1.初めの一歩はスキップで
始まりの場所、この世界の中心といわれる<<王都・ユグドラシル>>の外れにある、異様に弱いポップモンスターの出るチュートリアルのためだけにあるような場所。
その概要は草原に神秘的な木とその木に埋まるようにして石碑があるだけのフィールドだ。
約束の時間よりかなり早く着いてしまったのでこれから約束の時間までソロで狩にでも行こうと思う。
ここでチュートリアルを受けてもいいのだがチュートリアルは時間がかかりすぎるし、何よりめんどくさい。
ここは、チュートリアル専用と言ってもいいほどのステージでで、あまり経験値効率もよくないことはリニューアル前を知っている奴なら誰でも知っていることだ。
行くなら…そうだな。ここを出てすぐの草原にちょうどいい所があったはず、そっちに行こうっと。
「まぁ、まずは装備だよな… コール、メニューウィンドウ。」
そう言って開けたウィンドウには初期装備と共に愛用のレジェンダリ装備がある。
補足すると、レジェンダリというのはレア度のひとつで、5級、4級、3級、2級、1級、レア、レジェンダリという風に上がっていく。
レジェンダリにはたとえば、俗に言うエクスカリバーや、ロンギヌスなどの伝説上の武器が上げられる。
実はこの上もあるのだが、『アレ』はな…
ま、要するに、リニューアル前を遊んでいたプレイヤーがレベルをさっさと上げられるようにという運営側の配慮なのだろう。
「危なくなるまで、初期装備だな。」
初期装備にした理由は装備品やマップの装飾に耐久値が設定されていて、強い武器の修理費がバカにならないからだ。
実際は所持金を引き継いでいるので困りはしないのだが。 なんか俺が嫌だからなんて理由もある。
「さて、スキルは…なんだこりゃ? うわぁ、ほとんどのスキルレベルがマックスじゃないか…」
そういえば、キャラクターエディタでスキルレベルを引き継ぐって言ってたけどまさか全部引き継ぐとは…
「あ、チュートリアル出てきた。 スキルスロット? スキルをはめる?」
なるほど、スキルに使用制限が出来たのか。
それで、スキルスロットは、これだな。
スキルスロットのくぼみが6個と真ん中に職業スロットがひとつ。
ここには、エンチャンターのカードがはめられている。
職業スロットの周りを囲うようにスキルスロットがある。
「まずは、スキルをはめてみよう。とりあえず、武器が壊れたときとか無手格闘いるし、魔法を使うには杖か魔道書は必須だろ…
残りは気になる新規スキルを端からだな」
そんなこんなでスロットはこんなふうになった。
-Skill Slot-
・無手格闘Lv.200
・ジャンプLv.1
・杖Lv.200
・幸運Lv.1
・交渉術Lv.1
・クロノドライブLv.1
「よし、こんなもんだろ」
泳ぎと幸運はマジで気になった、ジャンプは名前からからある程度は分かるんだがいるかどうか迷った挙句いれた。
交渉術は迷わず入れた。いるだろ? 交渉術だぜ? ネゴシエーション。
効果が分からんでも絶対入れるわ。
そして最後に、クロノドライブ…明らかに怪しい。だって、このゲームの名前そのものなんだぜ?
怪しすぎるだろ…まぁ、入れたけど…
決定すると、予想外のことが起きた。 職業スロットにあるエンチャンターのカードにⅠ.魔術師と表示されるようになった。
「このⅠはレベルだろうか? なら、この魔術師というのは職業の系統とかだろうか? う~ん、よくわかんないな。」
少し考えてみたけれど、一向に分からないので無視することにした。
「それじゃ、ジャンプのスキルレベル上げながら行くか。」
そう言って俺は新しい『この世界』を歩き出した…スキップで。