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プロローグ

『魔法』


それは誰もが憧れる神の力。

無から有を生み出し、世界をも統べる。

とても尊くて神々しい力は人々を魅了させる。


しかし、唯一無二なだけに操る者を選ぶ。

この世界で魔法を使えるのは血統が重要だった。


魔法には炎、氷、雷、土、風、光、闇、刻、力の9つの属性がある。

それぞれの属性は対比することがなく、個々に独立している。

そのためどの属性が優でどの属性が劣と言うことはなかった。


魔法一族は国民の指示を受けて国家の中で力を持つ存在だった。

そのため各国の政治家たちは如何にして魔法一族を取り込むのかに終始した。

唯一無二の絶対的な力を保有することができれば確固たる地位が約束されるからだ。

かたや国王の地位にまで登り詰めることさえできる。


しかし、魔法一族もバカではない。

政治家の傀儡になるぐらいなら自分達で権力を持った方がいいと考えた。

魔法一族は国民の支持を取り付けて次第に勢力を増して行く。


その中で魔法を推奨する『神国派』が誕生した。


『神国派』の目的は魔法によって国力を高めて生活を潤すことだった。

この時代の生活弱者は多数に上り、一部の有力者だけが潤っていた。

国民は明日の飯の心配をしなければならないほど飢えていた。

だから、神なる力を持っている魔法一族に注目が集まったのだ。

彼らなら自分達を救ってくれると考えた。

その想いが『神国派』を底辺で支えていた。


その動きに敏感に反応したのは権力者たちだった。

『神国派』が国内に台頭したら自分達に牙が向くと考えた。

そこで『神国派』に対抗する集団である『革新派』を生み出した。


『革新派』は魔法を完全否定する思想を持った集団だ。

既存の権力者を中心にした集団なので力は『神国派』以上だ。

しかし、国民の信頼を得ていないので土台部分が弱い。


そこで権力者たちは魔法を”悪魔の力”だと言う噂を流しはじめる。

限られた者にしか扱えないのは”悪魔に魅せられた”からだと謳う。

魔法を身近に感じていなかった国民達は権力者たちの言葉を信じるようになる。

そして次第に『革新派』を推奨する国民達が増えて行った。


国内は『神国派』と『革新派』とで二分した。


しかし、二つの派閥の対立は政治の空白を作ることになる。

貧しい国民達はひもじい生活を余儀なくされて餓死するものさえ出る始末。

また、疫病が流行して病に倒れる国民も多数現れた。

そうなると国民の不満は上の者へと向かう。


『神国派』を支持している層は魔法の力で救ってほしいと懇願する。

ただ、魔法には人々の飢えを解消できる力はない。

一方で『革新派』は政治の力を行使して備蓄していた食料を配給させる。

おまけにワクチンを開発して疫病対策も行った。

おかげで疫病で亡くなる国民が激減した。


その功績は国民に支持されて『革新派』が急増するきっかけとなった。


次第に国民の支持を減らした魔法一族率いる『神国派』は力を失って行く。

そして『革新派』に権力を奪われて国外へ追放されるまでになった。


国内は『革新派』で統一されると国力が安定しはじめた。


魔法一族は国を追われて世界に散らばって行く。

そのほとんどは街を追われて人里離れた森に身を隠した。

その後、魔法一族がどうなったのかはわからない。

血が絶えて滅びてしまったのかもしれない。


国内の統一を果たした『革新派』も喜んでばかりはいられなかった。


『魔法』と言う絶対的な力を失ったので軍事力が低下してしまったのだ。

国境付近には隣国の軍事部隊が展開されて日々軍事活動を行っている。

それはいつでも国内に攻められると言う脅しに他ならなかった。


『革新派』は『魔法』に変わる新たな力を保有することに迫られる。


そこで魔法研究者と技術者を集めて新たな力の開発に着手した。

『魔法』のように優れていて、かつ血統を必要としない力だ。

そして、誰もが扱えて、汎用性のある唯一の武具を生み出した。


それが『魔具』だ。


この物語は『魔具』にまつわる者達の話である。

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