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おまけ#6




 おまけ #6,魔法少女ネタにしようかと思いましたが、ここは初心に帰っ――。




 ――昼休みの屋上。

 ボクとお姉ちゃん以外、誰の姿も見えなかったその場所で、お姉ちゃんは持ってきた黄色い花柄のシートを広げ、そこに座るようボクを誘導した。

 それから自身もボクの目の前に座り、袋から色々取り出しながら話す。

 「はい、たいちゃん。――お姉ちゃんはたいちゃんみたいにお料理はできないから、全部コンビニで売ってたやつだけど……サンドイッチに、おにぎりに……あ、ほらこれ! たいちゃんの好きなハンバーグのお弁当も買ってきたんだ! ……って、ちょっと買いすぎちゃったかな? あはは……」

 「…………」

 「う……あの……ほ、ほら! たいちゃん……あーんして、あーん❤」

 「……いらない」

 「……え?」

 ギリリ……ボクのことを想い、必死に励まそうとしてくれているお姉ちゃんにすらそんな態度を取ってしまう自分にイラ立ちを覚えながら……しかしそれでも、ボクはもう一度はっきりと言い放った。

 「……ごめん、お姉ちゃん……せっかく買ってきてくれたのに……でも、ごめん。ボク……ボク……!!」


 〝チーズ入り〟のハンバーグがいいんだッッ!!!!!


 〝秘技! ちゃぶ台返し〟! ――ガッシャーン!

 「っっ!? たいちゃん、何を!?」

 ぽた……ぽた……ぽた……。

 ……いつの間にか流れ出していた涙をそのままに、ボクは続けて話した。

 「ボク……分かんないんだ……どうしたらいいのか、全然……思い、つかないんだ……だから、それなら……いっそ……!!」

 「――たいちゃんっっ!!」

 ガバアッ! ――お姉ちゃんはボクに覆いかぶさるように、必死に、ボクのことを抱き締めながら……ボクと同じように涙を流しながら、叫んだ。

 「ごめんね、たいちゃん!! たいちゃんがそんなにもチーズ入りハンバーグが〝好き〟だったなんて……でも、ごめんね! もう、どうがんばっても無理なの!! だってチーズ入りハンバーグはもう……〝売り切れ〟だったから!! コンビニだけじゃなくてスーパーやお弁当屋さんも探したのに、〝売り切れ〟だったから!! だから……だから……!!」

 「なっ!!? お姉ちゃん…………でも、じゃあ……それならボクは、どうすれば……?」

 「……………………」

 長い沈黙……だけどお姉ちゃんは、ぎゅっ、とボクのことをしっかりと抱き締めながらも、ボクの問いに答えた。

 「……ぐす……おねえ、ちゃん、にも……わかんない…………だけど、そんなに悩んでるのなら……もう全部、何もかも……〝忘れ〟ちゃお?」

 「……え?」

 今……何て……?

 聞き返す前に、お姉ちゃんは続けた。

 「――そ、そうだよ! もう全部、何もかも〝忘れ〟ちゃえばいいんだ! だって……そうでしょ? たいちゃんがいくらチーズ入りハンバーグのことを〝好き〟だったとしても……そう! 〝愛して〟いたとしても! 〝売り切れ〟だったんだから、もうどうしようもないじゃないっ!!  ……チーズ入りハンバーグをゲットするために散った、あの長山っていう悪い子も……そして愛梨ちゃんも! お姉ちゃんと同じで、遅かれ早かれゲットできない〝運命〟だったんだよ! だから、たいちゃんがそんなことで悩むのはおかしい……絶対におかしいよ!!」

 「……お姉ちゃん…………」

 …………。


 ……そう……かも、しれない…………。


 「……え? たい…ちゃん……???」

 聞き返してきたお姉ちゃんの耳元で、ボクは……呟いた。

 「……分かったよ、お姉ちゃん……ボク、〝忘れる〟。……何もかも〝忘れて〟、それでまた一から…………」

 「! たいちゃん……!! ……うん! そうだよ! たいちゃんはこんなにも……こんなにもチーズ入りハンバーグのことを〝愛して〟いたんだもの! たいちゃんは何にも悪くないよ! だから、誰もたいちゃんのことを責めたりなんかしない! だから――」


 「――っっざけんじゃねぇええええええええええッッッ!!!!!!!!!!」


 叫び声を上げたのは……散ったはずの長山!?


 「――待ってくださいっっっ!!!!!」


 そして――愛梨さん!!?


 「――あいや待たれよ! 罪なき若人たちよ!」


 甲呀まで!!???


 『――おーい! 長山―っ!』


 ロン毛!!!!!!!!!!????????????????????


 「――たいちゃん!?」

 「――〝変態〟!!」

 「――泰介さん!!!」

 「――泰介!!」

 『――おーい! 長山―っ!』


 ――み……みんなっっッッッ!!!!!!!!!!


 「うおおおおおぉぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉっっっっっッッッッッ!!!!!!!!!!」


 ――しかしその後、泰介の咆哮も虚しく、泰介たちの、チーズ入りハンバーグをゲットするという〝夢〟は、叶わなかった…………。

 だって、ともう一度説明するけれど、……なぜならチーズ入りハンバーグは、


 〝売り切れ〟だったのだから……!!


 〝変態〟がいくら叫ぼうが、何をしようが、チーズ入りハンバーグは〝売り切れ〟だったのだからッッッ……!!!!!


 「〝大好き〟だ! チーズ入りハンバーグ! ボクの〝彼【※茶番の途中ですが、〝変態〟によって使用された、〝秘技! ちゃぶ台返し〟の効果により、床に落ちてしまった残飯は、後ほど〝変態〟自身が責任を持っておいしくいただきました。どうぞご安心ください。】いぃいいいぃぃぃっっっっっッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」








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