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<<Chrono Drive Online>>(仮)  作者: Wizadm
2Chapter//VR Research Club
20/26

7.海イベント!


海の中を悠々と泳ぐ角の生えたアザラシの様なモンスターが俺を殺そうとこっちに突っ込んでくる。

陸の上ならまず間違いなく勝てる相手なのだが、水の中なので魔法も使えず、逃げようにも向こうの方が速く逃げられない。

武器も突く以外の攻撃方法はほとんど機能しているとは言えず、攻略が難航している。

確か、最高浸水度が15mだったはずだ。

正直、泳ぎスキルが無いとまともに戦えない。と言うか、有ってもまともに戦えているとは言い難い。

熟練した泳ぎスキルなら話も変わってくるかもしれないが、泳ぎスキルはここ海エリアでしかまだ使うことができない為に、熟練者はいない。

なら、戦わずにスキルレベルを上げればいいのだが…


(ここまだ水深1m強だぞ?なんという無理ゲー…)


俺はアザラシの角でゴリゴリHPを削られて、失意のままに陸に引き戻された。


「…うぅ、チクショウ何だありゃ。このイベントクリアさせる気無いだろ!?」


浜辺に打ち上げられ、まるでドゼウモン(水死体の事)の様に転がりつつも悪態を吐く。


「回復アイテムも買い足さなきゃいけないし…はぁ…出費がかさむな」


遠いけど、街の方まで回復薬買いに行くか…

転送ポータルはまだ開放されていないので使えずかなりの時間をかけて街まで戻ろうとした時だった。


「いらっしゃいませー!回復薬と一緒にドリンクは如何ですかー!」

「コーラにラムネ、メロンソーダもあるぞぉ!」

「はい、かき氷。いちご2にレモン1ですね?まいどありがとぉございます!」


露天で回復薬のついでに、冷たいドリンクやかき氷を販売していた。

これに精神的にまいっていた俺が抗えるはずも無く、気付いたときにはもう露天に並んでいた。

露天を開いているのはどうやらプレイヤーの様で、うち2人はヒューマンの男、もう1人はフォクスラインの女性だ。

あぁ、違うな。フォクスラインの女性はどうやらNPCだったらしい、残念だ…


「はい、お兄さんは注文は?」

「え、あ、ああ。回復薬20個…と、コーラも」


こんなところで無駄な金を使ってると、後で後悔するかもしれないとも思ったが、背に腹は代えられない。

無駄な出費ではあるが、必要な無駄だと割り切ることにした。

出費ついでに、攻略情報がないかとヒューマンの青年商人に聞いてみる。


「攻略の方ってどうなってるんだ?まだそんなに変わらないと思うが、教えてもらってもいいか?」

「ええ、いいですよ。今は…おお!もう水深23m付近ですね!さすがはコンバート組です」

「…?何でそんなこと知ってるんだ?」

「へ?そんなことって?」

「いや、最速攻略者がコンバート組って…」

「ああ、それはですね。この海の家は、実はその人がスポンサーなんですよ。おかげで儲けさせて貰ってます」


青年商人は実に気持ちのいい笑顔でそう言った。

彼が言うには、悪徳商法に引っ掛かって困っていた時に親切に助けてくれ、他の信用できる商人プレイヤーを紹介してくれたそうだ。

しかもこの露天も彼の案なんだとか。

イベントなんかのときは場所によっては回復薬の転売をすると売れ行きが上がるから、それと併せて海岸で海の家をやって欲しいと頼まれたらしい。


「すげーなその人、俺なら見て見ぬふりするわ…」

「ええ、自慢の友人ですよ」


その人はどうやってあんな難易度の海を移動してるんだ…?

謎は深まるばかりである。




水中用のランプが照らす明かりを頼りに、海の底へと泳ぐ。

途中、それなりの数のエネミーに襲われたが、それほど苦労しなくても数で押せば倒せる敵だったので余裕を持って進めている。

少しすると、海流が下向きに流れている、ここで言う階段の様な物が見つかった。


「もう結構潜ってるんだけど、まだ海底に着かないな」


真っ暗な海底を見ながら、段々疲れてきて弱音を()()

そう、海の中なのに喋っている。

何故か?見つけた潜水服を使っているだけだ。

実は、この海エリアには海の浅瀬に隠しダンジョンとして海底洞窟が用意されていた。

そこの一番奥で見つけたのが、この潜水服だ。

一定時間毎にMPを消費すれば空気が無尽蔵に吸える優れものだ。


「フッ、だらしがないぞ、リュート卿」

「頑張れ、リュート。パーティリーダーだろぉ?」


≪ユーリス・アルベルク≫こと、部長の四月朔日わたぬき 千代ちよとユースケがからかう様に励ましてくれる。

と言うより、励ます様にからかって来ている様な気がしないでもない。


「それにしてもこのゲームはすごいよね。海の中に海流でダンジョン作るなんてさ…」


スケールがおっきいよねぇ?と、風理。


「フム、確かに素晴らしい技術力だ…文句の付け様が無い」


感心した風にうんうんと相槌を打っているのは我等が生徒会長、天戯あまぎ 菜月なつきさんだ。

なんと天戯会長はVR機器を持っていなかったらしく、VR部の活動の為だけにソフトとハードを買ったらしい。

プレイヤーネームは≪ツッキー♪≫で、種族はフォーリン。所謂、堕天使と言われる奴で会長の黒い髪も相まってかなり美しいアバターだと思う。

職業はナイトで、ユースケの負担がついに減ることとなった。

ちなみにユーリスの種族はエルフであり、シラナギと違って髪が銀色、目は赤と青のオッドアイという厨二仕様だ。

職業はアルケミスト、特質と言えばその土地特有の属性攻撃が可能なことと、アイテム製作に成功確立上昇が付くことだ。


「さて、あんまり長く休んでると雑魚が湧きそうだし、次の層に進もうか?」

「「「「おー!」」」」


前の層と同じく、海流に触れる。

さっきまでと同じ様に海流が俺を飲み込み海底へと誘う。

しかし、さっきまでと違うのはあまりにも移動する距離が長いことだ。

さっきまでなら2,3秒で止まったのに未だに引っ張られ続けている。

しばらく流され続けていると、不意に海底が見えてきた。


「お、やっと終点か…」


どうやら、海流ダンジョンはここで終わりらしい。

ただ――


「?あれ、止まらない…?え?ちょっ!?オイ、待てとま――」


そして目を瞑ったまま、海底に激突して死んだ。




――はずなんだけど…あれ?激突…してない、な…あれ?

気が付けば古い神殿の様な場所にいた。

ハッ!として後ろを振り向けば壁しかない。


「あ、あぁ…ワープ床、だったとか?」


なんて恐ろしいイベントを作ってくれやがるんだ運営め…と、心の中で呪っておく。

ここ半年で一番怖かったし、肝が冷えた気がする。

あ、そうだ、残りの4人もくるんだから退いておかないと。

そう思って通路の脇に退く。が、どれだけ待っても誰も来なかった。

ついでに、潜水服はいつの間にか消えていた。

帰りどうしたらいいんだろ…


「…パーティ分裂トラップ、かな」


まったく、手の込んだトラップだなぁ。

一周回って感心するよ俺。

溜息を吐きつつ奥に進もうと歩き出したときだった。


「あ、あはは…びっくりしました…」


後ろから人の声が聞こえ、距離を取りながら振り返る。

どうやら女性プレイヤーらしい、暗がりで顔はよく見えないが、装備から見るにおそらく前衛職、それもナイトだろうな。

ナイトは物理・魔法共に硬い防御とウォーリアよりは低いがそれでも高い攻撃が持ち味だ。


「誰だ」

「…貴方こそ誰です。見た所後衛職みたいですけれど、邪魔するなら斬りますよ」


声をかけた途端、その場で剣を抜いて構え、威嚇してきた。

お、おいおい…名前聞いただけなんだけど。

なんか…物騒じゃないか?と、戦々恐々とするも、何とか顔に出さないように表面上を取り繕った。


「…ゴメン、敵対の意思はないんだ。パーティメンバーとはぐれて少しピリピリしていたみたい」


言葉だけでは弱いかと、両手を上げて敵対の意思がないことを示す。

すると、渋々ではあったがこちらに向けていた剣を退けてくれた。


「そうですか。ですが、怪しい動きをしたら斬りますので」

「わかった。取り合えず状況把握からいこう」

「そうですね。パーティメンバーとはぐれた…でしたか?」

「ああ、どうやらここに来る時にランダムに飛ばされるワープ床が仕掛けてあったみたいで、俺はメンバーとはぐれたんだ。ここにいるんだ、君もだろ?」

「ええ。しかし、なるほど。だからみんながまだ来ていないのですか…」


メンバーとはぐれた、か。

自分で結論付けておいてなんだが、そう考えるとみんなが心配になってきた。

特に、ユーリス…あの子、戦闘になるとてんで駄目だからな。


「そうだな、両方のメンバーが見つかるまで共闘をお願いしても?」


そう聞くと、しばらく考え込んでいた様だったが、了承してくれた。

暗がりから出てきた彼女は、太陽を彷彿とさせる赤と黄色が入り交ざったかの様な色合いの長髪と瞳を持った美少女だった。

身長は160cm位で、利発そうな顔をしている。…何故だろうか、何処かで会った気がする。

こんな綺麗な子、見たら忘れないと思うんだけど…


「そうか、ありがとう。俺はリュートだ。よろしく」

「ミィよ。少しの間だけどよろしく」


軽く自己紹介を終えると俺が先頭でダンジョンの奥へ歩き出した。

普通は前衛職のナイトが先頭だと思うのだが、信用していない相手に背は向けられないらしい。

壁に1m程おきに設置されている燭台(しょくだい)の明かりを頼りに周囲を警戒しながら進む。

足元には所々に全身骨格の白骨が横たわっていて、正直かなり怖かったが幽霊(ゴースト)屍鬼(グール)が出ても倒せることに気付くとそれ程でもなくなった。

しばらく進むと不意に前方でピチャリと何かが水を踏んだ様な音が聞こえた。

それだけでは何か判らないが、前方に何かがいることだけは分かった。


「ミィさん、この先に何かがいます。何かは判りませんけど」

「ひぇ!?そ、そ、そうですね…」


なんという、挙動不審…

喋り掛けただけでビクッとし、目が泳いで、どもりまくっている。

よく見れば顔色も悪い様な気がする。


「えぇと…どうかしたんですか?」

「どうにも、その…ホラー系が苦手でして。お恥ずかしい」

「あぁ、そう…ですか。じゃあ俺が見てきますね」


そう言って見に行こうとすると、


「ま、待ってください。私もいきます!…というより、置いて行かれる方が怖いですから」


今にも泣き出しそうな必死の形相で懇願されたため、二人して足音の主を警戒しつつゆっくりと進んでいく。

これがはぐれたパーティメンバーなら言うことはないんだが、アクティブなエネミーの場合、不意打ちを受ける可能性がある。

下手をすればクリティカルを貰って一発で死ぬことも考えると、あまり気を抜いてもいられない。

それに俺はレベルもそんなに高くないし、防御の面では薄っぺらい紙と同程度の防御力しかない。

いや、水虎のローブに着替えたから防御は多少はマシになったんだっけか。

一撃で死ぬのが、二発で死ぬ様になっただけかもしれないけど…


少し歩けば、ゆっくりとだが足音の主が見えてきた。

形は人間の様だけど、この吐き気を催しそうな悪臭は――


「…ゾンビか」

「あ、ははは、は、聞こえません聞こえません!聞こえませんし、見えもしません!!」


リアルすぎて気味が悪いゾンビ、未だこっちには気が付いていない様だが…


「も、もう無理…助けて、お兄ちゃん」


ミィと名乗った少女はガタガタと震えている。

そういえば、光瑠の奴もお化け怖がってたんだよな…

そのとき、俺にはこの子が光瑠と重なって見えた。

お兄ちゃん…ね。羨ましいよ、こんな妹持てるなんてさ。


「大丈夫。今回だけ、俺が君の…ミィの兄を代理するよ」

「え…ど、ういう…」

「まあ任せて、そこで待ってて?」


と言っても、あんなの素手で相手したくないしな…武器、使うか…

ステータスを開けて無手格闘と交渉術のスキルを外し、長剣と隠蔽をセットする。

武器ももちろん長剣に切り替えた。



<<リュート>>

エンチャンターLv.17

Str.攻撃力  11(-1)

Int.魔力   35(+4)

End.物理耐性  8(-1)

Mce.魔力耐性  8

Vit.生命力  12

Agi.俊敏性  42

Dex.器用さ  42(+4)

Luc.幸運   10


所持スキル

-Skill Slot-

・長剣Lv.200

・泳ぎLv.30

・魔道書Lv.200

・幸運Lv.10

・隠蔽Lv.200

・クロノドライブLv.1



「さて、リメイクしてから初めて使うな。いくら一番得意(・・・・)()武器(・・)だからって練習無しだときついかな?」


取り出した長剣を軽く振って感覚を確かめながら呟く。

手に持った感じはいつも通りと言った所だろうか、悪くはない。

ただちょっと重いかな…


「ランク2はやっぱりまだ重いか」


ランク2からは武器にレベル制限がかかり、レベルが足りない場合は妙に重く感じたり、攻撃が当たっているはずなのにMISSと表示されたりする。

ぼやきつつも武器を手にして隠蔽を自分にかけ、ゆっくりとゾンビの後ろに回り込んで踏み込む。


「っ…!!」


踏み込みながらに剣で首を凪ぐ。

しかし、相手はテクスチャを貼り付けただけのデータなので首は落ちず、まだ普通に動く。

そのまま通り過ぎ、振り向き様に切り上げ、重さを乗せて切り下ろす。

振り下ろした直後に一瞬の硬直が生まれるも、できるだけ早く後ろに下がると、それから数瞬遅れて、目の前を腐った腕が横切る。


「ちぇ…今ので死んでくれればよかったんだけどな。でもまあ、試し切りにはちょうどいいか」


切った感触もあるし、遅いけど反撃もしてくる。

これが格好の試し切り対象じゃなくてなんだって言うんだ。


ゆっくりとゾンビの攻撃範囲に入って腕を振ってくるのを待つ。

狙い通りに右腕を振ってくるのに対し、剣を水平にして腕を上に逸らす、所謂パリィを行い。

ゾンビが攻撃を逸らされて硬直している所に腹を裂く様に剣を振るった。

さらに返す刃で足を切り、回り込むように左に移動して首を切る。

するとさすがに耐え切れなかったのか、ポリゴンを撒き散らしてゾンビは消えた。


「もう少し攻撃する必要があるかと思ったんだけど、難易度的には海流ダンジョンの方が高いのか?まあ、分断された状態で大群で来たら後衛職じゃ対処できないから仕方ないか…」


剣を腰の鞘に戻して、ミィを置いて来た所まで戻る。


「終わったよ…?」

「は、はい…その…すいませんでした」


何故か謝られてしまった。


「いや、なんで謝られるのさ?」

「私、前衛職なのに…何もできませんでしたから」

「…何言ってるのさ、俺は今、君の兄の代役なんだよ?妹が困ってるんだったら当然だろ?」

「え…はい。私の本当の兄もリュートさん位の事言ってくれたらいいんですけどね」


と、はにかむ様に笑ってくれた。

さっきからずっとしかめっ面だったからか、その笑顔はすごく印象的だった。

思わず見つめてしまう位に…


「あの、どうかしたのですか?」

「え!?あ、いや、さ、さあ、先を急ごうか?」

「そうですね」


ミィはそう言うと、先に歩き出す。


「あれ?怖かったんじゃ…」


すると彼女は少し顔を赤くして言った。


「そ、それは、まあ、怖いですけど…お兄ちゃんが、守ってくれるんですよね?」


正直、自分の妹と取り替えたくなったのは余談である。



ラジオ≪C・D・O≫!


リュ「はい、始まりました。ラジオ≪C・D・O≫!司会はわたk――「ドロップキーック!!!!」おっと、危ない」ヒョイ

シラ「え!?よ、避けっ!?――ふぎゃ!?」

リュ「ふぅ…まさかシラナギが飛んで来るとは思わなかった。気を取り直して司会は私リュートと、シラナギでお送りします」


シラ「酷い目にあったです…」

リュ「今のは、自業自得だと思うよ?」

シラ「リュートさんのせいですよ!?リュートさんが前回来なかったせいで、私は酷い目にあったんですよ!!」

リュ「え、えぇぇ…」


シラ「きっと私の出番がまだ来ないのも、リュートさんのせいなんです!」

リュ「酷い、言掛かりだ…」


シラ「この作品が駄目なのも全部リュートさんのせいです!」

リュ「いや、それは作者のせいじゃ…」


シラ「地球温暖化が止まらないのも全部全部、リュートさんのせいです!!」

リュ「いったい俺は何者に成ってしまったんだよ!?」


シラ「それにしても、また新キャラですか…私の出番ドンドン遠のいて行っている気がするのですが、気のせいですよね…?」


…そ、そんな事ないです、よ?あ、あはは…


シラ「ま、いいです。八つ当たりはリュートさんにいっぱいしたですから。

それに、人気投票は未だに他の投票はねぇですし、このコーナーでやって欲しい事や聞きたい事も募集してるですが、今まで一度も来た事ないですから、このまま放って置けば自動的に私が一番になるのです!フッフッフ…リュートさんの悔しがる姿が目に浮かぶです」

リュ「なんだかシラナギがトリップした様なので今回はここまで、それではまた次回」

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