こう……が……?」

 ボクはそれに気づき、見上げると……甲呀は、カチャリ、とメガネを直してから、その鋭い眼でボクを真っ直ぐに見つめて話した。

「……何を言っているんだ、泰介。この訓練は元より〝お前のため〟の訓練だ。――訓練の結果に満足がいかず、自信がつかないというのであれば、〝何度だってやり直せばいい〟だけだ。……違うか?」

「こう……が……ッッ!!」

 そう……だよね! そうだよ! これは〝訓練〟なんだ! 訓練に失敗は付き物……否! むしろ失敗があるからこそ、そこには成功があるんだ!!

「ありがとう、甲呀!」

 そう答えて、ボクは立ち上がった。

 ――ボクはもう失敗を恐れない! 絶対に!!

「さぁ! 甲呀! もう一度頼むよ! ボクは今度こそ、〝正解〟を導き出してみせるよ!!」

「相分かった。……師匠、準備はよろしいですか?」

「ばっちこ~い☆」

「では……いくぞ、泰介!」

「おう!」

 ぐぐぅ……ボクの返事を確認した甲呀は、身体を深く屈ませ、再び疾風となる。

 ギュン!! ぶわっ! 「ああ~ん❤ えっちぃ~☆」

 瞬間、お姉ちゃんのスカートはめくり上がり、また青い〝パンツ〟がボクの前に姿を現した。

 ――考えろ、ボク!! この場合は、いったいどういうふうに答えるのが正解なんだ!?

 〝パンツ〟が見えている時間は短い!! つまりこの訓練は瞬間的判断を鍛える――

 ――いや、違う!!?

 パサァ……〝それ〟に気づいたのとほぼ同時だった。めくれ上がっていたスカートは元に戻り、辺りは静寂に包まれた。

 それから、数秒……。

「……さぁ、泰介。聴かせてもらおうか、お前の〝答え〟を……!」

 甲呀の問い……ボクはそれに、慎重に、しかしすぐに答えた。

「ボクの答え……それは、これだぁああぁぁっっ!!!」


 ばっっ!!!




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