プロローグ2
あれから一ヵ月後...
俺は教室で、今日から始まるリニューアル版のキャラ構成に思いを馳せていた。
「おぅ、影斗。おまえも今日からリニューアルするって言う<<CDO>>やるんだろ? 俺にレクチャーしてくれね? 頼むわ。」
話しかけてくる声に顔を上げると、最近よく話をするようになった、安達 友輔が人のよさそうな顔でこっちを見ていた。
「…いや、いいけど何で俺?」
こいつは、校内でも友達が多いことで有名なやつだ。 正直、俺みたいな根暗に頼む理由がない。
「うん? あぁ、おまえが<<CDO>>をやりこんでるって聞いたんだよ。」
「聞いたって…誰に?」
俺の疑問に安達が、親指を立てて教室の入り口を指差す。
見ると、快活そうな短髪の少女がこっちに近づいてくるのが見えた。
「やあ、琴美君。 少しぶりだねぇ。 ボクも話に混ぜてもらえるかな?」
まためんどくさいのが…
「あ、今めんどくさいなって思っただろう!? 失礼な!!」
そう言って笑いながら叩いてくるこのボクっ娘は、風音 愛理何の因果か俺の幼馴染だ。
「ちょ、やめて!? 痛い、謝るから…謝るからやめて!?」
「まったく、つぎはないからね」
次はないって… あれ?確か俺めんどくさいって声に出してなくないか?
何で分かったんだ?
「あのさ、影斗も風音さんもさ、イチャイチャするのは時と場所をわきまえよう、な?」
「「してないよっ!?」」
安達の的外れな発言に二人の否定の声がする。
その後も抗議をしてみたが、安達は取り合ってはくれなかった。
おい、安達察しろよ。
いくら何でも俺が相手じゃ愛理がかわいそうだろ…
俺は満更でもないけど、愛理が顔を赤くして怒ってるじゃないか!
その怒りをくらうのは俺なんだぞ…
「それで? 俺は何時にどこにいればいいんだ?」 これ以上の反論はあきらめて話題を戻す。
「お、引き受けてくれんの? じゃあ、5時半から、場所は…始まってすぐってどこに出んの?」
「始まりの場所って言うありきたりなステージの石碑前だったはずだよ。」
いや、なんで愛理が知ってるの?
「じゃそこで。」
「きまりだね。」
いや、だからなんで愛理が答える。
そこで俺は、ある可能性に気がついた。
「あのさ、さっきから気になってたんだけどね。愛理もくるの?」
「もちろん。」
前途多難だ…
家に帰るとそれはあった。
それというのはつまり、俺宛の荷物だ。
それを手に俺は部屋へと向かう。
妹に気づかれないように…
妹の部屋の前を通り過ぎようとしたときによく知っている音が聞こえた。
端末、それもおそらく<<Attraction-Ω>>の起動音だ。
でもそれは妙だ。
妹は、ゲームなんか興味もないというようなやつだったはずだ。
中を見たい衝動に駆られるが、ばれた日には何をされるかわからない。
ハイリスク過ぎてやれる気がしない。
俺はまだ死にたくない。
チキンと呼びたければ呼べばいい。
俺はまだ死にたくない。
大事なことなので二回言いました。
部屋に戻ると俺は早速ゲームを始めることにした。
ログインするとすぐに視界が暗転し、少しして元に戻る
Now Loding......
オンラインゲーム <<Chrono Drive Online>> ヲ 起動シマス...
プレイヤーネーム ヲ 入力シテクダサイ<< >>
プレイヤーネームか…前はシェイドとか入れたな。 今思うと恥ずかしいよな… 厨二病かと。
今回は、そうだな… リュートにしよう。 琴見からとって。
プレイヤーネーム ハ <<リュート>> デ ヨロシイデスカ?
キャラクターエディタ ヲ 起動シマス...
キャラクターエディタか、どうしようかな? 体型とかは現実どおりで、顔は自分の顔が最適化されたものが勝手に貼り付けられる様に設定して。
あとは、髪の色か。う~ん、黒と銀のグラデーションとかどうだろう。 お、案外いいな、これ。 よし決定っと。
前回 ノ ゲームデータ ヲ 読ミ込ンデイマス...
キャラクターデータ <<シェイド>> ヲ 読ミ込ミマシタ
能力継承か、どれくらい引き継げるんだろう? さすがにレベルは無理だろうし、所持金とスキルが少しだろうか?
以下ノモノヲ引キ継ギマス...
・所持金 ・装備品 ・スキルレベル ・譲渡不可アイテム
おいおい、これゲームバランス危ういんじゃね? 前回の装備品て…
尚、ステータスにボーナスを振ルコトガデキマス
ステータスボーナス? あぁ、自分でステータス組むのか。 前はなかったな。
ステータスボーナス100
Int.とAgi.Dex.に30ずつ、残りをStr.End.Mce.Vit.Luc.に2ずつ振り分ける。 レベル1でステータス30は高すぎる気がするが、
初期値が100なんだから大丈夫だろう。 それ以外は紙も同然なステータスだからな…
<<リュート>> 無職Lv.1
Str.攻撃力 2
Int.魔力 30
End.物理耐性 2
Mce.魔力耐性 2
Vit.生命力 2
Agi.俊敏性 30
Dex.器用さ 30
Luc.幸運 2
職業 ヲ 設定シテクダサイ
職業も何も、思いっきり魔法使いビルドだぜ。と、思っていた頃が僕にもありました。
職業すんごい増えてた…
リニューアル前のものは職業は上位職を合わせて10職しかなかったから結構びっくりした。
魔法系だけでも、メイジ、ウィザード、エンハンサー、ジャマー、エンチャンターの五種類があった。
どうするか悩んだ末、扱いの難しそうなエンチャンターにした。
エンチャンターは支援専門の職業だ。攻撃魔法がほとんどない。
後で変えることも出来るので、二人の支援の為に使ってみることにした。
<<リュート>> エンチャンターLv.1
Str.攻撃力 2
Int.魔力 30
End.物理耐性 2
Mce.魔力耐性 2
Vit.生命力 2
Agi.俊敏性 30
Dex.器用さ 30
Luc.幸運 2
以上デ ヨロシイデスカ? Yes/No?
プレイヤーネーム <<リュート>> Good Luck !!
そして再びの暗転の後、目を開けると俺は始まりの場所石碑前にいた。
0Chapter//Reality・完