7.え?俺って要らない子?byリュート(影斗)
どんなMMORPGでも探せば不遇職やスキルは幾つかあるものですね。
でも、そういうものが使えなくても意外と好きです。
「お、あそこにスタンダードオークLv.8が一匹だけで行動してるぜ。最初の獲物にちょうどいいんじゃないかリュート」
声をかけてきたのは、うちのパーティ唯一の前衛であるユースケ。
現在、俺達は始まりの場所を出たところにある草原の端、オークの森と呼ばれる場所のすぐ近くにいる。
スタンダードオーク――身長が2メートル強の豚の亜人。
頭が悪く攻撃は単調で力任せ、魔法も使わないので初心者によく力試しとして討伐される。
確かに、このパーティがどこまでできるか確かめるのにはスタンダードオークはちょうどいい相手かもしれない。
「そうだな…二人もそれでいいか?」
二人、シラナギと風理も首を縦に振ってくれた。
「よし、なら辺りに他のアクティブなモブがいないか確認後、ユースケは最大火力でヘイトを稼いでくれ」
「了解だ、リーダー」
…ユースケ、リーダーはやめろ。なんというか恥ずかしいから
と言うか俺は万年ソロプレイヤーだぞ?人を纏め上げる才能なんかない
「風理は遊撃、隙が出来次第強力なスキルでダメージを、シラナギは複数の召喚獣で撹乱を頼む」
「OK.まかせてよ」と、ノリノリな風理
「はいです。ですが、複数召喚はMPがかなり掛かりますから、連用は無理ですよ?」
「それもそうか。じゃあ、できるだけでいいから頼むね。あと、これを渡しておくよ」
そういって、あるアイテムを手渡す。
MPポーション、その名で呼ばれるこのアイテムは、魔法職ご用達の品であると同時にそのレア度から高額で取引されるという。
魔法職なら相手を殺してでも一本は持っておきたいと言うアイテムだ。(ストレージに200本所持してるけど)
「え?…これ、MPポーションですか!?もらっていいんですか!?後で返してほしいって言っても返しませんよ?」
喜んでくれたようでよかった。笑顔で頷いておく。
ユースケがニヤニヤして、風理が一切笑っていない笑顔でこっちを見ている。
俺なにかしったっけ?
「さて、作戦も決まったし、いっちょやりますか!」
「「「おぉー!」」」
まずは、レベルが上がって覚えた強化魔法をユースケと風理に掛ける。
「『ストレンジアップ』、『ストレンジアップ』」
ストレンジアップ――対象のStr.を一定量上昇させる魔法。上昇率は職業により変わり、エンチャンターが使用したときの上昇率は3%だ。
なかなか使える魔法だと思うが、如何せん燃費が悪い。レベルが上がって増えたはずのMPが今の二回の使用でなくなった。
「よし、二人とも、これ三分しか持たないから突撃開始っ!!」
ユースケを盾…もとい、先頭にして走り出す。
走り出してすぐにオークと目が合う。どうやらオークもこちらに気がついたようだ。
接敵時、先に攻撃を繰り出したのはオークだった。
丸太のような腕で、同じく丸太のような棍棒(というか、もはや丸太そのもの)を振りかぶってきた。
そしてそのまま棍棒は地面に当たり、辺りの砂を巻き上げた。
前に出ている二人がどうなったのかここからじゃよくわからないが、「うぉ!?」とか、「あぶないなぁ」とか聞こえるから大丈夫だとは思う。
俺の隣では「『サモン』プチジェム」シラナギが小さい召喚獣を3体召喚している。
…俺、いらなくね?
というか、この職業不遇過ぎだろ。まともにダメージを喰らったら即死だし、攻撃力は皆無、かと言って補助ですらコストが高すぎてまともに使えない。
あ、駄目だコレ、泣けてくるほどに不遇職だわ。
まあ、MPの方はさっきMPポーション使ったから回復してるし、『バインド』でちょこまか支援するかな。
でもなぁ…正直あの3人だけで既にスタンダードオークを翻弄してメッタ刺しにしてるんだよなぁ…
プチジェムに構ってる間にユースケが足に『スラッシュ』を使って体制を崩し、すかさずそこに風理が『バックスタブ』。
うん…なに?この完成された連携は?俺要らない子じゃん?
見ている限り至って順調に連携は決まっていた。相手のHPは残り一割ほどだろうか…
問題点を敢えて挙げるとすれば、油断しすぎではないか?ということぐらいだ。
少し離れて見ているから良く判るのだが、ユースケと風理はその場所からあまり動こうとしなくなったし、シラナギはシラナギで少しずつ向こうに近づいて行っている。
俺が「危ないな、あいつら」なんて思っている間に二人の後ろにシラナギが近づいて行き三人が同じ場所に固まっていった。
そこでちょうどタイミング悪くオークが三人を見つけ、三人を踏みつけようと足を振り上げた。
さっきまでならユースケも風理も避けられたであろう緩慢な攻撃、バックステップで避けようとする。
しかしながら後ろに人がいるのに気付かずそんなことをすれば…あ、コケた。
このままだと起き上がって逃げ切る前に足が振り下ろされるな。
…ようやく俺の出番だよねコレ!良かった!!俺は要らない子じゃなかった!!
じゃなくて早く止めないと…
「『バインド』」そう唱えるとオークの高く振り上げた足は振り下ろす寸前で停止した。
うん、綺麗に停止しましたよ。足は。
他は普通に動いてる。
何で足だけ?『バインド』の説明にはこんな事書いてなかったぞ…
もしかしてある一定の大きさしか止められないとかか?
ま、いいや。後で考えよ…
さて、突然ですが皆さんは足を振り下ろす瞬間に振り下ろそうとした足が固まったらどうなると思いますか?
答えは簡単で、前に移した重心によって体が前に引っ張られ、しかし振り下ろすはずの足は固まったままなので――コケるんだよねなかなか派手に。
後さ、コケた時、倒れたとこに何か落ちていると痛いよな…
ん?オーク?岩に強かに頭打ちつけて消えたけど?
ラジオ≪C・D・O≫!
リュ「というわけで、始まりました!ラジオ≪C・D・O≫!MCはワタクシ、リュート(影斗)と」
シラ「何が、というわけか分かんねぇですが、天才サモナーことシラナギがお送りするです」
リュ「天才とか自分で言いますか」
シラ「本当のことですから」
リュ「さいですか。えぇ、それでは一つ目のお題に参りましょう」
シラ「おぉ、何でも来いです!」
リュ「それでは、今回のお題は…これだ!」
最近のテストどうでした?最低点をどうぞ!
リュ「本編に全然関係ないな…」
シラ「…」
リュ「ん?どうかしたのか?」
シラ「…いえ」
リュ「?まあいいか。最低点だよな?俺は75点だったかな。シラナギは?」
シラ「…ひゃ、百点ですよ。もちろん」
リュ「ほぅ、それは凄いな」
シラ「え、ええ。と、当然ですよ。ええもうそれはそれは」
リュ「で?本当は?」
シラ「……ぅ…ん」
リュ「え?」
シラ「30点ですよ!!悪いですか!?」
リュ「いやいや、それならまだマシだよ」
シラ「へ?」
リュ「だって、風理(愛理)なんて一桁台だったよ?」
シラ「それって言って良かったんですか?」
リュ「…あ」
――オボエテロヨ♪
リュ「ヒッ!?」ガタガタブルブル…
シラ「あぁ、もう今回は終わりですかね?それでは、また次回です!」
感想ご質問等お待ちしています。




