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授業後。
シャーナとソニアは二人で学校の廊下を歩いていた。
「ありがとう」
「いいや、大したことないよ。アンジェはどうせクラスで一番というのにこだわってただけだろうし。普通は授業なんだから時間かかってもコントロールに慣れるべきだったんだ。機会潰してごめん」
「ううん、違う。私が魔法下手だから」
「気にすんな」
ソニアは無表情。
しかし、どこか落ち込んでいるように見えた。
「私、白い花好きだよ」
「うん、知ってる」
「シャーナは私のことよく分かってるね」
「……そんなことないよ」
親友が分からないと思っていたのに、その親友自身から分かってると言われたのはシャーナにとって嬉しかった。
二人から離れた場所からアンジェとユーリは二人を見ていた。
「ほんと意味わかんないあの二人」
「でもはっきりしたことがある。シャーナは頭いいね。あと魔法の扱いも上手い」
「は?」
アンジェは頭大丈夫といいたげな目線を送る。
ユーリは気にも止めず続ける。
「ふざけてるように見えて、教科書の内容はしっかり頭に入れてたし、他の魔法の手順も魔法の使い方も分かってた。この授業の意図も分かってるようだし」
「えー?そうかしら?過大視しすぎじゃない?」
「じゃなきゃ、機転を利かせて水魔法を上手く手助けなんか出来ないし、自分の火魔法もあんな数秒で調整出来ないわよ」
「普通じゃない?」
アンジェは何が凄いのか分からない。
それはアンジェが紛れも無い天才であるからというのも原因だった。
一般的にはアンジェのグループのように一瞬で課題を終わらせられない。
授業目一杯使っても課題が終わらなかったグループも2、3組あったのだ。それが普通。
それが普通だと思っていないアンジェには到底理解など出来なかった。
ユーリは内心、呆れた。
「……頭いい人にとっては普通なんでしょうね。だから同じグループなんじゃない?」
「だからこのエリートのあたしがあんな二人と同じなのがムカつくのよ!」
「あら?私はいいの?」
「!……あんたは頭いいけど、暗いから嫌いよ!!」
「それはお互い様」
「ふん!」
4人はまだまだバラバラだった。
けれども、彼女たちはこれから世界の根幹を揺るがす存在になるとは思ってもいなかった。