1-11改
――翌日の学校。
「えーと? 確か1―1だったよね? ……っと、ここか」
結局、昨日家に着いたのは二十一時を超えてしまったボクではあったけれど、それでもなんとか寝坊せずに学校にこれたボクは、続いて〝初めて〟自分のクラスに訪れた。
……え? 昨日……始業式の日にはこなかったのか? って? ――答えは〝イエス〟だ。
何せボクは昨日、本来なら今日渡されるはずだったジャージやら何やらの着用で忙しかったからね。学校中の掃除をしてたといっても、全部廊下までだったし。
……まぁ、そんな細かい事情はこの際ほっとくとして……というわけで、今日こそはまともな〝男子生徒〟の制服を着てきたボクは、周りから突き刺してくるような〝トゲトゲしい〟視線を、これでもかっ!! といった具合にハネのけ、堂々とその教室に(――というか、ただ単に色々諦めて何も気にしないようにしているだけだけど……)入って行った。そして、すぐに自分の席を教卓に置いてあった座席表で確認する。
――と、すぐにその名前を発見した。というのも、席は窓側から順に、あいうえお順だったのだ。ちなみにボクは、〝お〟がた、だから、その一番窓側で、しかも一番後ろの席だった。なんとも分かりやすい。
ボクは再び襲いかかる〝凍てつく〟視線を、ヘイカモーン! と闘牛士もびっくりな体さばきでくぐり抜け、そしてその席に素早く座った。
そして、ふー……と深いため息を一つ……。
……いや、ホント。〝変態〟っていうのも楽じゃないよ…………。
「――あ、あの……お、おはようございます!」
――と、そんなことを考えていた、その時だった。
隣から珍しく、〝人間様〟がお声をかけてきたのだ。……え? ボクは人間じゃないのか? って? ……何言ってるの? ボクは〝変態〟だよ? 人間なわけがないじゃないか(泣)。
「――あ! これはどうもおはようございます……」
ボクは再び、そんな色んな〝想い〟を捨て去り、その声がした方向にすぐさま向き直って一礼すると……なんと! そこには、とてもボクのような〝変態〟が安易に会話をしてはならないような、〝超絶可憐な姿〟があった。
――そこにいたのは、髪は光の加減か、若干茶色がかったストレートのショートヘアで、顔はアイドル並みに小さく、しかし瞳は、ぱっちり、と大きく、それでいてつぶら、という矛盾を楽々クリア。
そして何より驚かされるのは、まだ入学したての高校一年生だというのにも関わらず、たわわに実った大きな〝胸〟! さらにはくびれた〝ウエスト〟! そしてそして程良い大きさの〝おしり〟に…………。
……おや? とそこまで語ったところで、ボクは、〝それ〟に気がついた。
〝おしり〟……そこにいた女子生徒は座っている状態だったし、しかも横を向いている。それに、〝おしり〟といっても、もちろんそれはスカートの上から見たものだ。いかにこの女子生徒のスタイルが良いからといっても、それだけで個人を特定するなんてことはまず不可能だろう。
……だけど、となぜか……ボクはそれを見た瞬間、〝確信〟すら抱いてしまっていた。
――相手は、今にもアイドル界にデビューでもしてしまいそうなほどの、超・美少女。
ボクはそんな超・美少女を前に、それはもう恐れ多く思いながらも……しかし、遂には我慢できず、〝そのこと〟を聞いてしまった。
「――あの、つかぬことをお聞きしますが……もしかして、〝昨日〟の……???」
「――!!」
超・美少女は一瞬、驚いた顔になった。
それを見た瞬間、ボクは、しまった! と思ったけれど、しかし、返ってきた言葉はそんなボクの予想とは〝真逆〟のものだった。
超・美少女はそれから、ニッコリ、と満面の笑顔を見せ、そしてすぐに答えた。
「――はいっ! 〝憶えていてくれた〟んですね!」
――やはり、そうだった……やっぱり、そうだったのだ!
ボクの隣の席――そこに座っていたのは、なんと! いったいどういう運命の巡り合わせか、昨日出会ったあの〝女子生徒〟だったのだ!