12.夜明けの裏側
システムが…未だに起動しない。
システム自体はもう完成しているというのに…起動しない。
そのことに、俺は苛立ちを隠せないでいた。
「駄目ッスよ、先輩?気持ちは分かりますけど、そんなイライラしてたらお肌に悪いッスよ~?」
こいつの軽口も、いい加減に慣れてきた。
仕事中ずっとこれだ…仲間でもなきゃ殺してる。
今なら、軽く何言われても切れない自信があるぞ。
「うっせ。いいから仕事しろ。ゲームばっかしやがって…そんなにおもしれーか?」
「あっれ~?先輩は興味ないんじゃありませんでした?」
何が面白いのか、ウルズはケラケラと笑い出しやがった。
胸糞悪い奴だ…
「…場合によっちゃ、仕事中のゲームを認めてやるぞ?」
「なん…だと…!?お前、実は先輩じゃないな!うちの先輩はな!こんなに優しくねぇんだよ!もっと後輩使いが荒いんだよ!下手なモノマネしやg『パンッ!』…」
「おっと、悪いな。拳銃が勝手に…」
「いっやだな~、もう。先輩なら先輩だって先に言ってくれないと…あははは、先輩マジリスペクトッス!」
終始こんな感じで、ウザイったりゃありゃしねぇ。
「またウルズを虐めているの、スクルド?」
「ん?あぁヴェルか…」
聞きなれた女性の声に、振り向くことなく人物を当てて見せる。
今この研究所には、女性なんてこいつしかいないのだから簡単だ。
「それで?」
「ん?」
「起動したの?」
「いや、ウルズのやつがチンタラやってやがるからな」
「えぇ!?俺のせいッスか?全部俺のせいッスか!?」
狼狽えだすウルズに「そうだ」と断言してやると、まるで泥沼にでも沈んでいるかの様に沈み込んでいった。
ざまぁみろ。
「ウルズ?このゲーム面白いの?」
流石に可哀想に思ったのか、ヴェルがウルズに話題を振ってやっている。
「…面白いッスよ。自分が仕事サボるぐらいには。まずですね――」
すると、ケロッとした態度でゲームの説明を始めるウルズ。
反省の色はないのか、お前には…
「「…反省してろ(なさい)」」
余程効いたのか、さっきより沈み込んでいった。
…ま、サボってたのは俺もなんだけどな。
それも、件のChrono Drive Onlineで。
「仕方ねぇな…、仕事が行き詰ったときはゲームしてもいいから、さっさと起動させろや?な?」
「ほ、ホントッスか!?俄然やる気が出てきたッスよ!!」
…ちょろいな。
しっかし、何なんだあのゲームは…イベントの難易度がおかし過ぎるだろ。
深水1m強であの難易度って、ゲームクリアさせる気がないとしか思えねぇぞ。
実際、運営のリソースをパクって潜水服を作らなけりゃ、ボス部屋にまで行けなかったしな。
しかも、パクれたリソースが近くの海底洞窟だけってなったときは、キレかけたぞ。
「…そこまでやっといてボスに勝てないとか。気が付いたら死んでたとか、シャレにならねぇっての!」
はぁ、アレ誰かクリアすんのかねぇ…
一人で黄昏てると、コツコツと靴の音が近づいてきた。
「…なんか用か?」
おそらく、ヴェルだろう。
めんどくさいので座り込んだままで相手をする。
「ええ、システムが起動したわ」
「――なん、だと?す、直ぐに行く」
滅茶苦茶大事なことをサラリと流してくれちゃってまぁ…
そういや、ヴェルは初めて会った時からこんなだったな。
それにしても、だ。システムが起動しただと?ウルズの野郎、やっぱ手ぇ抜いてやがったな!
もうぜっってぇゲームなんてさせてやらん。覚悟してやがれ。
「おい、ウルズ!!」
「あ。先輩聞いてくださいよ!システムが突然動き出したんッス。理由とか全然わからないんスけど…」
いきなりの対応に毒気を抜かれてしまう。
「あ、ああ?それはどういうことなんだ?お前が起動させたんじゃないのか?」
「い、いえ、それがッスね――」
ウルズのやつが言うには、俺に激励された後、直ぐに作業を再開したが、やっぱり何も起きず、うんともすんとも言わなかったらしい。
しかし、またゲームを始めようとしたときに、急に画面にフェーズを移行する旨が表示されたらしい。
「ふぅ、これでやっと計画は実行段階に移れるわね」
「長かったッスね。でもこれで問題も解決。遂にッスね…」
「ああ、プロジェクトC.D.起動だ」
その日、
何の予兆も、
妨害も、
布告もなく。
彼らは、
世界を揺るがす
大きな事件の開幕を
宣言した。
Xデーまで、あと2日――
2Chapter//VR Research Club・完
ラジオ≪C・D・O≫!
リュ「お久しぶりです!司会のリュートと」
シラ「同じく司会のシラナギです!」
リュ「あれ、シラナギ今日は元気いいね?」
シラ「それはまぁ、ここしばらく出番があるですし、イベントもやっとこさクリアしたですし、いいことばっかりですから!」
リュ「それはよかったね」
シラ「はいです!」
リュ「では、その調子で頑張っていきましょう。お題はコチラ」
~結局、キャラクター人気投票はどうなったのか~
リュ「あぁ、これか…」
シラ「もちろん私の圧勝に決まって――」
ごめん。票数が少なすぎてアンケートになってない。
せめて、全部で10票はないと…
なので、明日のお昼12時まで延長します。
尚、投票は感想か、活動報告のコメントにお願いします。
シラ「そ、そんな…せっかくこの機に乗じて主役の座を手にしようというのに…」
リュ「そんな計画立ててたのか…」
シラ「と、取りあえず、今ここを読んでいる人。私に入れるです!私ですからね!」
リュ「少し落ち着きなって…コホン、それでは皆さん」
リュ・シラ「「投票お待ちしてます!!」」




