8.海イベント!!
本日久々にアクセス数を見たのですが、
PVが40,000を、
ユニークが7,500を、オーバーしていました。
皆々様に感謝を!
とりあえずは週1ペースで更新がんばります!
(もうすでに3日ほど遅れていますが…orz)
「…!そらァ!!」
盾を構えゾンビを押し飛ばして、怯んだ所を身の丈ほどある大剣で斬り、また直ぐ盾を構える。
はぁ…これで何体目だったっけか?
ここ1時間ほどこの手のアンデット系のモンスターばかりが出てくる。
しかもこのどうにも贋物に見えないVR製のアンデットだ…あまり気分のいいものじゃない。
現に、段々と嫌気が差してきているし、精神的な疲労も蓄積されてきている。
はぐれたメンバーの安否がかなり気になってはいるが、今考えたってどうにもならない事は明白だ。
「あ、あ、あの…ユ、ユースケさん、ぶ、無事…ですよね?」
「ああ、平気だよ。はぐれた奴らが心配で、な?」
このオドオドした子は≪堂島 杏子≫ちゃん。
ビックリすることにプレイヤーネームに本名を登録してしまったそうで、フレンド登録してちょっとビックリした。
ネットゲームは初めて…と言うか、ゲームをするのが初めてなんだと。
髪は緑のボブカットで瞳の色は薄い紫、縁の赤い眼鏡を掛けていて、プロポーションも高評価。
特に胸は天戯生徒会長には届かないが、確実にDはある!間違いない!!
「そ、そうですよね…ミィちゃん平気かな…」
実はこの子も俺と同様にメンバーとはぐれてしまったらしく、ダンジョンを当ても無く彷徨っていた所、偶然出くわしたので現在二人でメンバーを捜索中だ。
正直、俺はこのイベント企画したやつにお礼を言いたい。
こんな美人と二人っきりとかもう、テンションがヤバイ!
ついでに言えばこれだけで精神的な疲労感は、ほぼ完全に消え去ってるし、このまま二人っきりになったらとか妄想出来そうな位、余裕が出てきている。
「さ、行こっか?心配しなくても、次々に見つけてみせるって」
メンバーの1人であろう名前を呟いて、心配そうにしている杏子ちゃんを元気付けようとちょっと自信満々にかっこ付けて言う。
「う、うん…」
すると、彼女が頻りにこっちを気にしている事に気が付いた。
「ん?どした?顔が赤いけど…無理すんなよ?」
「へひゅ!?だ、大丈夫ですよ!?ななな、何でも、何でもないですから…!」
気になるので少しカマをかけてみると、慌てて顔を俯かせてしまった。
…????これってあれか…?ついに、俺にも春が来たって事なのか!?
女友達に付き合ってくださいと言い続け、「ごめんなさい、あなたとは友達でいたいの」と言われる事幾星霜……ついに…ついに来たのかッッッ!?
いや、いや待て、待つんだ俺。今まで強いては事を仕損じて来た…奥手を、奥手を装うんだ。
この子にアタックするチャンスを窺うんだ!
まあ取り敢えず、リュートを見つけるのは最後でいいよな?
そんなことを考えながら角を曲がったときだった。
少し離れたところにある大きな扉の前に、俺以外の全メンバーが揃っていた。
その時、俺は思った。
このイベント企画したやつは、絶対空気読めねぇんだろうな、と。
◆
「よかった…これで全員揃ったね」
揃ったメンバーの顔を見て心底安心する。
「ミィ、そっちはどう?全員集まった?」
「いえその…まだ1人合流出来て無いです」
こっちのメンバーは無事合流できたが、ミィの方はまだ1人足りないらしい。
申し訳なさそうに言われるとまるで俺が悪いことをした様な気になってくるから不思議だ。
しかも仲間内と向こうのメンバーから向けられる視線が痛い…
「あと1人はどんな人なんですか?」
視線から逃れるために何とか話を逸らそうと話題を展開させる。
「そう、ですね…金髪のエルフで、サモナーをしているとてもいい子ですよ?少し独特の口調をしていますけど」
「へ、へぇ…そうなんですかぁ。あ、あはは…」
…何でだろうか。金髪のエルフでサモナーをやっている人だっていっぱいいるはずなのに、1人の少女の顔が頭から離れてくれない。
後ろを振り返って見れば、ユースケと風理も何とも言いがたい顔をしていた。
「シラナギ…」
「そうです。シラナギという名前で…あれ?私、名前教えましたっけ?」
「あれ?リュートさんじゃねぇですか!?こんな所でどうしたんですか?」
ミィの向こう側の通路から、良く見慣れた魔女ッ娘帽子の金髪エルフが現れた。
「あ、ミィちゃん何処行ってたんですか!?探し回ったじゃねぇですか!!まったく、迷子になるんだったら一言くらい言ってからですね――」
「迷子はお前だって…」
すかさず突っ込みを入れるが、最早誰もが苦笑いを隠せなくなっていた。
「それで、皆さんお集まりみてぇですけど、どうしたんですか?」
「あ、ああ、そうそう実はシラナギが来る前にも話してたんだけどな?今回はこの2パーティでレイドを組むことになったんだ」
さっきミィが申し訳なさそうにしていたのも、これが原因である。
大方、自分たちのせいで攻略が遅れるとでも思ったのだろう。
「へー、そうなんですか」
「悪意が無いのが余計に腹立つな…」
聞こえない様に言ったつもりだったが、近くにいたミィには聞こえていた様で、
「ま、まあまあ、それより早速レイドを組みましょうか?」
と、気を使わせてしまった。
こんな所で仲違いをするよりもよっぽど建設的な意見なので、メニューからレイド画面を開き、ミィのパーティにレイド申請を送る。
これをミィの側で受理することでレイドは完了。
ボス部屋にレイドパーティの全メンバーで入ることができるようになり、これをしないでボス部屋に入ると、どちらも別々に用意された同名ボスと戦う羽目になる。
「さて」
1拍おいて、ミィの方を見るとこくり、と頷きを返してくれた。
「「これより、レイド級ボスの討伐を開始する(します)」」
「「「「「「「「「おー!!―――ッ!?!?!!?!」」」」」」」」」
み、耳が…
さすがにこれだけいると声が反響してすごいことになるって気付かないのかな…
このダンジョンは今の所完全な密室なのだから、音の波も外に逃げずに全部帰ってくるのだ。
「…み、耳が直るまで休憩にしようぜ?」
「そ、そうですね。それがいいと思います」
ユースケと緑の髪の女の子が休憩を進言しているが、このゲームの仕様はそんなまったりとした空気を許しちゃくれない。
もう直ぐ音を聞きつけてやって来るだろう。
「いや、さっさとボス部屋に入ることを俺は勧めるよ」
「な、いったいどういうつもりで――」
「さっさとボス部屋に入るか、ここでアンデットの大群に襲われるか、どっちがいい?」
グゥゥゥオォォォォォ……
ケタケタケタケタケタケタ…
ぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁあぁ…
「お、もう来た」
グールにゾンビ、スケルトン系にゴースト?いや、上位種のスペクターかな?おっ、ゾンビ犬もいるのか。
すごいな。
「………そ、」
そ?
「総員、ボス部屋へ退避ィィィー!!!!」
うおぅ、さっきの全員であげた合唱に勝るとも劣らない威力。
近くにいたせいか、耳が聞こえないんだけど…
「わ、我は怖くて逃げるんじゃないからな!違うんだからな!」
「そんな事言ってないでさっさと扉まで走らないか!」
仕方ない、俺がちょっと時間稼ぎを――
「は、早く!早く逃げますよ、リュートさん!!」
「いや、俺は足d――グエッ!?」
首!?首が絞まってる!!ギブ!!死ぬ、死んじゃう!!
そして俺は誰かに引きずられる様にして(と言うか、襟首を持って引きずられて)、ボス部屋に辿り着いた。
幸いHPは減っていない様だったが、そのときにはもうそんな事はどうでも良いくらいに、このボス部屋の凝り具合に見惚れていた。
今回のボス部屋は、さっきまでの薄暗いダンジョンが嘘に思えるような荘厳な様相をしていた。
例えるなら中世ヨーロッパのダンスフロアの様で、全面的に金や赤が映えるので目がちかちかする。
天井を見れば一つ一つが精巧なシャンデリア、柱を見れば掘り込みの美しい彫刻、床はフカフカの絨毯が敷かれている。
それでもってこの空間で異様なのは、中央に置かれている全長3メートルはある大きな人形である。
レースをあしらった血の様に赤い(思い過ごしでなければ血そのもの)ドレスを着て今にも動き出しそうな…いや、おそらく動くんだろうな。
おそらくはあれが今回のボスだろう。
「怪奇!動きまわる人形ってか?」
「いや、どちらかと言えば殺しまわる人形じゃないか?」
「どっちも恐怖ですよ。ホラーですよ!」
「そうかな?ボクは可愛いと思うけどなぁ、特にあの目が」
「え!?あの目が一番怖いところでは!?」
しかし、全員が全員変な感想ばかりである。
風理にいたっては可愛いとか言っている。
そのまま進み出て行くと、案の定奴がキリキリと音を立てて動き出した。
「まずは様子見だ。盾持ちの前衛は前に!それ以外は盾持ちの後ろに!後衛はタゲを取らないように援護!前衛は守り重視で行け!『エンデュランスアップ』!」
全体にとりあえずの指示を飛ばしてから味方全体に掛けられる様になった物理防御上昇を掛ける。
まずは相手側の攻撃手段を見極める。
全体の陣形を見渡せば前衛が4、中衛後衛は7、内魔法職は4…なんと言うか、図ったようにバランスがいいな。
「さあ、楽しいお人形遊びと行きますか…」
手に持った剣に否応無しに力が篭る。
リニューアル後、初めてとなるレイド戦が今、幕をあげた。
今週はラジオはお休みです。
皆さん戦闘中で忙しいらしいので…申し訳ないです。
次回はレイド戦ですね。
上手く書けるといいのですが…自分の文才の無さが嫌になってきます。




