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7-3




 ――四月三十日火曜日。四時間目の教室・自分の席。

 ……しまった。とあたしは、そこで現代文の授業を受けながらも、一週間前の自分の浅はかな考えを嘆いていた。

 ……そう。一週間前。あたしは愛梨の〝告白〟の結果を確かめようと、独り意気込んでいたのはいいのだが……一週間日経った今日になっても、未だその結果の、〝け〟の字すら掴んではいない状況だったのだ。

 ……あれ??? あたしってこの一週間、いったい何をやってたんだっけ?

 あまりにも情けないこの状況を整理するために、あたしは授業をとっていたノートを一時中断し、一週間前から今日に至るまでのことを簡単に書き出していった。


【二十三日(火)・帰り道、愛梨に悟られないように結果を確かめると決意する。

 二十四日(水)・朝。二人の様子から結果を判断しようと思い、二人のことを遠目に見ていると……二人は何やら交互に先生に呼び出され、授業以外それがずっと放課後まで続き、仕方なくこの日は断念してあたしは帰った。

 二十五日(木)・朝。今日こそは! そう思ってまた遠くから見ていると、今度はあたしが先生に呼び出されまくり、気がつくと帰る時間になってしまっていて、すでに二人の姿も教室にはなかったことから、結局この日も断念。

 二十六日(金)・朝。三度目の正直だ! 意気込みを胸に、あたしは二人の方を向くと……また二人は――どころか、さらにはあたしまで呼び出され、この日も断念。

 二十七日(土)、二十八日(日)、二十九日(月※昭和の日)・学校が休みなため、遠くから見ることも聞くこともできず、断念。

 そして、今日、三十日・朝。今日の今日こそは!! そう心の中で叫びながら学校にくると、【本日九時より、緊急全校集会を行います。全校生徒は体育館に移動してください】……と黒板に、デカデカ、と書かれていて、仕方なくあたしは体育館に向かった。】


 ……と。

 …………やれやれ、ともうため息しか出てこない。

 あたしは書いたそれをさっそく消しゴムでこすりながら、しかし、そりゃそうだよな~。と半ば現在に至った状況に納得させられてしまっていた。

 ……だってさ? ちょっと考えればすぐに分かるようなことじゃんか。――あれだけ周りを巻き込んだ騒動が起こったんだぞ?

 今朝の全校集会なんてまさにその内容だ。……結果だけ先に説明すれば、今回の騒動の原因はクサレ長山にあったとして、学校側は〝変態〟を退学寸前にまで追いやったクサレ長山自身を逆に退学にさせる、ということで終止符としたが、それに至るまでにはかなり面倒なことが山積みにされていたのだ。

 そう。それがこの一週間……学校側は〝変態〟に事情を聴き、愛梨に事情を聴き、あたしや姉ちゃんにも事情を聴き、最後にはクサレ長山のことを〝訴える〟かどうか? それを保護者を含めて愛梨たちに確認を取ったそうだ。

 その結果は、先に説明したが、〝退学〟させるだけ……愛梨たちはクサレ長山のことを訴えるようなことはせず、その代わりクサレ長山をフルボッコにしたあたしたちも無罪放免。できる限り穏便な解決を望んだ、と……。

 ……な? 納得するしかねーだろ? いや、つーかもうあたしにもそう言うしかできねーんだけどな? ヘタをすればあたしも暴行とかで警察行きだったわけだし……。

 …………はぁ~。




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