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そう、ロン毛の〝正体〟……その〝中身〟は、ロン毛に〝変装した甲呀〟だったのだ!!
そして、さらに――!!
『ばぁ☆ そしてカメラを回していたのは、高校生のコスプレをした〝先生〟でした☆』
〝ゆりちゃん先生〟!!??? ――そう、突然回った画面……そこから現れたのは、ボクらの部活……〝変態を迎える人生〟部の顧問、伊東 百合根先生だったのだ!
ゆりちゃん先生はカメラをどこか高い場所……おそらく、窓の手すりか何かだろう。に引っかけて、その上で今一度、画面に映る変装を解いた甲呀の隣に移動した。
『……って、勢い余って登場しちゃったのはいいんだけど……ねぇ、山田くん? 先生のコスプレどうかな? 〝イタく〟ない……よね?』
『安心してください、大師匠。どう見ても同級生にしか見えません。……むしろ、そのクオリティーで〝イタい〟などと言ってしまえば、全国の大半のコスプレイヤーが泣くことになってしまいます。……長山たちも一切気づかなかったようですし、自信を持ってください』
『そっかー☆ ならよかった!』
『さて、そんなことより大師匠。〝これ〟を見せつけて、今、おそらく会場にいるであろう長山に〝トドメ〟をさしてやろうかと思うのですが……構いませんか?』
『うん! 悪い子には、時には〝オシオキ〟が必要だからね! ガツン! と言っちゃいなさい! ――というわけで、会場の方の山田くん~? 準備はいいかな~?』
「もちろんです! 大師匠……!」
まるでライブ映像のようだ……映像に答えた甲呀は、暗闇の中、懐に手を入れ、おそらくは〝これ〟と言ったものだろう――を取り出し、長山に突きつけた。
――そして!!
『「――長山! 俺たちの〝勝ち〟だ……!!」』
バンッ! 映像とシンクロしながら、また甲呀と長山のところだけつけられた照明……その瞬間、甲呀が懐から取り出した〝物〟の正体が明らかとなった。
それは――袋に入れられた、血のついた〝画鋲〟だった。
映像の甲呀も同じ物を持っている。
つまり、あれはこの映像の最初……ロン毛に変装した甲呀が長山にプリントを渡した際、長山の手に傷を負わせた〝画鋲〟……それに間違いないということだ!
「グガアアアアアアアアアアっっっッッッッッ!!!?????」
長山の奇声……どたっ! と遂に、長山は衝撃に耐えきれず尻もちをついてしまった。
正面からそれを見下ろしながら、甲呀は話す。
「ふ……さすがのお前も、もはや何も言えまい? 何しろ、話していた〝本人〟が目の前にいるのだからな? ……それに、映像の最初と最後でセリフが食い違うようなこともなかったことから、これは〝合成ではない〟ということがしっかりと〝証明〟されたし、何よりも、この〝画鋲〟。これがまさに、〝動かぬ証拠〟、というやつだ。……何なら、画鋲に付いた血のDNAを調べてみてもいい。間違いなく一致するからな。――というわけで、長山……もう一度はっきり言うぞ? この〝勝負〟……俺たちの〝勝ち〟だ……!!」




